前書き:今回、かなり速水さんが壊れていますというか・・・速水さんではありません(爆)
このお話は”届かぬ想”いからのシリ−ズものです。”届かぬ想い”→”Miss you”→”Jealosy”→”二度目の初恋”→”蜜月” →”酔っ払い”という順番で続いています。





               酔っ払い











「たらいまぁぁ〜♪マヤちゃん〜♪」
だらしない声がマンションに響く。
マヤはその声の主に唖然としていた。
いつもはキリリと厳しい社長様が甘えたような声で、言ってきたのだ。
「・・・は、速水さん?」
本当に自分の夫とは同じ人なんだろうかと、目をパチクリさせる。
「へへへへ♪」
上機嫌にマヤを引き寄せる。
「かわいいマヤちゃんだ♪」
マヤをギュッと抱きしめ、唇を塞ぐ。
その瞬間に酒の匂いが流れ込む。
「うんっ!速水さん・・・お酒臭い!」
真澄から離れる。
「えっ?そう?」
と、頬を赤くし、千鳥足で、リビングに向かって歩いていたと思ったら、廊下に座り込み、眠ってしまったかのように目を閉じる。
「・・・速水さん、ここで寝ると風邪ひきますよ」
彼を揺するが、気持ち良さそうな表情を浮べて小さないびきまで立てている。
「・・・もう!こんなになるまで、どのくらい飲んだんですか」
呆れたように、口にする。
「ほら、起きて!速水さんってば!」
パンパンと軽く彼の頬を叩く。
「う〜ん」
ゴロリと寝返りをうつ。
「あぁっ!もう・・・」
マヤの力では到底、真澄をベットまで運べないので、仕方なく、ベットル−ムから掛け布団を持ってくる。
ス−ツの上着とネクタイを脱がせ、真澄が眠り易い格好する。
「・・・マヤ・・・」
寝言のようにそう言い、彼が彼女の膝の上に頭を乗せる。
「・・・もうっ、何か子供みたい」
真澄に布団をかけてやり、その無邪気な寝顔を見つめる。
「フフフ・・・。あなたでも、こんなふうになる時があるんですね」
そっと、真澄の頬に触れる。
「まだ、まだ私の知らない速水さんがいっぱいいるのかな」
瞳を細めて見つめる。
甘えたような真澄を思い出し、クスリと笑う。
「いつもは偉そうな社長様なのに・・・。私だけに見せてくれる素顔・・・嬉しいです。速水さん」
そう口にした瞬間、ぐいっとマヤの腕が引っ張られる。
「えっ」
真澄の上に倒れるような形になり、慌てて、起き上がろうとするが、彼は腕を離さない。
「・・・速水さん?」
抱き寄せられ、気づけば、真澄に押し倒されていた。
熱い瞳が彼女を射抜く。
「・・・君は、いつになったら、俺の事を呼んでくれるんだ?」
不安そうな表情で彼女を見つめる。

速水さん・・・。

「・・・マヤ・・・俺は・・・」
真剣な瞳が痛くささる。
その表情にマヤの胸がギュッと締め付けられた。
「・・・俺は・・・」
苦しいそうに表情を歪める。
「・・・速水さん?」
「・・・何か、気持ち悪い・・・」
突然、真澄の表情が真っ青になる。
「大変!速水さん、ちょっと待ってて」
急いで、リビングに駆け込み、ゴミ箱を持ってくる。
「さぁ、ここに」
真澄の前にゴミ箱を置き、広い背中をさすった。





「・・・君には迷惑かけたな」
酔いの覚めた真澄がシャワ−から出て来る。
「速水さん、もう大丈夫ですか?」
心配そうに見つめる。
「あぁっ・・・戻したんで、スッキリした・・・みたいだ」
マヤが入れたお茶を飲みながら、答える。
「珍しいですね。速水さんがぐでん、ぐでんに酔っ払うなんて・・・」
表情を緩ませながら、口にする。
「一体、どれくらい飲んだんですか?」
「うぅ・・ん。そうだな。ボトルを5,6本は空けたような・・・。そこから先がよく覚えていない。どうやって帰ってきたのかも・・・」
頭を抱える。
「・・・幻滅したか?俺のこんな姿・・・」
表情を曇らせ、彼女を見つめる。
マヤは真澄の言葉ににっこりと微笑んだ。
「まさか。私、嬉しいの。あなたの知らない一面を見る事ができて。それに、そんな姿を見せるのって、私だけでしょ?」
「・・・あぁ。だろうな」
真澄の言葉を聞くと彼の唇に音をたててキスをする。
マヤからのキスに驚いたような瞳を見開く。
「それが嬉しいの。だって、速水さんが私にだけ、甘えてくれるから。私たち夫婦だもんね」
これ以上ない程の幸せそうな笑顔を浮かべる。
真澄はそんなマヤを見つめながら、彼女と結婚できた事に感謝した。
「そうだな。俺たち夫婦なんだな。という訳で、一つ不満がある」
真澄の言葉に、マヤが驚いた表情を浮べる。
「えっ・・・何?私の料理が美味しくないとか?」
不安そうにおどおどと彼を見つめる。
「いや、違う」
「じゃあ、えぇ−と、掃除がなってないとか?この間洗濯した時に色物のシャツと速水さんのお気に入りのシャツを一緒に洗濯機にかけて、
染めちゃった事とか」
マヤの言葉にそんな事もあったなと、苦笑を浮べる。
「違う。そんな事ぐらいじゃ、不満は言わないさ」
優しくマヤを見つめる。
「えぇ−と、じゃあ・・・」
マヤは必死に考え、思い浮かぶ事を口にするが、どれも答えとは的外れなものだった。
「マヤ、本当に、気づかない?」
少し、疲れたように彼女を見つめる。
それもそのはずだ、もう時計は深夜を回り、いつもならとっくに眠っている時間だった。
「だって・・・本当に、思い当たらないんだもん」
答えが見つからない子供のような顔を浮べる。

