〜第2ボタン〜
AUTHOR chiaki




  
あなたの好きな女の子があなたに”第2ボタンください”と言ったらあなたはど
うしますか?
  きっと、その女の子にあなたはボタンを渡すでしょうね。
  そう、”第2ボタン”は”好き”という気持ち持っているのだ・・・・。


  卒業式が終わって、卒業生が校庭に集まって記念撮影をしていた。
  
  「沙希、早く行きなよ。」
  「わかってるよ。でも・・・。」
  「何よ今さら。行かなきゃ後悔するよ!」
  「うん・・・。」
  しかし、沙希の足は動かなかった。目線だけが”彼”を追っていた。沙希の目線
の先にいるのは、沙希が3年間片思いしてる誠がいた。
  沙希と誠はずっと仲がよかった。いつも2人の間には笑いがあった。誠が付き
合ってきた相手でさえ、2人の仲の嫉妬していたぐらい沙希と誠は
  仲がよかった。沙希は自分の恋が実らなくてもいいと思っていた。友達としてで
も誠の側で笑っていられるならば、ずっと気持ちが伝わらなくても
  いいと思っていた。しかし、卒業して幸せな日々が無くなってしまうと思うと、
沙希の目からは涙が止まらなくなってしまっていた。そんな沙希を
  見て親友の志乃は、沙希に告白を勧めた。
  「やっぱ告白なんて無理だよ・・・。」
  「何言ってんの?!あんたの場合告白ってもんじゃないでしょ。」
  「そんなことないよ。”第2ボタンください”って立派な告白じゃない!!」
  「そうね、今の沙希には十分すぎる告白だね。」
  志乃は少しあきれ顔していた。
  「でもな・・・・。」
  「何よ!?」
  「いや、誠が2日前に言ってたことなんだけど。」
  そう言って沙希は2日前のことを思い出していた。

  =2日前の放課後=
  「ねぇ、誠って誰に第2ボタンあげるの?」
  沙希はできるだけ普通に何気なく聞いてみた。
  「あーなんか宮崎にくれって言われたなぁ。あと、後輩の奴にも言われたよ。
まぁ、俺は特別な人もいないし来た奴にあげるよ!」
  (本命いないんだ・・・。歩か・・・。)
  歩とは宮崎歩といって、誠のこと好きな女の子だ。歩はとても素直でかわいいら
しく沙希の中ではライバルの一人だ。
  (きっと、歩で決まりだな・・・。)
  たまらず、教室を飛び出した。

  そんな2日前のやりとりをふと思い出していたら志乃が沙希に
  「ほら、誠の周りに女の子が集まってきたよ。歩もいるよ!」
  と言ってきた。沙希は誠の方に視線を戻すと動くことができなかった。そして誠
に背を向けた。視界がぼやけるのを感じていた。
  (もう・・・嫌だ・・・。)
  涙が止まらなかった。
  しばらくして誠達がいた方向に視線を戻すと、女の子達は皆いなくなってた。誠
と数人の男の子がいた。
  (やっぱり・・・。)
  誠の制服のボタンはほとんどなかった。袖口のボタンでさえなかったのだ。
  (はぁ・・・・。)
  その時沙希の横にいた志乃が突然叫んだ。
  「ねぇ!!見てあれ!!」
  沙希は志乃が指す方向を見た。
  「何よ。誠達じゃない。」
  「違う!!誠の制服よく見てよ!!」
  そして沙希も叫んだ。なんと誠の制服に”第2ボタン”が残っていたのだ。
  「チャンスだよ、沙希!!3年分の気持ちぶつけてきな!!」
  そう言って志乃は沙希の背中を押した。そしてゆっくり誠のほうへ歩き出した。

  「誠!!」
  「よっ!どうした?」
  「あのね・・・、あっ!写真撮ろうと思ってさ。」
  「おぉ、いいよ。」
  こうやって2人で撮るのは初めてだったので、沙希は緊張のあまり固まってし
まった。
  「おい!写真撮るんだろ。前向けよ。」
  「あっ。ごめん。」

  ”カシャ”
  
  「ありがと。」
  「こちらこそ。お前大学行ったら頑張れよ。」
  「何よ急に。珍しいこと言うのね。今日雪でも降りそうだな。」
  「なんだよ、人がせっかく真面目に言ってるのにさー。」
  顔を膨らませてスネテる誠がかわいくて、沙希は思わず笑った。
  「わかってるよ。いつもは口悪いけど、でも本当は優しいってこと私は知ってる
よ。」
  と言った途端に誠が顔を赤らめたので、さらに沙希は笑った。
  笑いながら沙希は3年間を振り返った。誠に恋をしていろいろ悩んだ時期もあっ
たが、3年間で築き上げた2人の
  絆は誰にも切ることはできないし、2人に間にはもっと深くそして強い絆がある
と沙希は誠の顔を見て確信した。そして
  告白するのはよそうと思い誠に別れを告げた。
  「じゃあ、行くね。あんたも頑張りなよ。たまには遊んでね!」
  沙希は誠に手を振って、心配そうに見ている志乃の方に歩き出した。その時だっ
た。
  「おい!これ・・・。」
  驚いて沙希は誠のほうを向くと、誠が制服の”ボタン”を取っていた。
  「お前にやるよ!ほらっ。」
  そう言って誠は”ボタン”を沙希に向かって投げた。”ボタン”がゆっくりと沙
希の手の中に落ちてきた。
  慌てて誠の顔を見ると誠が照れくさそうに
  「そういうことだよ。」
  と言って男の子の輪の中に入って行った。
  沙希はゆっくり手を開いて”ボタン”を見た。そしてまた視界をぼけるのを感じ
た。
  (今日帰ったら電話しなきゃ。そういうことってどういことって聞かなきゃ
な。)
  電話の向こうで赤くなるだろう誠を想像して沙希は笑った。

  沙希の手にはしっかりと誠の”第2ボタン”が握られていた。


【Catの一言】
読み終わった後、何だか清清しい気持ちになりました♪Chiakiさん、素敵なお話ありがとうございます♪
ラストに誠がボタンを投げる所が好きです♪♪この後の沙希と誠のお話も読んでみたいです♪



本・漫画・DVD・アニメ・家電・ゲーム | さまざまな報酬パターン | 共有エディタOverleaf
業界NO1のライブチャット | ライブチャット「BBchatTV」  無料お試し期間中で今だけお得に!
35000人以上の女性とライブチャット[BBchatTV] | 最新ニュース | Web検索 | ドメイン | 無料HPスペース