―――  同居物語 4 ――― 

「はぁぁ。本当、何て言おう・・・」

朝から小さく、ため息をついているマヤの姿が目に入る。
「うん?どうした?ちびちゃん。何か心配事か?」
新聞を見つめていた視線を彼女に移す。
「・・・えっ、あの・・・」
もじもじと彼女が彼を見る。
「・・・今日・・・麗が公演から戻ってくるんです・・・それで、その・・・速水さんと同居する事になった事、何て言おうかと」
彼女の言葉に、そういえば、そうだったなぁと、テ−ブルの上のカレンダ−を見つめた。
彼女と同居を始めてからあっという間に一週間が過ぎていた。
誰かと一緒に住むという事はこんなに楽しいのかと、毎日がとても充実していた。
「・・・まさか、速水さんと同居しているなんて、本当の事は言えないし・・・それだと、速水さんも困るでしょ?」
気遣うように彼を見る。
「いや、別に俺は構わないが・・・」
そこまで口にして、確かに彼女と一緒に暮らしている事を世間に知られるのは不味い気がしてきた。
紅天女候補という彼女の名誉に傷がついてしまうかもしれない。
突然始まってしまった同居生活は世間には堂々と公表できるものではなかった。
「・・・それに、友達に言われたんですけど、男の人と一緒に住んでいるって事はあまり、言わない方がいいって。
あっ、でも、その友達に速水さんと一緒に暮らしている事は話してませんよ」
マヤの言葉にもっともだと思う。
もし、自分が彼女の親だったら、こんな事は絶対に許さない。
「まぁ、嫁入り前の若い娘が独身の男と一緒に住んでいるなんて聞いたら誰だっていい気はしないさ」
自分の言葉に、何だか、とんでもない事をしているのだと実感する。
「・・一層の事、俺と結婚でもするか?」
真澄の言葉にマヤは口にしていたオレンジジュ−スを噴出しそうになった。
「・・な、な、何て事言うんですか!!!」
顔中を真っ赤にして、彼を睨む。
「ははははは。冗談だよ。ちびちゃん。君と結婚したら、俺は犯罪者になってしまう」
マヤの反応に可笑しそうに笑い出す。
いつもの彼の冗談に素直に反応してしまった自分に、マヤはまたやられたと思った。
「犯罪者って!私は子供じゃないって言ってるでしょ!その気になれば、結婚だってできる年なんですから!」
のせられていると知りながらも、悔しくてつい、ムキになる。
「はははは。知ってるよ。ちびちゃん、君は十分大人だよ」
一瞬、瞳を細め愛しむように彼女を見つめる。
その視線になぜか胸がドキリとする。
「もう!速水さん、もう少し真面目に考えて下さい!麗は夜にも帰って来るんですから」
恥ずかしさを隠すようにわざと突き放すように言う。
「一緒に考えたいんだが、そろそろ時間だ」
時計を目にすると、マンションを出る時間になっていた。
「あっ!待って、速水さん、今日は学校まで送ってもらいますからね」
いつもは電車で通っていたが、ここで、速水と別れると麗に会う時間までには絶対会えない。
マヤにとって、車の中の20分が勝負だった。
「・・はい、はい。わかりましたよ。お嬢様」
真澄は上着を着ると、彼女と一緒に部屋を出た。





