〜大スキだよ〜

 わたしは…バカだ。
 石川のために客観的状況を考慮して…なんて。
 ただ逃げてただけじゃん。
 石川の一途さが怖くて…それ以上に、自分が石川に
のめり込んじゃうんじゃないかって……怖がってただ
け。
 バカだ……ホントにバカだよ。




 顔は見えないけど、石川は涙をこらえるように肩を
振るわせてた。
「石川……泣かないで」
 わたしの胸に頭をこすりつけるように、石川は首を
振るだけ。
 つられて、わたしも泣きそうだよ。
 石川、笑ってよ。
 あんたの笑顔が見たいよ。
 笑ってるあんたを見たら…わたしも幸せになれるか
ら。
 だって……わたしはあんたのことが…スキ…大スキ
だから。




 そう。
 わたしはやっぱり、石川のことが大スキだ。
「石川…わたし、あんたのことがスキ…みたい…って
言うか…大スキだよ」
 抱きつく腕に、さらに力が入ってきつくなる。
 石川が大きく息をつくのがわかる。
「石川は…ホントにわたしでいいの?」
                      (続)



続く

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