3.一千年の悪夢_3


 と、小さな電子音がして、ホテルのドアが開いた。
「ただいま〜カヲル〜カジノで大損こいちゃったよ〜」
 少し酔いが回っているのか、ハイネに肩を借りたアキラが入って
きた。アルは、アキラの顔を見て、目が大きくなった。
「うわ……カヲルさんが二人」
「アル、今のうわ、って言うのはなんだ? あれは俺の知り合いの
アキラだ」
「ひど〜い! 他人みたいに言わないでくれよ〜。はじめまして〜
カヲルの兄のアキラでーす」
 酔っ払い度全開で、アキラは『兄』と言葉を強く言ってアルに頭
を下げた。同じような口調で、アキラのあとにハイネが言う。
「はじめましてぇ〜、アキラさまの愛人のハイネでーす!」
 なぜか『愛人』であることを強く強調してハイネは言い、アルに
握手を求めた。アルは口を少しあけたまま、素直にハイネの握手に
答えた。
「はぁ、どうも、ジェグシティ署の署長やっています、アルカート・
ロックです……って、ハイネ!」
「気づくの遅いですわよ。大丈夫、吸ってくださいと私の足元にひ
ざまずかない限り襲いませんから」
 ハイネのその言葉を簡単に信じたのか、アルは微笑を浮かべた。
「それはそれで問題だと思うよ、ハイネ……」
 アキラはそう言いながらあくびをすると、「お先におやすみ」と一
言、ベッドルームの一つに消えた。無論、ハイネもその後を追っか
ける。と、そのベッドルームから、アキラが顔だけを見せて言った。
「あ、アルカートくんとやら。俺で良ければ相手するぞ〜」
「遠慮しておきます。僕は仕事があるので、これで失礼いたします」
 アルはそう言ってカヲルに頭を軽く下げると、部屋から出て行っ
た。
「逃げられちった。ちょっともったいないねぇ。あれは将来イイオ
トコになるぞ〜」
 アキラはそう言って、顔を引っ込めた。カヲルはあきれたように
「馬鹿か、オマエは」と言った。
r> 「なんか言った? カヲル」
 再び顔をのぞかせるアキラ。
「言った。いつ見ても馬鹿だな、アキラは。まだ何か話したいのか」
 カヲルのその言葉を待っていたのか、アキラはニコリと微笑むと
ベッドルームから出てきた。
「そうそう、話が一つだけあるんだよね。ここ、ベッドルーム二つ
しかないわけ。でもって、その一つを俺とハイネが占領すると、ど
うなる?」
 少し間があった。
「あ、僕がソファーで寝ますから。何か上にかけるものを一ついた
だければ……」
 バドの言葉を、カヲルがさえぎった。
「俺がそこで寝る。貴様は向こうで寝てろ」
「でも……」
 うろたえるバドに、アキラが一つ助言した。
「一緒に寝ればいいんじゃないかな。たぶん、バドくんが一人にな
ることがあれば、俺、部屋に遊びに行っちゃおうかな〜。ほら、男
同士のつもる話もあるしねぇ」
「俺が一緒に寝る!」
 カヲルはそうアキラに怒鳴って、ハッとした。そして、悔しそう
に拳を握ると、バドを引きずってもう一つのベッドルームへと入っ
ていった。
「俺の作戦勝ち〜」
 アキラは笑顔をこぼすと、ハイネの待っているベッドルームへと
戻っていった。



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