「やっぱり、本当の事を言ったらどうだ?」
マヤが出す提案に真澄が口を挟む。
「えっ、でも・・・」
真澄の言葉に驚く。
「だから、俺と暮らしている事はふせて本当の事を言えばいい」
彼の言葉にマヤは”?”を浮かべた。
そんな彼女をクスリと笑う。
「・・・紫の薔薇の人と住む事になったと言えばいい。まさか、速水真澄が紫の薔薇の人だったなんて、誰も思わないだろ。
君だって、俺の事、金持ちの暇を持て余した老人だとでも思っていたんだろ?」
彼の言葉になるほどと頷く。
「確かに、私、速水さんと紫の薔薇の人が結びつかなかった。もっと、お年をめした方かと・・・」
「俺と暮らしていると知られれば問題だが、余命短い老人と暮らしているなら、さほど問題はないんじゃないかな」
「さすが、速水さん!悪知恵がききますねぇ」
マヤの言葉に思わず、ハンドルを大きく切りそうになる。
「・・・悪知恵って・・・君、それは俺を褒めているのか? 貶しているのか?」
「えっ、はははは。やだなぁ。褒めているんですよ」
マヤは麗への口実ができた事にすっかりと安心していた。
「・・・まぁ、後は君がボロを出さない事だな。舞台から下りると君は本当に大根役者だからな」
真澄の言葉にムッとする。
「・・・大根はないんじゃないんですか!」
「大根が嫌なら、ニンジンなんてどうだ?すぐに怒って赤くなる所がピッタリだ」
いつもの調子で彼女に言う。
益々マヤは赤くなり、ジロリと彼を睨む。
真澄はそんな彼女を可笑しそうに笑っていた。





「何かいい事でもあったんですか?」
出社した真澄に水城が声をかける。
「えっ」
水城の言葉に不思議そうな顔をする。
「今日の社長、何だか楽しそうですわよ」
そう言い、彼の机の上にコ−ヒ−カップを置く。
水城の言葉にマヤの顔が浮かぶ。
「・・・まあな」
コ−ヒ−を一口口にする。
「私としても上司が機嫌がいいと嬉しいですわ。気持ち良くお仕事がしてもらえますから」
そう言い、水城は今日の予定を言った。





「えっ!紫の薔薇の人と住む?」
麗はマヤの言葉に驚いていた。
「うん。その。紫の薔薇の人が、一緒に住みたいって言ってくれたの。
それで、私、今までお世話になったご恩が返せるならと思って、受けたの」
マヤは真澄に言われた通りの言葉をセリフのように覚えた。
「紫の薔薇の人のお孫さんに私似ているんですって、だから、側にいて欲しいって」
マヤは今、役者の仮面を被っていた。
「・・・そうか」
麗はマヤの紫の薔薇の人への想いを知っていたので、反対する気にはなれなかった。
それに、相手が老人だというなら、問題もないと思えた。
きっと、大きなお屋敷に住んでいて、使用人が何人もいるような所でマヤと暮らすのだろう。
「・・・私はマヤがそうしたいと思うなら、賛成だよ。止める気はない」
優しい笑顔を浮かべる。
麗の笑顔にマヤは後ろめたさを感じた。

ごめんなさい。麗。

「それで、もう一緒に暮らしているんだっけ?」
「うん」
「紫の薔薇の人ってどんな人?」
一瞬、速水の姿が浮かぶ。
「・・・人をからかうのが好きで、以外と子供っぽくて、少し寂しがりやの人かな・・・」
マヤの言葉から麗は想像していた老人の姿と少し違う気がした。
でも、紫の薔薇の人の事を話す、マヤが何だか楽しそうに見える。
きっと、老人との生活は上手くいっているのだろう。
「私も、紫の薔薇の人に会ってみたいな」
麗の言葉にハッとする。
「それは駄目!」
慌てたように口にする。
「えっ?」
不思議そうにマヤを見る。
「えぇ−と、だから・・その、紫の薔薇の人、人に会うのが苦手というか・・・、人見知りするタイプなのよ」
被っていた役者の仮面が壊れそうになる。
「人見知り?あぁ。だから、ずっと匿名だったのか」
「そうなの。そうなのよ!だから、ごめん。会わせる事はできないの」
申し訳なさそうに麗を見る。
「そうか。わかった」
麗は納得したように告げた。





