〜登場人物〜
Mizuha
紺碧の服で身を包むフォマール。
本人にしてみれば人に突っ込みをいれているつもりでも、それが大ボケというかなりの天然。
いつでもマイペースを崩さない姿勢は戦闘でも安定して発揮される。
氷系テクニックが得意だが、当たりもしないスティングティップを振り回すのも好き。
結局はテクニックに走るが。数少ない光使い(グランツ)でもある。

chan
赤と黒という、一見毒々しい組み合わせの色で装甲されたヒューキャシール。
しかし、本人はある意味人間以上に表情がある上、とても明るい性格。
おかげで装甲から受ける印象を微塵も感じさせない。
戦闘を含み、ほとんどの事を楽しむ性格。
純粋に自然を感じたりするのが好きという感性も持っているロボ。

CHEIKO
海の家「あるるん♪」のオーナーであり、alulunの旦那様。元ハンターズ所属のヒューマー。
いつも元気を地で行く性格。誰とでも仲良くをモットーに海の家を経営している。
ハンターとしての腕もかなりのもので、かつてダークファルスを見事に葬り去ったメンバーの一人。
色モノ系の武器を好き好んで使うが、何故か恐ろしいくらい上手い。
おっちょこちょいなのがたまにキズ。だが人望は厚い。

alulun
海の家「あるるん♪」の名前の元であり経営者。元ハンターズ所属フォニュエールでCHEIKOの奥様。
看板娘として今日も切り盛りしている。CHEIKOと一緒にダークファルスを倒した一人でもある。
まだフォースとしての経験は浅いが、闇属性の素質は素晴らしいもので、
伝説の闇テクニック、メギドを軽々と使いこなす。
普段はとても優しいが怒らせると最強。仲間を守るという気持ちは誰にも負けない。

Lade
CHEIKOの弟であり、alulunの義弟。こちらは現役のヒューマー。
無駄にエネルギーを発散する熱い漢。たまに疲れるが、本人はそれで良いと思っている。
alulunにしょっちゅうからかわれているが、海の家「あるるん♪」の常連。仲もとても良い。
ハンターとしても十分な素質&経験の持ち主。オールマイティに武器を扱う熟練者。
これだけ言うとすごいカッコ良いが、普段の性格はとんでもなくひょうきんである。

Mist

いつも寒そうな青い服を着たフォニュエール。
ちゃっかりもので美味しい部分だけしっかり持っていく。だが方向音痴。
以前からCHEIKO夫妻にお世話になりっぱなしの、よわよわフォース。
戦闘も嫌いではないが得意でなく、補助や回復に特化している。
ハンターズとしての経験は長いが、フォースとしての素質はいまだに開花していない。

〜波音〜
フウウウゥゥゥゥゥゥ……ン。…シュン。…シュシュン。
ガル・ダ・バル島のとある海岸。少し岩場の陰に隠れた転送装置が鈍い音をあげる。
今日もラボからハンターズを送り込んできたのだ。数にして四人。

Lade 「ふぃ〜!着いた着いた」
珍しい緑色の髪の毛を揺らしつつ伸びをするヒューマー。名はLade。
鍛え上げられた体が、普段からトレーニングを怠っていない事を物語っていた。
chan 「やっぱり海だね♪」
Mist 「うんうん!潮風が気持ちい〜♪」

続いて赤と黒の装甲のヒューキャシールchanと、青服のフォニュエールMist。
先程のLadeとは違い、二人とも細く小さい体だ。海に来てはしゃぐその姿は子供そのものだった。
……シュィン。
Mizuha 「はぁ、何度使っても転送装置って慣れないなぁ…」
一歩遅れてまた一人。海に来たはずなのに、ロングスカートという似合わない服装。
フォマールのMizuhaだった。

