蜜月




幸せだと本当に思う。
隣には純白のウェディングドレスを着た彼女がいて、今、誓いの言葉を交わそうとしている。
本当に、綺麗だ。
初めて会った時はただの中学生だったのに・・・。
彼女がこんなにも美しくなるなんて夢にも思わなかった。
まして、結婚なんて・・・。
それも、俺のベタ惚れだからな・・・。

などと考え、真澄は目の前に広がる幸福に、ついつい、顔の筋肉が緩んでしまう。

「では、誓いの言葉を述べjます」
神父が目の前新郎と新婦に告げる。
マヤと真澄は互いを見つめあう。

「新郎、、速水真澄は北島マヤを妻とし、病める時も、健やかなる時も、死が二人を別つまで生涯離れない事を誓いますか?」
神父の言葉に真澄がゆっくりと唇を開く。
「はい。誓います」
真澄の力強い言葉と見つめる瞳にマヤは感極まって涙が流れそうだった。
「新婦、北島マヤは速水真澄を夫とし、病める時も、健やかなる時も、死が二人を別つまで生涯離れない事を誓いますか?」
神父の言葉に耳を傾け、マヤの口が開く。
「はい。誓います」
マヤは真っ直ぐ真澄を見つめて告げた。
その瞬間、真澄の胸に愛しさが広がる。
もう、今すぐにでも彼女折れる程、抱きしめてしまいたかった。
「では、指輪の交換をします」
神父の声を合図に二人の前に銀色の結婚指輪が差し出される。
真澄はゆっくりと、差し出すマヤの薬指に結婚指輪をはめた。
そして、マヤも真澄の長く細い指に僅かに震えながら指輪をはめた。
二人の心に強い絆が宿る。
「誓いのキスをどうぞ」
そう言われ、真澄はゆっくりと、マヤの顔にかかるベ−ルを上げ、見つめた。
「君を幸せにする。必ず」
真澄の言葉にマヤは鮮やかな微笑みを浮べる。
そして、二人の唇は参列者が見守る中重なった。





「疲れたなぁぁ」
シャワ−から出てきたマヤが言う。
結婚式と披露宴を終わらせた二人は会場の近くの一流ホテルのスィ−トル−ムをとっていた。
真澄はそんなマヤを待っていたかのように、後ろからギュッと抱きしめた。
「お疲れ様。花嫁にとって結婚式が特に大変な仕事だって、よくわかったよ」
耳元でからかい口調で言う。
その声がくすぐったくて、心地良かった。
「本当、こんなに大変なものだとは思わなかった。結婚なんて一度でたくさん」
マヤの言葉に真澄が少しムッとしたように・・・
「当たり前だ!」
コツンと頭を軽く叩く。
「えへっ」
舌を少し出し、悪戯っ子のような顔を浮べる。
「でも、私たち、本当に夫婦なんだね」
真澄の方を向き、感慨深そうに見つめる。
「そうだな。これから、ずっと一緒だ」
嬉しそうにマヤを見つめる。
「・・・ねぇ、覚えてる?初めて会った時」
真澄の首に腕を絡ませながら、マヤが口にする。
「・・・確か、椿姫の劇だったかな。君はまだ子供で、可憐だった」
瞳を細め、その時の事を思い描く。
真澄の言葉にマヤの頬が赤くなる。
「ちゃんと覚えていたんだ・・・。私だけだと思ってた」
「君との出会いは全て覚えているよ。なぜか心に惹かれるものがあったんだ。
もう、あの時から、君とこうなる事を予測していたのかもな」
「ヤダ、速水さん・・・それ、ちょっと、危ないですよ。世間じゃロリコンなんて言われるかも」
照れを隠すようにマヤがからかい口調で言う。
「うん?人が真面目に君との出会いについて浸っているのに・・・こら、茶化すんじゃない」
「はははは。だって、何だか恥ずかしいんだもん。あの頃の私って本当に子供で、速水さんに噛み付いてばかり」
「・・・君はどう思ったんだ。初めて俺に会った時」
真澄に言われ、赤い頬を益々赤くさせながら口を開く。
「・・・かっこいいなぁぁ・・・優しそうだなぁぁって思ってました。あんな人の側にいたらドキドキしてしょうがないだろうな・・・なんて」
真澄はマヤの言葉に苦笑を漏らした。
「ほぉぉ。君にそこまで思ってもらっていたとは知らなかったよ。で、俺の奥さんになって、ドキドキしているかい?」
今度は真澄がマヤをからかうように言う。
「・・・ドキドキしてます・・・ずっと、あなたに会った時から、あなたを求めて・・・」
マヤは真澄の手を自分の心臓の上に置き、切ない表情を浮べた。
そんな彼女がこの上なく、かわいくて、愛しくて、真澄は堪らず、彼女の唇を塞いだ。
「・・・んっ」
艶やかな吐息がマヤの口から漏れる。
その声が益々真澄の胸を切なくした。
彼女のバスロ−ブを解き、透き通るような白い肌に愛撫を重ねていく。
真澄が与える目まぐるしい感覚に力が抜け、立っていられなくなる。
「・・・うんっ・・・速水さん・・・もう、立ってられない」
マヤの声を聞くと、真澄は彼女を抱き上げ、寝室に直行した。