「・・・人見知りするタイプ!それは傑作だよ。ちびちゃん」
帰宅すると真澄はマヤからの報告を聞いていた。
「君にしてはよくできたアドリブだ」
ゲラゲラと楽しそうに笑う。
「それって、褒めているんですか」
「もちろん」
笑いを堪えながら口にする。
「・・・でも、何か、やっぱり、後ろめたいなぁぁ・・・麗には嘘をつきたくなかった」
視線を落とし、小さくため息をつく。
真澄はそんな彼女を見て、笑うのを止めた。
「・・・すまない。俺の為に嘘をつかせて・・・」
すまなそうに彼女を見つめる。
真剣な彼の表情にドキッとする。
「・・・いえ、速水さんが謝る事ではありません。私が選んだんですから、あなと住む事は・・・」
彼から視線を逸らし、ソファから立ち上がる。
「さてと、私、お風呂まだなんです。先に入ってきますね」
そう言い、歩き出そうとした瞬間、何かにつまずく。

「きゃっ!」
「おっと」

二人同時に声があがる。
マヤは見事に真澄の上に転んでいた。
「・・あっ、ごめんなさい・・・」
彼を見る。
「いや・・・」
至近距離で二人の視線が合う。
なぜか、体が熱くなる。
「・・・えっ・・・」
立ち上がろうとした瞬間、彼が強く抱きしめる。
「・・・速水さん?」
驚いたように彼を見る。
その表情はいつもとどこか違っていた。
とても真剣な表情・・・。真っ直ぐな眼差し・・・。
鼓動が早くなる。
訳のわからない気持ちに胸が締め付けられる。
「・・・速水さん・・・」
不安そうにマヤが彼の名を呼ぶ。
その声に、真澄はハッとした。
「あっ、すまない」
彼女を腕から解放する。
マヤはすぐに彼から離れた。
「・・・何だか、君の抱き心地が良かったから・・・」
誤魔化すように告げると、真澄はリビングを後にした。
マヤは立ったまま動けなかった。
まだ、胸の中がドキドキとしていた。




「突然、狼になるのよ。男は」
美恵子の言葉にマヤはケ−キをつっついていたフォ−クを落としそうになった。
「マヤちゃん、どうしたの?」
隣で大きく動揺しているマヤを見る。

放課後マヤは仲のいい友達、数人とコ−ヒ−ショップに来ていた。
「えっ、別に・・・」
赤くなりながら、もじもじと答える。
美恵子の言葉に、マヤは昨夜の真澄を思い出してしまったのだ。
今まで、抱きしめて貰った事は何度もあったが、あんなに力強く抱きしめられたのは初めてだった。
何だか、速水が男だった事を変に意識してしまう。
「・・・別にねぇぇ」
怪しむように皆の視線がマヤに集まる。
「えぇっと、私、そろそろ帰らないと」
食べかけのケ−キを残して、マヤは逃げるように席を立った。

今まで、マヤは真澄の事を男性として意識した事はあまりなかった。
麗と一緒に住んでいたのと同じ感覚で同居を始めてしまったのだ。
昨日の彼を見てから、少し変だった。
今朝も、何だか気恥ずかしくて、彼の顔を見る事ができなかった。

「・・・狼・・・速水さんでも、狼になる事、あるのかな・・・」
美恵子の言葉が頭から離れない。
「狼になったら、速水さんは・・・私の事を・・・」
そこまで、口にして、真っ赤になる。
男女の事をあまり知らないマヤでも、一応、高校生。
周りの影響で少しずつ、男と女がどういう行為をするかはおぼろげながら知っていた。
「いやだ!私、何考えているの!速水さんと、そんな事なる訳ないじゃない!」
頭を強く振り、頭の中に浮かんだ想像を振り払った。





「あれ?もう帰っていたんですか?」
午後6時、マヤが夕飯の材料を持って帰宅すると、速水の姿があった。
「あぁ。実は急な出張なんだ」
真澄はス−ツケ−スに荷物を詰めていた。
「出張?」
「今夜の便で発つ事になる」
マヤは真澄が荷造りするのを見つめていた。
「まぁ、一週間ぐらいだ。一人でいるのが不安だったら、青木くんの元に戻ってもいいんだぞ」
マヤを気遣うように言う。
「いえ、ちゃんと、ここでお留守は守っています」
一週間と聞いて、何だか力が抜けた。
そうか、一週間も彼に会えないのか・・・。
じっと、真澄の顔を見つめる。
「そうか。じゃあ、留守番頼む」
優しい瞳で彼女を見る。
「いい子にしていたら、おみやげ買ってくるぞ」
ポンとマヤの頭を撫でる。
「子供じゃないんですから」
赤くなりながら、ふてくされてみるが、本当はその言葉が嬉しかった。
「はははは。そうだったな」
真澄は苦笑を浮かべた。