Mizuha 「あぅ。地面が砂だぁ」
Mist 「そりゃそうだよ〜。海なんだから」

そうMistが言うなりMizuha以外の三人は大笑い。
Mizuha 「しょうがないなぁ。裾ちょっと上げていくしかないか」
と言いつつ、裾をちょっと持ち上げ、歩く。
Lade 「うわ!あぶな!」
と、思いきや第一歩目で見事に転倒。綺麗な弧を描き、顔からおもいきり突っ込むMizuha。
chan 「水刃さん…ヒール…」
Mist 「だいじょぶ!?痛そう…」

すぐに駆け寄るMistとchan。顔が砂に埋まっているMizuhaを起こし、覗き込む。
Mizuha 「あはは。さすがに砂場でヒールは駄目か」
Lade 「そういえば水刃さんて海は初めてでしたっけ?先にそういうの言っとくべきだった」
海に来るには突っ込みどころ満載のMizuhaに対し、先に気づかなかった三人もすごいが。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

海岸沿い。今日はとても暖かく、海も穏やかだ。
波の音が静かに聞こえ、潮風も心地よく吹いていた。
chan 「うぅぅぅ〜ん!やっぱり海は良いのー!」
Lade 「はは、ですね〜。今日は特に気持ちが良いです」

四人はゆっくりと海岸を歩いていた。ちなみにMizuhaは裸足になっている。
Mist 「あ!あったあった!やほ〜♪あるるんさ〜ん!」
突然Mistが叫ぶ。手を振る先には、だだっ広い空間に小さい屋台がぽつんと一つ。
その軒先に青い髪を二つに結った女性、alulunが立っていた。
Mistの声に応じ、手を振り返す。
alulun 「お〜♪みんな来たね〜♪いらっしゃい!」

屋台正面には、海の家「あるるん♪」と大きく印字された看板があった。
正面が海に向いているので、四人からは横向きにしかまだ見えない。
CHEIKO 「ん?おーきたか!はよこっちゃこー!」
どこのナマりなのかわからない言葉で四人を呼びつつ、夫のCHEIKOが顔を出した。
chan 「こんにちは〜う!!」
Lade 「兄さんおはよー!お♪いい匂い」
Mizuha 「ホントだ♪お腹空いてきちゃった」

四人とも、美味しそうな匂いをかぐなり、海の家まで走り出した。

CHEIKO 「へいらっしゃい!ちょうど焼きそばでも食うかってんで作ってたけど、どうだい?」
Mist 「焼きそば!?食べる食べる〜!」
Mizuha 「ん〜♪ソースの良い匂いだ」
Lade 「義姉さん、俺にもやきそヴぁ1つ」
alulun 「あいよ!焼きそば3つに焼きそヴぁ1つね」
Lade 「マッテ。違うもんなの!?Σ(゜□゜;)」
alulun 「うっふっふ♪何が出てくるかは、お・た・の・し・み♪」

直後のLadeの大袈裟な悲鳴と共に周りがどっと笑う。いつもながらのペースだった。

Mizuha 「ん〜♪美味し〜い♪」
Mist 「だねぇ☆さすがにラグオル一の海の家にゃ!」
Lade 「あはは。一つしかないけどね…」

ぼそっと言ったこの台詞は、alulunにはしっかり聞こえていた。
きっと一瞬視線を向けられたが、Ladeは気が付かないふりをして、横に座るchanに話し掛けた。

Lade 「そういえば…chanさん」
chan 「ん〜??」

もふもふと焼きそばを頬張りながら返事をする。
Lade 「いっっっつも気になっていたんですけど、食事して大丈夫なんですか?」
chan 「ふっふっふ。なんで人間は食事をするのかね?」

不適な笑みを浮かべつつ、突然そんなことを聞くchan。
Lade 「へ?いやまぁ…栄養とんないとならないわけだし」
chan 「ちっが〜〜ぅ!!」
Lade 「え?え?」
chan 「そこに美味しいものがあるからさぁ!!!」

目をキラキラと輝かせて言うchan。口の周りはアオノリだらけだ。
Lade 「……ってchanさんはアンドロイドでしょう。しかも消化とかどうしてるんですか」
chan 「心意気」
Lade 「オイオイΣ( ̄□ ̄;)」

