<Assassin−6−(最終章)>


36
「槙村香の生死を確認しました」
部下の男が海原に言う。
「今日、葬儀を向かえました。間違いなく死んでいました」
海原は黙って報告を聞いていた。
「それから、冴羽僚の死も確認しました」
一瞬、海原の眉が動く。
「・・・・そうか」
小さく、呟き、海原は窓の外を見つめた。

ふっ・・・、やはり、おまえは甘いな、僚・・・。

それから、半年、海原は国連職員暗殺の容疑で警視庁に追われ自らの組織と共に命を絶つ事になるとは、
本人にも読めない未来だった。

そして、別の所では・・・。



37
「香、調子はどうだ?」
槙村は優しく彼女を見つめる。
「えぇ、大分いいわ」
狙撃されてから一週間、彼女はベットから起きられるまでになっていた。
「今日は、風が気持ちいいわね」
槙村が窓を開けると、爽やかな風が病室を包んだ。
「今日、やっと組織の連中がおまえと僚の死を認めたようだ」
槙村の言葉に香は柔らかい笑みを浮べる。
「そう、僚の計画通りね」

話は狙撃直後に戻る。



38
血だらけの香を素早く向かえに来たのは救急隊員と冴子だった。
「・・・大丈夫よ」
救急車に乗った瞬間に、冴子が口開く。
「えっ」
その言葉の意味がわからず、怪訝そうに冴子を見つめる。
「僚はちゃんと、急所を外して撃ったわ。火薬の量を調節した銃弾で」
その言葉に槙村はハッとする。
「・・・まさか」
槙村の言葉に冴子は静かに笑みを浮べた。
「まだ、終わってないわ。仕上げにあなたがこの銃で僚を撃つのよ」
そう言い、冴子は僚から渡された銃を槙村に渡す。
「僚がそれで心臓を撃てと言っていたわ。安心して、あなたが撃っても正当防衛って事で私が処理しておくわ」
僚が冴子に渡した銃には僅かに照準がズラされていた。
心臓を狙っても僅かに急所が外れるようになっていた。
「僚は、いつものバ−であなたを待っているそうよ」
冴子の言葉に槙村は僚の意志を読み取った。

それから、一時間後、新宿中に僚の死が知れ渡る。
ここまでは僚の計画通りに全てが運んでいた。
たった一つ、僚が意識を取り戻さない事を除いては・・・。

どこで、どう歯車が狂ったのか、僚は出血多量のため、意識を失い、そのまま一週間以上が経っていた。



39
「・・・勝手に逝ったりしたら許さないからな」
生命維持装置に結ばれた僚を見つめ、槙村が呟く。
「おっ、来とったのか」
教授が助手のかずえを連れて病室に入ってくる。
「・・・う・・・む。かろうじて心臓は打っているが・・・まだ、意識は取り戻しそうにないな」
僚の様子をざっと見ると、教授が僅かに厳しい表情を浮べる。
「僚が目覚める可能性はどのくらいです?」
槙村の言葉に教授の表情が僅かに曇る。
「・・・そうじゃな。こいつの生命力から考えれば・・・10分の1の確率と言った所かな」
その言葉に槙村は辛そうに僚を見つめた。

勝手に俺を守ろうとしやがって・・・。

ぎゅっと拳を握り、僚を見つめていた。



40
「私は信じている。またあなたに笑って会えるって・・・」
香は眠る僚の側に座った。
「・・・このまま、あなたは逝ったりしない」
僚の手を握り、言葉を繋げる。
「お願い。戻って来て。私、気づいたの・・・あなたを愛しているって・・・。自分でも信じられない程に
あなたに惹かれているの・・・」
意識のない僚の唇にそっと自分のを重ねる。
「・・・戻って来て、僚」
香は唇を離すと、彼の胸の上に頭を置いた。
確かに、力強く鼓動を刻んでいる。
そして、変わらぬ温もりもそこにはあった。



41
「僚は最初から香の死を偽装するつもりだったのだろうか」
抱いていた疑問を槙村が口にする。
「さあね。でも、僚言っていたわ。出会ってしまったって・・・かけがえのないものに・・・」
冴子はその時の僚の表情を思い出した。
そう言った時の僚の目はどこか愛しい者を見つめる表情だった。
「かけがえのないもの?」
「えぇ・・・」
槙村を見つめ、冴子は彼の手を握った。
「だから全てを捨てる気になったのよ。命を賭けて・・・明るい日の下に出ようとしたんじゃないかしら」
冴子の言葉に槙村の胸の中に切なさが広がる。
「・・・バカヤロ−。死んだら許さんぞ!僚・・・」
小さく呟き、槙村は空を見つめた。



42
”私は信じている。またあなたに笑って会えるって・・・”

なぜだろう・・・。
こんなに心にこの言葉がしみるのは・・・。

暗闇だけしかなかった俺の世界に光が差し込む・・・。
俺に笑いかける君は誰だ・・・?

どうして、こんなにも胸が苦しいのか・・・。
こんな気持ちにさせる君は一体誰なんだ?


「・・・僚!」
目を開けると、そこには幾度も夢の中に出てきた女性がいた。
朦朧としている意識が次第にハッキリとしだす・・・。
「・・・僚!!!」
たまらず香が僚を抱きしめる。
「私、信じていた。あなたにまた笑って会えるって・・・信じてたの・・・」
その言葉に夢の中の女性とのイメ−ジが重なる。
「・・・香・・・」
愛しい女の名を口にし、僚も抱き返す。

そうだ・・・。
俺が求めていたのは・・・香だ・・・。
ずっと、探していた・・・。
俺の心が帰る場所を・・・。

君だったんだな・・・。

僚はこれ以上ない程の優しい笑顔を向け、香を見つめた。
そして、香も・・・。

穏やかな気持ちが二人の心の中に通い合う。
静かに二人の唇が重なる・・・。
愛しさを伝え合うように、二人は幾度も唇を重ねていた。





                         THE END



【後書き】
終わった−−!!!長かったです・・・ここまで・・・。
最後は絶対、こうしようと、書き始めた時から決めていました。
しかし、書いてみると・・・何のひねりもないような・・・(苦笑)
まぁ、あんまりツッコマナイで下さい。矛盾する箇所がいっぱいあると思いますが・・・ハハハハ。。←笑って誤魔化す

ここまで、お付き合い頂いた方、本当にお疲れ様でした♪
それから、ありがとうございます♪

今後は日常の僚と香なんて書いてみたいです♪

2001.9.15.
Cat






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