〜目障り〜
何でいつもわたしの視界に入ってくるのよ。
ピンク一色で目障りなのよ。
その甲高い声も耳につく。
今も、ごっちんとよっすぃ〜と三人で、はしゃいでる。
ちょっとは静かに出来ないわけ?
にらみつけてるわたしに気づいたのか、こっちに笑顔を向けてくる。
思わず目をそらせちゃったじゃない。何でわたしが……。む〜か〜つ〜く〜。
「保田さ〜ん」
あまつさえ、声までかけてきた。
「な、何よ…」
ドギマギさせんじゃないわよ。
「私、カップケーキ焼いてきたんですよ」
脳天気に笑いかけてくる。……ちょっと可愛いじゃない。
「食べてくださいよ〜」
…そ…そこまで言うなら食べてあげるわよ。
どれどれ…パクッ……。
「…まあまあね」
「ええ〜…自信あったのに……」
そんな切なそうな顔するんじゃないわよ!
何だか…わたしまで悲しくなるじゃない……。
「う、うそうそ。おいしいわよ」
「本当ですか?」
ピョンピョン飛び跳ねないの!
まったく……目障りだったら……。
「保田さん、大好きです!」
へっ?…ホントに?……。
「大好きです」…「大好きです」……「大好きです」…………。
ハッ! いけない、いけない。危うくトリップしちゃうとこだったわ。
これだから、この娘。は目障りなのよ。
まったく……。
わたしが見る方向に、いっつもいるんだから。
目障りだったら…ありゃしない。
(終)
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