待ち合わせ
AUTHOR チャムチャム






マヤは、いつもの喫茶店から通りを眺めている。
お気に入りのミルク・ティーとケーキをほお張りながら・・・・

8時20分。
約束の時間から、20分過ぎている。
”速水さん、今日も忙しいのかな・・・”
速水は、最大大手の芸能プロダクション大都芸能の社長である。
そのスケジュールといったら、超売れっ子のアイドルも顔負けの忙しさだ。
待ち合わせをしても、速水は時間どうり来れたためしが無い。
マヤもなれたもので、いつもの事と思いながら通りを眺めている。


いつも速水との待ち合わせに使う、メイン通りの面したこの喫茶店がマヤは
好きだった。
外のメイン通りは、イチョウの並木道で秋には落ち葉で一面埋まる。
ちょっと、ラブ・ストーリーのヒロインになったような気分になれる。
喫茶店は通りの角にあり、前はスクランブル交差点になっている。
外でも、多くの若い恋人達が、待ち合わせをしているのが見える。

”お仕事忙しいんだろうなぁ。今日は、何分遅れで来れるのかな?”
いつものことと思いながらも、早く来て欲しいと心の中では思ってしまう。

「俺の仕事は、なかなか時間どおりに終わらないから、いつも君を待たせてしまう。
社の方に来て、待っていてくれても良いんだよ。」
二人が付き合っていることは、もう知れ渡っていて誰かに気兼ねをしなければならな
い訳ではなかった。
それでも、マヤは何だか気恥ずかしい気がして、デートの待ち合わせの時には、
この喫茶店で待つことにしていた。
「うん・・・。でも、何だかはずかしいし。いいの。あそこの喫茶店のミルク・
ティーとケーキ、おいしいから気に入っているし・・・。」
「はははは・・・、君はケーキには目が無いからね。俺が行くまで、好きなだけ食べ
ていて良いよ。ただし、お腹を壊さない程度にな。」
「もーう、速水さんひどい。そんなに食いしん坊じゃありません。」
「そうかなぁ・・・・」
「そうですよ。それに・・・・」
言いかけて、ふと考える。
「うん?それに何だ?他に何かあるのか?」
「何でもありません。ひ・み・つ・です。」
「ひみつ・・ねぇ・・。」
「そう、ひ・み・つ。教えてあげません。」
と言って、ふふっと笑う。速水も、まあいいかとあえて聞かない。

それに、場所も速水の大都芸能のビルからは、速水の足だと5分ほどで
着く位置にあり、車を使わなくてもすぐ来る事ができた。


”きょうの会議も、やはり時間どうりに終わらなかったな。久しぶりのマヤとのデー
トだというのに・・・・・。どうして、マヤと待ち合わせている時に限って問題が持
ち上がるんだ・・・”
心の中で愚痴りながら、マヤの待っている喫茶店へと急ぐ。
”30分の遅刻か・・・。”
1秒でも早くマヤの顔が見たくて、知らず知らず歩いている歩調が速くなる。

”やっぱり、今日も30分以上の遅刻かなぁ・・・・”
マヤは、時計を見るとはなしに見てしまう。
”いつものことだし、忙しい仕事を切り上げてきてくれるんだもの。それに・・・”

窓から外を眺めていると、スクランブル交差点の向こう側に速水の姿を見つける。
急いで走ってきたらしく、遠くからでも肩で息をしているのが分かる。
”あっ、速水さん。フフッ・・・。信号が赤なのでイライラしている。”
速水はまだ、マヤに気が付いていない。

”昔は、いつもマヤとの間の信号は赤信号で、決して渡ることができないと
思っていた。
でも今は、この信号が青に変われば、必ずマヤが待っていてくれる。
あの頃は、こんな日が来るとは想像も出来なかったなぁ・・・。
こんな幸せな気持ちになれるなんて・・・・。”
そんな事を考えながら、信号が青に変わるのを待っている。

どんなに仕事で約束の時間に遅れても、必ずマヤは速水が来るまで待っていた。
そして、遅れた事を責めた事は一度も無かった。速水の仕事の大変さを誰よりも
理解していからである。
そんなマヤの気持ちがうれしくて、1秒でも早くマヤのもとへ駆けて行きたかった。

信号が青に変わる。速水はマヤの待つ喫茶店を目指して駆け出す。

”速水さん、まだ気が付かないのかなぁ?”
速水を見つけた嬉しさを隠し切れず窓越しに、速水に向かって手を振る。

”マヤ!”
喫茶店の窓越しに、うっすらと頬を薔薇色染めて手を振る最愛の人の姿を見つける。
速水もマヤに向かって、微笑みながら手を上げる。

”もうすぐ速水さんがここに来て、やぁ、ちびちゃん待たせてすまない。と言って、
私にだけ最高の微笑を投げかけてくれる”
そう思うだけで頬は薔薇色になり、胸はドキドキしてくる。
”速水さんは、気がついてないんだろうなぁ。速水さんに見つめられるだけで、私が
こんなにドキドキしてしまうことを・・・・・

ドアが開く。
「やぁ、ちびちゃん待たせてすまない。」
そして、速水は最愛の人に最高の微笑を向けた。

マヤが、この喫茶店を好きな本当の理由は、ミルク・ティーでもケーキでもなく、
マヤの為に一生懸命駆けて来てくれる、そして最高にやさしい微笑を
投げかけてくれる、そんな速水を窓から好きなだけ見つめていられるからである。

ただし、その事はとても照れくさくて速水には言えず、秘密にしているマヤであっ
た。





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【Catの一言】
チャムチャムさん初投稿ありがとうございます♪いいですねぇぇ。マヤちゃんが速水さんを待っている情景が浮かんできました♪♪
好きな人を待っている時の浮き立つような気持ちを何だか思い出してしまいました(笑)はぁぁ。Catも速水さんを待っていたい(笑)

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