「じゃあ、後を頼む」
玄関口で、彼女に言う。
「何かあったら、連絡するんだぞ。番号は書いてあるから」
初めて留守番を任せる小さな子供に言うように言う。
「もう、大丈夫ですって」
マヤは意外に心配性な速水に心の中で呆れていた。
「私だって、高校生です。留守番ぐらいできますよ。さぁ、早く行って下さい。車待たせてあるんでしょ」
「あぁ。わかった。行ってくるよ」
真澄はス−ツケ−スを持つと、ようやく出掛けようとした。
「あっ、そうだ。忘れ物」
再び、マヤの方を向く。
「えっ!何ですか?取ってきましょうか?」
そうマヤが口にした瞬間、軽く腕を掴まれ、引き寄せられる。

「えっ」

頬に触れる柔らかい唇の感触に瞳を大きく見開く。
「行ってくる」
耳元で彼の声が囁かれる。
マヤは呆然としたまま、真澄を見送った。





彼が出張に出てから3日が経つ。
この部屋の広さを改めて実感する。
もともと、二人で暮らしていても広すぎるのだ。
それが、今度は一人・・・。
それも、一週間・・・。

「麗の所に戻ろうかなぁぁ・・・」
ぼんやりと口にする。
しかし、速水にしっかりと留守番は守ると言った手前、そんな事はできなかった。
ここで戻れば、また、彼に子供扱いされる。
「私だって、留守番ぐらいできるんだから」
一人口にして強がってみるが、やっぱり寂しい。
テ−ブルの上にある彼が残していったメモを見つめる。

「・・・電話してみようかなぁぁ・・・」





「真澄さん、本当に今日はお疲れ様でした」
理香子が労いの言葉をかける。
「君こそお疲れ様」
二人はレストランで新事業成功への祝杯を挙げていた。

「速水様でいらっしゃいますか?」
ウェイタ−が二人の席に現れる。
「あぁ」
グラスをテ−ブルの上に置く。
「お電話が入っています」
「失礼」
そう口にして、真澄は席を立った。

それから、5分後・・・。

Trrr・・・Trrrrr・・・。

どこからか、携帯の着信音が響く。
理香子はそれが真澄がテ−ブルの上に置いていったものだと気づいた。
彼が戻ってくる気配はないし、何よりも急ぎの用事であるかもしれないと、思い、余計な事だと思いつつも、携帯に出た。

「もしもし」
受話器越しに響く、女性の声にマヤは驚いた。
しかも、その声はどこかで聞いた事がある。
どうしたらいいのかわからず、マヤは咄嗟に電話を切っていた。

「あら?切れちゃったわ」
不思議そうに理香子は携帯を見つめていた。


「・・・あの人だ・・・」
マヤはぼんやりとしたまま、電話越しの声が誰だったのかを思い出した。
いつか真澄に連れて行った貰ったレストランで会った大人の女性。
胸の中がズキリと痛む。
あの女性と楽しそうに話す速水の姿が浮かぶ。
胸がキリキリと締め付けられる。
「いやだ・・・。どうしてこんな気持ちになるの・・・」
痛む胸をおさえる。
「・・・速水さんが、誰と一緒にいようと、私に関係ないじゃない」
自分に必死に言い聞かせる。
精一杯平気なふりをしてみるが、流れ落ちる涙を止める事はできなかった。




「・・・うん?この番号は?」
理香子と別れた後、ホテルの部屋に戻ると、真澄は何となく、携帯を見つめていた。
「マンションの番号・・・」
着信履歴の中の番号に目を留める。
時間からして、丁度真澄が仕事の電話を取るために席を離れた辺りだ。
新着のメッセ−ジが残っていなかったという事は誰かが、電話に出た事になる。
「・・・理香子か?」
うっかり、テ−ブルの上に携帯を置いたままだった事を思い出す。
何だか、急に、マヤの事が心配になった。
別に理香子とは後ろめたい事は何一つないが、マヤが変なふうにとったりしたらと考えると落ち着かなかった。


