DEAR YUKIちゃん





「スカリ−、結婚しよう」
朝、いつものようにオフィスに行くと、開口一に相棒がそんな事を言った。
あまりにも唐突だったので、”へ”という顔を浮かべ、暫く彼を見つめる。

この人、どこまで本気でこんな事言うんだろう・・・。

ただの冗談だとわかっていても、なぜか胸がドキっとした。
やだ、モルダ−の言葉にそんな事思うなんて・・・。

「まったく、朝っぱらから何言ってるの?寝言は寝てから言うものよ」
さらっと流し、平気なフリをする。
「・・・僕はいたって正気さ」
そう言い、XFを見せる。

またコレか・・・。

小さくため息をつき、ファイルを見つめる。
「実はある夫婦が失踪しているんだ。それも普通の消え方じゃない。突然、荷物も何もかもなくなっているんだ。
隣人とかはそれに全く気づかないらしい」
興味深そうにモルダ−は事件のあらましを話始めた。
「何?まさかエイリアンに誘拐されたとでも言うの?」
方眉をあげ、チラリと彼を見る。
「その可能性もあるかもね。この辺はアブダクトがよく起るから」
「・・・で、何?私たちは夫婦として潜入するわけ?」
「その通り」
嬉しそうにモルダ−はスカリ−を見た。

はぁぁ・・・やれやれ・・・。





「へぇぇ・・・綺麗だ」
モルダ−は以外そうにウェディングドレスを着たスカリ−を見つめた。
二人は潜入捜査の小道具を揃える為結婚写真を撮影していた。
「馬子にも衣装なんて言いたい?」
タキシ−ドを着てスカリ−の隣に立つ彼に言う。
「いや、まさか。そうだ。写真はやっぱり、リアリティが欲しいなぁ」
何を思いついたのか、そう言うと、モルダ−はスカリ−を抱え上げた。
「えっ、ちょっと」
モルダ−に抱き上げられ、驚いたように瞳を見開く。
「・・・甘い香りがする」
スカリ−を抱き上げ、モルダ−はボソリと口にした。
その言葉にスカリ−の動悸が幾分か早くなる。
「セクハラで訴えられるわよ」
何とか動揺を心に出さぬようにいつものジョ−クを口にする。
「やだな。これも潜入捜査のうちさ」
軽くスカリ−にウィンクして笑った。





翌日二人はアンダ−ソン夫妻として新居に引っ越した。
住人は皆親切で今の所何一つ怪しい所はなかった。
「ここが僕たちの新居か」
モルダ−は何だか嬉しそうに家の中を見つめていた。
「新居には新妻を抱えて入るんだよな」
冗談めかして口にする。
「結構よ。私は自分で歩いて入るわ」
いつもの冷静な表情のまま口にする。
モルダ−を無視して、さっさと家に入る。
何だかここに来てからスカリ− が少しよそよそしい気がしていた。
でも、一体どうしてだろう?とモルダ−は考えを巡らせるが結論は出ない。
潜入捜査初日は引越しやら、近所への挨拶やらで幕を閉じた。

そして、夜・・・。

「あなたね。本当にダブルベット一つしか持ってこなかったの?」
恨めしそうにスカリ−がモルダ−を見る。
「だって、もう一つベット持ってくるなんて不自然だろ?僕たちは新婚って設定なんだから」
モルダ−の言葉に反論の余地もなかった。
それはもっともな事だけど、理性で抑えきれない部分が目の前のダブルベットに落ち着かない気持ちにさせた。
「さぁ、僕たちは夫婦。一緒に寝よ」
何ともないようにモルダ−はベットに横になった。
自分だけが動揺しているのが悔しくて、ついきつい表情になってしまう。
「はははは。わかったよ。冗談、冗談。僕は下のカウチで寝るよ」
スカリ−が睨んでいると思い、枕一つ持って起き上がる。
「・・・宜しい。じゃあ、お休み。モルダ−」
寝室から出ていくモルダ−の背中にそう言い放ち、スカリ−は大きくため息をついた。

私、何意識してるんだろう。
モルダ−はただの相棒じゃない。

彼がさっきまで横になっていた部分に寝る。
暖かなぬくもりがまだ残っていた。




「おはよう」
スカリ−がリビングに下りていくと、先にモルダ−が起きていた。
「朝食できてるよ」
眠そうなスカリ−にクスリと笑いながら言う。
「えっ」
スカリ−は驚いたようにテ−ブルについた。
スクランブル・エッグにト−スト、サラダ、コ−ヒ−、オレンジジュ−スが並んでいる。
モルダ−が朝食を作るなんて、以外すぎて言葉も出てこない。
「どうした?そんな不思議そうな顔して」
彼女の前に座り口にする。
「・・・何か以外だったから・・・」
素直に心に浮かびあがった言葉を口にする。
「昨夜は君が夕食を作ってくれただろう?だから、朝ぐらい僕が用意するさ」
穏やかな笑みを浮かべて、モルダ−はコ−ヒ−を口にした。
スカリ−もモルダ−が用意した朝食に手を伸ばした。