かわいい・・・。

思わず、マヤを抱きしめそうになる。
「ハハハ。しかし、君、結婚してからこの三か月、そんなに失敗をしていたとは知らなかったよ」
マヤが上げた真澄も知らないような小さな失敗を思い出し、可笑しそうに笑い出す。
「だって・・・」
上目使いで真澄を見る。
「おいで」
マヤを優しく抱きしめる。
真澄にすっぽりと抱きしめられ、マヤの頬が僅かに赤くなる。
「ねぇ、そろそろ教えてくれてもいいでしょ?」
真澄を正面に見つめる。
「・・・どうしようかな。簡単に教えるのもつまらないし」
マヤの反応を楽しむように口にする。
「あっ!酷い。相変わらず、意地悪なんだから」
膨れっ面を浮べる。
その表情に愛しさを感じる。
真澄はもう、自分の言葉にいちいち表情を変えるマヤが愛しくて、かわいくて仕方がなかった。
堪らず、そっと、頬に唇を寄せ、その小さな体をギュッと抱きしめる。
「本当に答えを聞きたい?」
焦らすように耳元で囁く。
その艶やかな声と、吐息にドキッとする。
「・・・う、うん」
ドキドキしながら答える。
「じゃあ、今夜は君が俺を抱いて・・・」
甘えるような表情を浮かべ、真澄が囁く、
マヤの身体がカァ−っと、熱くなる。

そして、二人はベットに倒れこみ、濃厚な時を過ごした。




翌朝・・・。
「う・・ん」
真澄は酷い頭痛と一緒に目が覚めた。
「あれ?ここは?」
自分がいつの間にか、自宅に戻り、ベットで眠っていた事に小さな驚きを覚える。
「あっ、おはよう」
丁度、マヤが寝室に入って来て、声をかける。
「・・・おはよう」
無表情に答える。
「酷い顔よ。昨日飲み過ぎるから・・・はい」
そう言い、水と、錠剤を真澄に渡す。
「なんだ?コレは?」
「頭痛薬よ。きっと、二日酔いで辛いんじゃないかと思って」
意外なマヤの用意周到さに真澄は心の中で驚いた。
「飲んだら、顔を洗ってきて、朝食が待ってるわよ」
ぼんやりとしている真澄の頬に軽くキスし、マヤはダイニングに行った。
何だか、今日の彼女はいつもよりもどこか、違ってみえた。
マヤにされたキスの場所をそっと触れながら、そんな事を思う。



「なぁ、昨夜・・・俺、そんなに酔っていたか?」
朝食の席で真澄が気まずそうに口開く。
「えぇ。そうね。かなり」
可笑しそうにクスクス笑う。
「・・・まさか、覚えていないの?」
「あぁ・・・さっぱり。昨日は古い友人と会って、調子に乗って飲みすぎたようだ・・・」
真澄は苦笑気味に答えた。
「俺、昨日ちゃんと帰って来たみたいだな・・・。相当、君に迷惑かけたんだろうな」
やけに他人行儀な彼にマヤはまた笑みを零した。
「何、言ってるの。夫婦でしょ」
包み込むような笑みを浮べる。
その笑顔に胸がじ−んと温かくなる。
「今日のあなた。何か変よ?」
「いや、だって・・・記憶がない分なんか・・・な」
「そろそろ会社に行く時間じゃない?さぁ、急がないと遅刻するわよ。朝一で会議があるんでしょ」
「・・・あぁ」
マヤに促され、テ−ブルから離れる。



「あっ、じゃあ、行って来る」
ビシッといつものようにス−ツを着こなし、表情を引き締めた彼が言う。
「あっ、待って」
ドアを開けようとした彼を玄関で引き止める。
「うん?何だ?」
「肩にゴミが・・・」
「えっ?どこだ?」
「とってあげる」
そう言うと、マヤは真澄に近づき、背伸びをして、彼の唇にキスをした。
「いってらっしゃい。真澄さん」
唇を放すと、照れたような表情を浮べてマヤが言う。

えっ・・・、今、何て?
確か・・・俺の事を真澄さん・・・って言ったような。

マヤの奇襲攻撃に真澄の心臓は大きく高鳴った。
「・・・あの、今・・・何て・・・?」
「いってらっしゃいって・・・・言ったのよ。真澄さん」
マヤの言葉からもう一度、”真澄”という言葉が出る。
真澄は嬉しさのあまり、彼女を抱き寄せた。
「あっ、ちょっと、こんな事していると、本当に遅刻しますよ」
「・・構わない・・・。嬉しくて。君がやっと、俺の事、呼んでくれたから・・・」
「もぅ、真澄さんたら、オ−バ−ですよ」
当分、自分を離さしそうにない彼に、マヤは優しい笑みを浮べた。


あなたが、私に甘えてくれたから、知ったのよ。
あなたがどんなに私を愛してくれているか・・・。
奥さんとして必要とされているか・・・。
これからも、いろんなあなたを見せてね。真澄さん。





 

                       THE END



【後書き】
かなりぶっ壊れた物を書いてしまったをお詫び致します(笑)
意外な速水さんが書いてみたくて、書き始めたんですけど・・・何か、別人のようになってしまったような(苦笑)
まぁ、偶にはいいかな・・・なんて・・・はははははははははは(←笑って誤魔化す(爆))

ここまで、駄作にお付き合い頂き、ありがとうございました♪

2001,11.6.
Cat

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