パサッとシ−ツの上に黒いマヤの髪が広がる。
その瞳は潤んでいて、まるで真澄を誘惑するようだった。
「・・・愛してる・・・この気持ちは永遠に変わらない・・・」
マヤをじっと見つめ、口にする。
「・・・私も・・・あなたを愛してる」
マヤの言葉を聞くと、再び真澄の唇が重なった。
そして、そのまま互いを求めるように、二人は体を重ねた。



「どんな夢、見ているんだろうな」
夜中に目を覚まし、マヤは隣に眠る真澄を見つめた。
とても気持ち良さそうに、幸せそうに眠る彼に、何だか微笑ましくなる。
マヤはマヤで、幸せすぎて、胸がいっぱいになり中々眠れなかった。
「・・・私たち、どんな夫婦になるんだろう。喧嘩とかしたりするのかな。やっぱり・・・」
真澄を抱きしめるように寄り添う。
「10年後も、20年後も・・・50年後も、私はきっと、あなたの側にいる。
一緒に年をとって、孫に囲まれながら、あなたのいつものジョ−クを聞くの」
未来を想像しながら、口にする。
胸の奥がとても暖かくなる。
「・・・ありがとう。速水さん。私、とっても幸せよ」
真澄の寝顔にそっとキスをすると、マヤは彼の腕の中で安心しきったように眠りについた。

「・・・マヤ・・・」
真澄は彼女が眠ったのを感じるとゆっくりと、目を開けた。
「・・・まいったな」
マヤの言葉にくすぐったさと、愛しさを感じる。
「・・・ありがとう。俺もとっても幸せだよ」
愛しそうに彼女の髪を愛撫し、腕の中で眠る彼女を力強く抱きしめた。




「・・・すまないな」
ス−ツを着ながら、真澄がマヤに申し訳なさそうに言う。
急なトラブルが起きてしまい、真澄でなくては対処できない事態が起きてしまったのだ。
今日から一週間新婚旅行に行くはずだったが、もちろん、それは断念せずにはいられなかった。
「・・・お仕事だもん。仕方ないよね」
懸命にマヤが言う。
「・・・マヤ、せっかくのオフだ。君だけでも旅行に行ったらどうだ?せっかく旅館の方もとってあるんだし」
「・・・でも・・・」
「仕事を片付けたら、すぐに追いかける」
ス−ツに着替え終わると、まだバスロ−ブ姿のマヤの頬にキスをする。
「・・・本当に・・・来てくれる?」
「あぁ。誓うよ」
真澄の言葉にマヤは小指を出した。
「じゃあ、約束ね」
真澄はマヤの小指に小指を絡めた。
「約束する」





「いらっしゃいませ」
そう出迎えられ、マヤが着いた場所は京都にある老舗の旅館だった。
「おや?旦那様はご一緒ではないんですか?」
予約の人数と会わない事に気づき、女将が口にする。
「・・・あの、急に仕事が入っちゃって・・・後で来ます」
「そうですか。こちらにどうぞ」

通された部屋からは見事に手入れをされた庭園が見えた。
部屋も広かったが、その事がマヤの寂しさを募らせた。

「・・・こんなに広い部屋・・・一人じゃ、寂しいなぁ・・・速水さん、今頃どうしているんだろう」
互いに忙しい身であったから、新婚旅行はゆっくりと過ごそうと言う事になり、二人は京都を選んだのだった。
確かに、マヤはのんびりとできたが・・・一人でいる事が身にしみていた。

「結婚して2日目に旦那さんが側にいないなんて、私だけだろうな・・・。やっぱり、一人で来るべきじゃなかったな」
庭園を歩きながら、一人呟く。



「少し、お休みになったら、どうです?」
そう言い、水城は真澄の前にコ−ヒ−を差し出した。
「・・・マヤが待っているからな」
水城からコ−ヒ−を受け取ると、口にする。
「本当、申し訳ありません。せっかくの新婚旅行を潰してしまい」
水城が申し訳なさそうに言う。
「君が謝る事ない。君のせいでトラブルが起きた訳じゃないからな。俺がついていないだけだ」
苦笑を浮べる。
「・・・そろそろマヤさんに電話なさったら、どうです?」
「えっ」
「もう、夜の11時半ですよ」
水城にそう言われ、時計を見つめる。
あまりの慌しさに時間が過ぎる事を忘れていた。