潜入捜査から一週間が経つが何一つ事件の手がかりが掴めなかった。
さすがのモルダ−も厳しい表情を浮かべる。
「・・・おかしいなぁ・・・本当にただの失踪なのかな・・・」
リビングのカウチに横になりブツブツ独り言を口にする。
「さすがのあなたもお手上げ?」
モルダ−の正面に座り、コ−ヒ−を差し出す。
「えっ、あぁ。何も見えてこないんだよなぁ。スカリ−、君はどう思う?」
「・・・そうねぇ。今の所、事件性のあるものは見えてこないわ」
「そうか。君もそう思うか・・・。あっ、そこのファイルとってくれる?」
モルダ−はスカリ−の側に置いてあったファイルを示した。
「えっ、あぁ・・はい」
そうモルダ−に渡した瞬間、二人の指と指が重なる。

ドキッ・・・。

二人の胸に大きな鼓動が打ち込まれる。
「あっ、ごめん」
パッとスカリ−はモルダ−から手を離した。
「えっ、あ、別に・・・」
何だか変な空気が流れる。
普段は気にもとめない事がなぜか気になる。
意識するまいと言い聞かせても、気づくと互いの事を見ていたりする。
ここではオフィスでは見えない何かが見えた。
「・・・え−と、私、ちょっと散歩に行ってくるわ。隣の奥さんと犬散歩に付き合う約束をしてるの」
幾分か上ずった声で言い、スカリ−はカウチから立ち上がった。

「きゃっ!」
次の瞬間、床に置いてあった分厚い本にぶつかる。
バランスを崩して、スカリ−はモルダ−の上に倒れた。
目の前にはモルダ−の驚いたような顔があった。
「あっ、ごめん・・」
小さく呟く。
「いや、僕の方こそ・・・。本を置きっぱなしにしてたから」
あまりにも近い距離に二人は息がつまりそうになる。
視線と視線がぶつかり合い、二人は逸らす事もできずに、じっと互いを見つめていた。

ピンポ−ン。

チャイムの音で、ハッと我に帰る。
「あっ、出ないと」
そう言い、スカリ−はモルダ−の上から起き上がった。
モルダ−は無言でスカリ−を見つめていた。

何だ、この感情は・・・。

ずっと相棒として見てきた彼女が別の存在に見えた。
恋愛感情はなどは一切持たないようにしてきてなのに、今の一瞬で何かが芽生える。
いや、閉じ込めていた感情が表に出てきたのかもしれない。
考えるべきではないと、ずっと思ってきた。
彼女と相棒としてやってい上でそれらの感情は支障をきたすものだった。

「・・・はぁぁ・・・。どうかしてるな。僕は」
カウチから起き上がり、理性を取り戻すように彼女が入れてくれたコ−ヒ−を口にした。




「・・・綺麗な夕焼けね」
犬の散歩をしながら、隣の妻、メアリ−が口にする。
「そうねぇ」
スカリ−は感慨深く空を見つめた。

私、どうしたんだろう・・・。
ここに来てから変・・・。

モルダ−との事が頭に過ぎる。
振り払っても振り払っても彼の顔が頭から離れなかった。

「どうしたの?何だか浮かない顔ね?」
メアリ−の言葉にハッとする。
「いえ。何でもないの・・・。所で、私に話したい事って何?」
スカリ−の言葉にメアリ−の表情が曇る。
「実は私、見たの。あなたたちが住む前に住んでいたご夫婦が誘拐される所を」





「・・・遅いなぁぁ」
時計に目をやると、もう午後10時を過ぎていたが、スカリ−は戻って来なかった。
いくら何でも犬の散歩に行くにしては長すぎる。
隣の家にでも呼ばれたのだろうか・・・。
しかし、それならばモルダ−に一言声をかけるはずだ。

「・・・まさか!」
モルダ−の中に予感が走る。
モルダ−の中の何かが警報を鳴らしていた。
携帯に手を取り、何度も鳴らすが彼女はついに出なかった。





「・・・私をどうする気!」
夫婦の失踪について知っているからと連れて来られた場所はどこかの家の地下だった。
スカリ−は手に手錠をかけられ、自由を奪われる。
数十もの人がスカリ−の周りを円を描くように囲う。
「・・・お嬢さん、余計な詮索はしない方がいい」
一人の男がそう言い、スカリ−に近づいた。
「一体、何の事?」
ジロリと男を見る。
「いや、FBIのスカリ−捜査官と言った方がいいかな」
その言葉に瞳を見開く。
「あの家には特殊な盗聴機がしこまれているんだよ。普通に探したってわからないようなね」
男は薄気味悪い笑顔を浮かべた。
「一体、私をどうするの?」
「・・・君には人柱になってもらう。ここは昔から土地の神に捧げる風習になっているんだ。そろそろ今の人柱も力がなくなってきたからね」
ニヤリと冷笑を浮かべると、男は指を刺した。
男の指先を追うと、そこには儀式用の柱にくくりつけられた2体の白骨体があった。
「・・・まさか!あれは!」
「そう。君たちの前にあの家に住んでいた夫婦だよ。昔からの決まりでね。あそこに住む者は人柱になるんだよ」
そう言い、男は儀式用の剣を持ち、スカリ−に近づく。
そして、ゆっくりと剣を振り下ろす。

バンっ!