そんなやり取りの中、まったりと食事の時間は過ぎていった。

全員が食べ終えて満足した後、今回の本題の件の話に移った。
さすがにハンターズ。こういう話に切り替わった途端、一瞬だが空気が引き締まった。
CHEIKO 「んで。相変わらずスイッチは見つからないのかい?」
Lade 「そうなんだよね〜。高山地区と密林地区のスイッチはやっと押したけど…」
Mizuha 「中央管理区の扉が開かないねぇ。後一つなのに」
Mist 「うんうん。海岸地区にあるのは確かなのにね…」

今回海岸地区まで来た四人は、ラボからの指令(依頼)のためだった。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

ついこの前起きた、ラグオル地表、パイオニア1の大規模な爆発事故。
そしてその調査に乗り出し、行方不明になった総督の娘である赤い輪のリコ。
パイオニア2のハンターズはリコを追って調査に出たわけだが、
あの件は結局、謎が謎を呼ぶだけで終わってしまった。

ハンターズギルドの総力を上げてラグオルの調査が進められると、地表から奥深くに遺跡が発見された。
そこにダークファルスが現れ、次々とハンターズのメンバーを毒牙にかけていった。

この強敵を倒したのは…
いまでこそ海の家を経営しているが、CHEIKOとalulunは他の仲間と共に、
ラグオルに巣食っていたダークファルスを見事に葬り去ったのだ。

おかげでセントラルドーム周辺にいた動植物は大人しくなり、一時的な平和が訪れた。
しかし、このガル・ダ・バル島がラボにより発見され、簡単な調査が行われると、
セントラルドーム付近と同じような現象が起きていたのだ。
この事により、急遽ラボがハンターズギルドに依頼を出した。

軍とは関係なく、依頼という形で指令が下りているわけだが…。
その前に少数精鋭で調査を行うため、VRシステムという戦闘シミュレーションができる中を
見事クリアしてきたもののみを雇う形をラボは取った。
Lade達四人はそのVRシステムをクリアし、今ここに立っている。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

chan 「前みたいに闇雲に探しても見つからなさそうですしねぇ」
Lade 「ですねぇ。またあんな大量の蜂となんか戦いたくないし…」

先日、四人は調査のためにこの海岸地区に来ていた。

ラボが中央管理区を発見し、その扉の向こうの調査が今回の重要任務。
しかしスイッチにより三重の鍵が掛かっていたため、進むことができなくなっていた。
ラボの感知機により、それぞれのスイッチの場所は大体割り出せたが、正確な位置は把握できなかった。
なので直接その地に踏み込み、しらみ潰しに探すしかなかったのだ。

扉を開くスイッチは密林地区、高山地区、海岸地区にあるとわかり、
その内の密林、高山についてのスイッチは無事押すことが出来た四人。
だがこの海岸地区だけは、前回来た時にはどうしても見つける事ができなかった。
しかもとんでもない数の蜂(ギー)にまで襲われ、骨折り損で帰ったのだった。

海岸地区自体は、調査と関係なく…なら何度も足を運んでいる場所だが、
その度に四人はCHEIKO夫妻のところに通ってもいた。
Mizuha 「しょうがないね。今回も突っ込みすぎず、ぐるぐる回ってみようか」
Lade 「そうですね。少しずつでも行動範囲を広げないと…」
alulun 「まぁまぁ。あまり調査の事ばかり考えずにさ♪ここでちょっとまったりしていきなよ♪」
Mist 「にゃはは♪そやって結局まったりするだけで、また帰ったりしてね」

前回とその前は結局海の家で休憩するだけで終わっていた。
それだけ居心地が良いのもあるのだろう。
Lade 「さすがにそろそろ動かないとね。依頼で来てるわけだし」
alulun 「ま、ね」


こぉーん!