Trrrr・・・Trrrrr・・・。

リビングから電話の鳴る音がした。
横になっていたベットから起き上がり、慌てて、電話の前に行く。
受話器に手を伸ばした時、速水の顔が浮かんだ。
電話を取るべきか迷う。

「・・・あっ・・・」
マヤがあれこれ考えていると、電話の音は鳴り止んでしまった。
受話器を取れなかった事に後悔する。
何を迷う事があるのだろう。
少しでも彼の声を聞きたいと思っていたのに。
こんなに、彼に会いたくて、会いたくて仕方がないのに・・・。
再び、涙が溢れる。

Trrrrr・・・。Trrrr・・・。

泣いている彼女にもう一度、チャンスを与えるように電話が鳴った。
マヤは今度こそ受話器を取った。
「俺だ。忙しかったか?」
3日ぶりの彼の声が胸の中に響く。
「いえ」
そう呟いた彼女の声が泣いているような気がした。
「何かあったのか?元気がなさそうだが」
心配するように口にする。
「・・・いえ」
「本当に、大丈夫か?何かあったら言うんだぞ」
彼の声に心が温かくなる。
あんなに苦しかった気持ちが彼の声で癒されていく。
「・・・本当に大丈夫です」
「そうか」
元気そうなマヤの声にホッとする。
「・・・じゃあ、来週には帰るから、いい子にしているんだぞ」
いつもの調子で彼が言う。
今はそんな彼の言葉でも嬉しかった。
「・・もう、子供扱いはやめて下さいって言ったでしょ」
笑いながら、いつものように答える。
「お留守はちゃんと守ります」
明るい彼女の声に真澄は自分がこの3日間彼女に会えなくて寂しかった事に気づいた。
「・・・なぁ、何か話してくれないか」
囁くように彼か告げる。
「えっ?何かって?」
「何でもいいんだ。学校での事とか、バイトの事とか、演劇の事とか・・・」
いつもよりも低く感じる受話器越しの声に胸が時めく。
「・・・えぇ−と、じゃあ・・・」
マヤは僅かに頬を赤くしながら、速水がいなかったこの3日間の事をたっぷりと、一時間以上かけて話した。
受話器越しからはマヤの話しに頷いたり、笑ったりする彼の声が聞えてくる。
「そうか。なるほどな。君は本当にそそっかしいからな」
納得したように真澄が答える。
「そうですか?私はあんまり実感ないですけどねぇ」
「君と暮らしてみて、俺は実感したぞ。さぞかし、青木くんは大変だったんだろうな」
同情するように言う。
「あぁっ!酷い。速水さんが言う程、私、しっかりしてますよ」
「そうか?」
「そうです!」
そこまで言い、二人は同時に笑い出した。
「・・・速水さん、待ってます。あなが帰ってくるの待ってます」
笑いが止むと、思いの篭った声でマヤが告げる。
彼女の言葉に何だか胸の中が切なくなった。
できる事なら、今すぐにでも彼女を抱きしめてしまいたい。
「・・・あぁ。ありがとう。・・・・じゃあ、おやすみ」
少しの間を置いて、真澄が答える。
「・・・おやすみなさい」
マヤの声を聞くと、真澄は電話を切った。
時計はもう午前0時を過ぎていた。
二人の胸の中に余韻が残る。
とても温かな気持ちが心に流れ込む。

「待っているか・・・」
呟き、真澄は煙草を口にした。


「・・・速水さん・・・」
マヤはその夜、彼のベットで眠った。
彼の匂いが微かに残る場所はとても安心する事ができた。
「後、4日で、速水さんに会える・・・」
ベットサイドのテ−ブルに置かれたカレンダ−を見つめる。
「・・・待ってますからね・・・」
マヤはそう呟き、瞳を閉じた。


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