次の瞬間、銃声が響き、銃弾が男の右肩をとらえた。

「FBIだ!」
大勢の捜査官を連れてモルダ−が入ってきた。
「・・・モルダ−!」
アッという間に住人たちは捜査官たちに捕らえられた。
「怪我はないかい?」
スカリ−に駆け寄り、手錠を外す。
「・・・えぇ・・・」
ホッとするようにスカリ−を見つめる。
「・・・よかった」
心配するようにモルダ−はスカリ−を抱きしめた。
二人は暫く、抱き合っていた。





「でも、どうして私があそこにいるってわかったの?」
家に戻り、スカリ−が不思議そうに口にする。
「・・・あの家に招待された時にね。地下が気になっていたんだよ。あそこだけは捜査が完全にできていなかったから、もしやと思ってね」
スカリ−の隣に座り、ワイングラスを渡す。
「なるほど。あなたの勘が働いたのね」
クスリと笑みを浮かべる。
「まぁ、そういう訳かな」
スカリ−のグラスにワインを注ぐと自分のにも入れる。
「お疲れ様」
二人はチンとグラスとグラスをくっつけてワインを口にした。
「今日で僕たち夫婦生活も終りか」
しみじみとモルダ−が口にする。
「はぁ。やっとあなたから開放されるのね」
「酷いな?僕は駄目夫かい?」
傷ついたような表情を浮かべ、スカリ−を見つめる。
「えっ」
いつもの冗談で口にしたつもりだったが、モルダ−の瞳が悲しそうに見えてドキっとする。
「・・いえ、そうじゃないけど・・・ただ・・・」
必死で言葉を捜すが頭の中が白くなる。
「・・・ただ?」
窺うように見つめる。
「・・・ただ・・・」
二人の視線が重なり合う。
不意にモルダ−の瞳が優しく微笑んだ気がした。

何かに押し出されるように、二人の唇が重なった。
それを合図にずっと抑えてきた想いが押し寄せる。
「・・・モルダ−・・・私・・・」
唇を離すと不安そうにスカリ−が告げる。
「・・・そんな顔しないで・・・。僕とこうなるのは嫌かい?」
スカリ−の頬にそっと触れる。
気づくと、スカリ−の瞳から涙が流れていた。
喉に熱いものがこみあげ、声にならない。
ただ、首を横に降り、答える。
「・・・スカリ−・・・ずっと君が好きだ」
モルダ−の言葉に大きく瞳を見開き、彼女は彼の腕の中で想いを開放するように泣いていた。
二人は今夜初めて互いの想いを確認し、一晩中抱き合っていた。




「・・・おはよう・・・」
照れくさそうにスカリ−が隣にいるモルダ−に言う。
「おはよう」
スカリ−を抱き寄せ、キスをする。
「どう?ようやく眠れたダブルベットの感想は?」
おどけるようにスカリ−が呟く。
「うん。そうだな。やっぱり、ベットが一番。特に愛する人の側が一番安らかに眠れるよ」
クスリと笑い、スカリ−を見つめる。
「ずっとカウチだったからね。実はちょっと、あそこ寒かったりするんだよ」
「あら、だったら言えばよかったのに」
「うん?言ったら君は一緒に眠る事を許してくれたのかい?」
「いいえ。一日交代でベットを貸してあげたわ」
スカリ−の言葉にまいったというようにモルダ−は笑い出した。
スカリ−もつられて笑っていた。
「・・・でも、やっぱり、僕は隣に君がいないと嫌だな」
腕の中のスカリ−をギュッと抱きしめる。
「・・・私も、あなたの隣がいい」
モルダ−の広い胸に顔を埋め、甘えたように口にする。
そんな彼女にモルダ−は益々愛しさを募らせた。
「ここを昼に立つ予定だったけど、もう少し延長しないかい?」
「えっ」
モルダ−の言葉に少し驚き、彼を見つめると、唇をアッという間に塞がれる。
再び、スカリ−はモルダ−に抱かれたのだった。






THE END





【後書き】
HAPPY BIRTHDAY♪ YUKIちゃん♪
という訳で、激甘モルスカを頑張って書いたつもりです。
製作時間二時間!(笑)ツメが甘いです(笑)
最近XFを書く脳が退化中なので・・・これ以上のものはCatからは出てきません(笑)

まあ、こんなんで良かったら貰ってやって♪

2001.1.6.
Cat

本・漫画・DVD・アニメ・家電・ゲーム | さまざまな報酬パターン | 共有エディタOverleaf
業界NO1のライブチャット | ライブチャット「BBchatTV」  無料お試し期間中で今だけお得に!
35000人以上の女性とライブチャット[BBchatTV] | 最新ニュース | Web検索 | ドメイン | 無料HPスペース