CHEIKO 「おぉ〜!また当たった!すごいすごい」
chan 「ふっふ〜ん☆命中率ならまかせなさ〜い♪」
Lade 「…ってもう遊んでるし!Σ( ̄□ ̄;)」

こぉーん!とまた一つ、乾いた良い音が響く。
Mist 「うわぁ♪すご〜いchanさん☆」
Mizuha 「なになに?あの岩に向かって投げてるの?」
CHEIKO 「うむり。あんだけ遠いとなかなか難しいんだがなぁ…chanさんすごい」


何時の間にか始まった石投げ大会。
MistとMizuhaは腰を下ろしてその様子を見ていたり、alulunと一緒に片付けをしていた。
一番真面目に調査を進めようとしていたLadeは、今は一番石投げに熱くなっていた。

Mist 「お〜!chanさんまた当てた♪ホントすご〜い!」
Mizuha 「あはは♪すごいねぇ。いっそレンジャーになってみるとか」
Mist 「にゃはは。名案かも♪」

二人がそんな感じで話す中、Ladeとchan、そしてCHEIKOの三人は、ひたすら石を投げていた。
目標は向こうに見える岩礁から、少し突出している岩だ。
海岸からは垂直ではなく、斜めに放っていることになる。
Lade 「くぅ〜!あたらな〜い!」
CHEIKO 「よっし!やっと当たったぜぃ♪」
chan 「むむ!やるな!」
CHEIKO 「フッフッフ。まだだ!まだ終わらんよ!」
Lade 「うぅ。兄さんまで…。くっそ〜!」

気張ってLadeはまた投げる。明らかに三人の中で一番スピードと言うか威力はあるのだが、
命中が微妙に足りていない。見当違いな方に投げているわけでもないが、
遠くの岩に当たるところまでは今一歩外れていた。

CHEIKO 「はは。あんまり力むと余計駄目んなるぞ〜」
Lade 「いいの!俺は俺のスタイルを通してやるんだぁ!」

必死になって投げるLade。石はものすごいスピードで目標の岩をかすめ、過ぎていく。
alulun 「あはは。確かに当たったら気持ち良さそうな勢いにゃ♪」
うんうんと頷くMizuhaとMist。それから少しして、とうとうLadeの投げる石が岩に命中した。

Lade 「どっせ〜ぃ!」
渾身の力を込めて投げられた石は、始めは綺麗にまっすぐ…
そして目標の岩の少し手前でホップし、見事岩の先端に命中した。
がきーん!ととても大きい音を放ち、崖の方に跳ね返る。
少し岩の先端も欠けたようだ。

Lade 「よっしゃぁ!みたか兄さん!」
CHEIKO 「おぉ、やるねぇ。さすがに威力はすごいな。当たらなきゃしょうがないかもしれんが」
Lade 「く…一撃必殺と言ってくんねぇ」
Mist 「にゃはは♪けどすご〜い☆私なんか届かないよ、あんなとこ!」

そんな喜びの雰囲気もつかの間…。異変にいち早く気づいたのはchanだった。
chan 「うに?何この音…」
Mizuha 「え?音?」

なんて言っている間に、じわじわと大きくなる音が大量に…。
ブーーーーンと、耳元で聞こえたら振り払いたくなる音。

Mist 「も、もしかしてこれって…」
CHEIKO 「さっきLadeの投げたやつ…崖の方に跳ね返ったみたいだけど、そこからやね」
Lade 「う、うそぉぉぉお!」

そう、大量のギーが押し寄せてきたのだ。

chan 「こりゃ、巣にでも当たったんですかねぇ」
alulun 「なんてのんびりしてないの!店は絶対守ってもらうかんね!」
一同 「は〜い!!」

全員が返事をして対峙する…が、数が尋常ではない。
前回の時の比ではないのだ。

Mist 「な、なんでこんなに」
CHEIKO 「わからんが、とりあえずこのままこっちに引き付けるとまずいな…」
Mizuha 「囮が必要…ですね」

Mizuhaが言うが先か、全員の視線はLadeへ向けられた。
Lade 「ぅ…わかりましたよぉぉ!Lade!逝っきま〜す!!!」
一人返事と同時に、猛然とダッシュして群れに飛びこむ。
Ladeは冗談じゃなかったが、一同はその様子を見て笑ってしまっていた。
alulun 「あいよ♪いってきな〜!って近寄るんじゃないよ!」
即座に群れから先行してきたギーに反応して放たれるギゾンデ。直撃したギーは次々と落ちていく。

chan 「うひゃ。お店かかってるとさすがに凄いですねぇ」
alulun 「もちろんよ!私の店の領域には少しも入れさせてやんないんだから」

前に出て完全に戦闘態勢のalulun。全く物怖じしていなかった。
CHEIKO 「ほいほいほいっと」
その横で、右手は包丁、左手はフライ返しを巧みに使い、次々とギーを落としていくCHEIKOがいた。
Mizuha 「うわすご。ちぇ〜こさん器用〜♪」
CHEIKO 「はっはっは。佃煮にでもしちゃるか」
Mist 「うぇ…あんまり食べたくないかも…」
alulun 「あはは。まぁこっちは私達にまかせて。Ladeに加勢してきなさいな♪」
CHEIKO 「うむ。店周辺は俺らでなんとかすっから」
chan 「了解!」

Mizuha 「はぁ〜い」
Mist 「いっくぞ〜♪」

ギーの群れを引き付けて走るLadeを追いかけるため、三人は同時に走り出した。

Lade 「ひいぃぃああぁぁぁ!!」
囮のLadeはとんでもないスピードで走っていた。
一度群れの直前まで近づき、あわよくば一撃を浴びせようとしていたLade。
構えたまでは良かった。しかしさすがの数に負け、体の方向を変えてそのまま明後日の方向へ。
Lade 「と、とりあえず…狭いとこに…!」
さすがに長く全力疾走は続かない。Ladeは細い道を見つけ、即座に飛びこんだ。
しかし、入ってすぐ走っただけで、視界が開けた。

Lade 「お!なんだここ!」
直角にそびえたつ崖に、四方を囲まれた場所だった。
真上には青い空がぽっかりと穴をあけたようにして見えていた。
少しだけ足を止め、周りを見渡す。
だがすぐに後ろから戦闘の音が聞こえてきた。

爽快なピシャーン!という電気の音だ。
Ladeは振り向くと、通路から出てこようとして落ちていくギーが見えた。
chan 「うにぃぃ!」
スライサーを振り回し、一番前で突進するchanに続き、
後ろからMistとMizuhaがギゾンデで加勢していた。

chan 「おす♪久しぶり!」
Lade 「あはは。さすがに疲れましたよ」

あっと言う間に到着したchanに答えた後、ゆっくりと構えるLade。
そしてなんとか追いついたMistはすでに息が切れていた。
Mist 「ふぅふぅ…。Ladeさん早すぎ!」
後ろからは何匹ものギーが襲い掛かってきているが、
少数ずつになっているため、さして苦もなく始末する三人。

Mist 「あ、あれ?水刃ちゃんは!?」
Lade 「お?さっき向こうで見えたときは一緒のようでしたけど…って、あぁ!」
Mizuha 「ひ〜ん、助けて〜〜〜」

通路の出口より少し中に入ったあたりで、ラバータを連発していたMizuhaがいた。
見事にギーを凍らせ、足止めしている。
走るのに限界がきたため、その場で対抗するしかなくなっていたのだ。
chan 「うわわわわ。ちょっと行ってきます!」

すぐにchanによって救出されたMizuha。足止め&退治で大活躍だったが。
Mist 「水刃ちゃん、ごめ〜ん!だいじょぶだった!?」
Mizuha 「あはは〜なんとか。この私にかかればあんなの楽勝よぉ♪」
Lade 「は、半泣きだったのに」
Mizuha 「う…Ladeちんのいぢわる」

結局固い雰囲気は抜け、いつものお気楽ムードになった。
このメンバーでカッコ良いムードは長く続かないらしい。

chan 「お、残党がまだいるようですね」
またも一番に反応したchanが構え、通路の方を向いた。
chan 「ん?およ、もしかしてあそこ…」
上を見上げつつ呟く。しかし他の三人には聞こえていなかった。

…数分後。
ほとんどの追っ手を退き、一息ついた四人。
今は改めて回りの風景を観察していた。
Mist 「なんか…不思議な空間だね」
Mizuha 「うんうん。上のぽっかり開いた穴からなんか覗いてきそう」
Mist 「やだ、やめてよ。怖くなっちゃうじゃない」
Lade 「あはは。大丈夫ですよ。綺麗なもんじゃないですか」

この海岸地区で、他に見なかった風景に関心を示す一行。
全員がここに何かあるような気がしてならなかった。

chan 「う〜ん…」
そして、一人悩むような仕草をするchan。その様子を見てLadeが話し掛ける。
Lade 「お?chanさん何か見つけたんですか?」
chan 「いえ、ちょっとあの崖の上にですね…」
Lade 「あの上?何かあります…?って!!!?」
Mizuha 「うっそ〜ん」
Mist 「ひゃあぁぁぁ!なに!なにあれ!?」

本当に何か大きいものが覗いてきたのだ。
逆光になり、シルエット状態になってゆっくりと降りてくるその物体は…
四人に近づくにつれその大きさを増していった。

chan 「うに!?なんか出てきた!」
Lade 「え?あれの事を言ってたんじゃないんですか??」
chan 「えと、後で話しますです!」
Lade 「了解!」

少しずつ降りてくるその物体。だんだん耳障りな音が広がり、この空間に篭って響いた。

Mizuha 「もしかして…」
Mist 「にょ?」
Mizuha 「高山と密林にも異常なくらい進化した敵いなかった?猿とか植物とか…」
Lade 「げ。って事はあれはやっぱり…」


chan 「蜂の進化系です!」
chanが叫ぶと同時に急降下をしてきた。四人は四方に散らばりそれを避ける。
しかしそのまま直角に曲がり、Lade目掛けて体当たりをしてきた。
Lade 「うああぁぁぁ!!やっぱり俺かよおぉぉぉ!」
そのまま壁までものすごいスピードで押され、巨大な蜂(ギ・グー)は直前で急上昇する。
Ladeは背中からおもいきり壁に叩きつけられてしまった。

Lade 「うぎゃ!」
Mist 「大丈夫!?」
Lade 「はい!なんとか…ありがとうございます!」

叩きつけられる直前。Mistがなんとかデバンドをかけていたのだ。
それでもさすがに体に来ているので、すぐさまレスタを唱えるMist。

Lade 「あたた…どもです!くそ!今までの敵とは比較にならないくらい早い!」
chan 「…!」

高い位置まで戻ったギ・グーに対し、素早い反応で銃を撃つchan。
しかしそのフォトンの弾は何事もなかったかのように吸収されてしまった。
Mist 「え?何あれ?」
chan 「バリア…みたいですね」
Mizuha 「う、そんなのまであるの〜」

と言いつつ、ゾンデを放つMizuha。するとギ・グーは声をあげつつ、バリアを解除して降下した。
つまりダメージを負ったのだ。

Lade 「お♪バリア状態でもテクは効くわけね」
chan 「しかも当たった時にバリアが解除されてます!」
Mist 「水刃ちゃんお手柄〜♪」
Mizuha 「え?え?」

慌てている水刃から得たヒントを元に、戦闘を続ける一行。
MistとMizuhaがテクで一瞬叩き落し、その瞬間にLadeとchanが弾丸を叩き込む。
しかし素早さに加え、自己再生能力が高いのか、思ったようにダメージが与えられない。
更に高い位置まで戻ってしまうので、遠距離の苦手なハンターでは
致命傷まで持っていくこと自体が難しかった。

繰り返しそんな戦闘をする中、もう一つわかったことがあった。
バリア状態の時のギ・グーは何もせずにこちらの様子見をしている事だ。
この間に声を掛け合い、作戦を練り直す。
Lade 「フォースのお二人さん…グランツは使えます?」
Mist 「ぅ…私は無理だ」
Mizuha 「使えるよ〜♪」
Lade 「試しにうってもらえませんか?」
chan 「確かにあの威力なら…足元まで落とせそうですね」
Mizuha 「いいけど…TPがそろそろ限界近いし、もう何発も使えないからね」
Lade 「すいません。お願いします」


chanとLadeが少し前に出て、ギ・グーの意識を自分達に向けさせた。
その間に詠唱を始め、ゆっくりとかまえるMizuha。
次の瞬間、光が一閃し、ギ・グーが悲鳴を上げた。
真上からの攻撃に、すごい勢いで地面に叩きつけられる。
chan 「うりゃあぁ!」
Lade 「よっしゃぁ!」

ハンター二人がすぐさま近接武器で斬りかかる。
地面への衝突はなんとか免れたギ・グー。
そしてchan達の攻撃は寸でのところで避けられ、上昇されてしまった。

Lade 「くぅ、惜しい!次こそは!」
Mizuha 「ご、ごめ〜ん。あと一発くらいが限界っぽいや。もう少しいけると思ったんだけど…」
Mist 「うぅ、私も使えればいいのに〜」
chan 「いえ、いいですよ。なんとか思いつきました」

chanの発言に全員が耳を傾ける。当然その時もギ・グーから目を離すことはない。

Lade 「お?なんですか?」
chan 「さっきの崖の上ですけど…おそらくあの上に行けます」
Mist 「え?そなんだ?」

少しだけ崖の上を見上げる四人。結構な高さがある。
chan 「そこから…私が斬りつけます」
Mizuha 「え!?あんな高さから?」
chan 「大丈夫ですよ。私ロボだから頑丈ですしね。今はこの方法で信じてください」
Lade 「OKです。いきましょう。作戦を詳しくお願いします」

何度かのギ・グーとの戦闘を重ねつつ作戦が全員に伝えられた。
準備としてMistがchanにデバンドをかけ、一旦別れた。

そして…1分後、作戦開始!
ギ・グーをLadeが引きつけつつ、今度はすぐに斬りかかれるよう、ほぼ真下を陣取った。
Mistはゾンデを撃ちひるませ、その間にMizuhaが詠唱を始める。

Mizuha 「これで…決めるよ!」
光の筋がギ・グーの真上に落ちる。
Mist「ザルア!」
降下したところに、Mistはザルアをかける。
Lade 「おぉぉぉ!!」
ほぼ真下にいたLadeはギ・グーを、セイバーで横薙ぎに払う。同時にMistのシフタもかかる。
耳をつんざくような悲鳴を上げた後、なんと下半身がもげかけた状態で上昇しようとした。
Mist 「シフタ!!!」
次の瞬間、もう一度シフタを唱えたMist。かけた先は…chanだ。
chan 「うにいいぃぃぃぃぃ!!」
真上から自分の身長の2倍はありそうなソードを構え、急降下してきたのだ。

…ギイィィィィィィィィ!!!!
完全に真っ二つになり、断末魔を上げたギ・グーは静かに沈んだ。勝利したのだ。
真下に落ちたchanに三人が駆け寄り、Mistがすぐにレスタをかける。
Mist 「だいじょぶ!?」
chan 「へっへ〜♪やりましたぁ♪」
Lade 「ふぅ、無茶しましたねぇ」
chan 「にはは、斬る時にあいつがクッションになったおかげで、思ったよりは衝撃なかったです」
Mizuha 「良かった〜!chanさん無事で…」

半泣きのMizuha。chanは満面の笑顔でひょいっと起きあがった。

chan 「ありがとうです♪でも今回の戦いは、骨折り損じゃなくなったっぽいですよ」
Lade 「え?」
chan 「あちらの通路…やっぱりすぐ開けてるみたいです」

chanの指差す方向は、先ほどLade達がきた通路とは反対方向だった。
Mist 「あ!もしかして」
chan 「そうです♪スイッチらしき機械がちらっと見えたのです♪」
Mizuha 「おぉぉ♪あの一瞬で!?さすがchanさん、ハンターの鏡!」
chan 「光栄です♪…では、早速押しに行きましょうか!」
Lade 「OK!」



……
………

無事に海岸地区のスイッチを押せた四人は、その後すぐにラボには戻らず、海の家に向かった。
CHEIKO夫妻に挨拶をするためだ。
どうやらこちらにも、多数のギーがきたようだ。死骸が散乱している。
CHEIKO夫妻はそれの片付けをしていた。

CHEIKO 「お。おかえり〜。無事全部倒せたようやね」
alulun 「フフ。この子達なら余裕でしょ♪」
Lade 「いえ、死に物狂いでしたよ…。でっかいのに襲われるし」
alulun 「あらら。大変だったのねぇ」
Mist 「でも!スイッチが見つかったんです!」
Mizuha 「うんうん。chanさんのおかげでね♪」
chan 「にはは、たまたまですけどね」

ちょっと照れくさそうな表情を見せるchan。やはりこういう表情はアンドロイドらしくない。

CHEIKO 「お〜!良かったじゃないか。これでやっと本番か?」
Lade 「そう…なりますね。あの先に何があるんだか…」
Mizuha 「まぁまぁ。ラボの人達が気に食わないのはわかるけど、私達も…ね♪」
Mist 「そうそう。知りたい事はいっぱいあるんだから!」
Lade 「はは、そうですね」


一段落ついたので、少しここで休憩&片付けを行い、四人はラボに帰る仕度をした。
そこに、alulunが声をかけた。
alulun 「みんな♪」
返事をして、全員がalulunの方を向く。
alulun 「この先…なんだかあまり良くない事が起きる予感がするの…。決して無茶だけはしないでね」
chan 「了解です♪」
Lade 「はは、わかったよ義姉さん。このメンバーじゃ言っても無駄かもしれないけど」
alulun 「もー!そういう事言わないの!」

Ladeの台詞に反応して大笑いする一行。

alulun 「いつでも…待ってるから、疲れたらまたおいで!」
CHEIKO 「おぉよ。上手いもん作ってまっちょるけんな」
Mist 「はい!ありがとうございます♪」

四人同時に頭を下げる。
Lade 「それじゃ…いってきます!」
chan 「いってきま〜す☆」

そして一行は海の家を後にした。

…数日後。
中央管理区の扉の前にあのメンバーは集合していた。
chan 「さて、とうとう来ましたね」
Lade 「何があるかわかりませんからね…気を引き締めていきましょう!」
Mizuha 「おっけぇ♪」

扉のスイッチの鍵はランプによってわかるが、今は全てブルー。
つまりは開くことを示していた。

Mist 「そういえば、ここに来て思い出しましたけど…」
chanの方を向いていうMist。
chan 「はい?」
Mist 「あの時、崖の上にどうやって上ったんですか?」
Mizuha 「あ〜私も思った!」
chan 「あ、あれですか。実はですねぇ。転送装置があったんです。上に行ける」
Mist 「ほえ?いつ見つけたんですか?」
chan 「ハロウィンの時に個人的にケーキを運ぶミッションがありまして」

うんうんと頷く三人。

chan 「その時に別の場所から転送装置であの上に行けたんですよ」
Lade 「なぁるほど。それであの位置からの攻撃を思いついたわけですね」
chan 「そーゆー事です♪」
Mizuha 「すっごいねぇ」

Mistの方を向いて言うMizuha。Mistも頷くばかりだ。
chan 「にはは、まぁ私一人の力じゃあの敵は倒せなかったですから」
Lade 「…そうですね」

屈託の無い笑顔を見せるLade。
MistとMizuhaも力を合わせられた事が嬉しかったのだろう。これ以上ない笑顔を見せた。

chan 「さて、開けます…ね」
Mist 「は〜い♪」
Mizuha 「ドキドキ…う〜緊張するなぁ」
Lade 「何があったってこのメンバーがいれば…。頑張りましょう!」


次のステップに向けて、扉はゆっくりと開いていった…

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