Trrrrr・・・。Trrrrr・・・。

マヤがぼんやりと、月を眺めていると、部屋の電話が鳴る。

「はい」
「マヤ。俺だ」
受話器越しの声に嬉しさが募る。
「・・・速水さん」
「寝てたか?」
「ううん。起きてた・・・。速水さんは、まだお仕事中?」
「あぁ。後、2日で片付ける。必ず君の所に行くから」
「・・・無理しないでね」
マヤの言葉に無償に彼女を抱きしめたくなる。
「・・・君を今すぐ抱きしめたい・・・」
真澄の率直な言葉に心拍が上がる。
「・・・今すぐ飛んできてって言いたいけど、我慢してあげる。速水真澄の妻だもの、それぐらいは我慢しないとね。」
おどけたように口した言葉だが、マヤの胸にも真澄の胸にも切なさが募る。
「・・・マヤ・・・」
苦しそうに真澄が彼女の名を告げる。
「・・・速水さん、そんな顔しちゃ、駄目よ。すぐに会えるんだから」
真澄を気遣うように、明るく言う。
「・・・そんな顔って・・・見えるのか?」
「速水さんの声を聞けば・・・わかるわ。だって、奥さんだもの。目を閉じて、あなたの姿を想像するの。
笑ったり、怒ったり、悲しそうな表情をしているあなたを」
「何だか、随分とかわいい事を言うんだな」
くすぐったそうに真澄が笑う。
「・・・知らなかったの?私はずっと、速水さんを愛しているのよ」
マヤの素直な言葉に愛しさで胸がいっぱいになる。
「・・・速水さん?」
黙ったままの真澄に急に不安になる。
「・・・まいった・・今の君の言葉にもう、君が恋しくて仕方がない。会った時は覚悟しとけよ。君を一晩中抱きしめて放さないから」
真澄の言葉に今度はマヤが赤くなる番だった。
「・・・覚悟して待ってる・・・」
クスリと笑い、マヤが告げる。
「・・・おやすみ・・・愛してるよ」
そう言い、名残惜しそうに真澄は電話を切った。

「はぁぁ・・・余計、恋しくなっちゃったなぁぁ・・・」
電話を置くと、マヤは広々とした部屋を見つめた。
「本当に2日で来てよ」




「待ち人かな?」
マヤが寺を巡っていると、不意にそんな声がした。
「えっ」
振り向くと、穏やかな表情を浮べたその寺の住職らしきお坊さんが立っていた。
「余計な事を口にしましたかな」
「・・・いいえ」
「お嬢さんがつい、古の女性に似ていたから、声を掛けてしまいました」
「古の女性?」
「この寺に伝わる昔話です」
そう言い、住職は静かに語り始めた。


住職が語ったのは結婚式の日に引き離された恋人たちの話だった。
男が戦になる事を知り、二人はその前日に周りの反対を押し切ってこの寺で簡単な結婚の儀式を行ったのだった。
そして、男は結婚式の後、女に必ず戻って来ると約束して、旅立った。
女は男の無事を祈るように毎日のように、寺にお参りに来た。
しかし、年月は過ぎ、女は流行の伝染病にかかり、ついに男の顔を見る事なく、この寺の前で命をつきた。
女が亡くなってから一年後、男はようやく、戦から戻るが女の死を知り、寺にその女の幽霊が出ると聞くと、
女恋しさに毎晩のように寺を訪れ、それは生涯続いたというのが大体のあらすじだった。

「・・・可哀想・・・」
マヤは住職の話を一通り聞き終わると涙を流した。
「・・・それも運命だったのだろう。すまぬな、お嬢さんを見ていたら、つい、その話を思い出して」
「・・・いいえ」


もしも、愛する人が幽霊になったら、私はやっぱり、会いに行くのだろうか・・・。
その前に生きてられるのかな・・・。



「・・・待ち人か・・・」

「どうした?沈んだ顔をして」
旅館に戻り、ぼんやりと庭園を眺めているマヤに愛しい人の声がかかる。
「・・・速水さん!・・・」
声のした方を振り向き、彼の腕の中に飛び込む。
「・・・どうしたの?お仕事後、2日はかかるって昨日言ってたのに?」
真澄の顔を見上げながら言う。
「君に会いたくて、飛んで来た。来るの早すぎたかい?」
冗談ぽくそう言う。
その言葉にマヤは大きく首を横に振り、真澄にしがみついた。
「・・・会いたかった・・・・会いたかったの・・・」
「・・・マヤ・・・」
真澄はマヤのただならぬ様子に戸惑いながら、力強く抱きしめた。
「すまない。淋しい思いをさせて・・・」



「背中洗ってあげる」
夫婦専用の露天風呂に入りながら、マヤが真澄に言う。
「えっ・・・あぁ」
マヤは真澄の後ろに座り、その広い背中を見つめた。
その背中に真澄が背負ってきたものが重なったように見えた。
気持ちが溢れ胸が苦しくなる。
「・・・速水さんの背中って・・広いね」
真澄の背中を丁寧に洗いながら口にする。
「・・・そうか?」
「速水さんの背中見てると、何だか安心する」
マヤはそう言い、真澄の背中を抱きしめた。
背中にマヤの体温が伝わる。
「この背中で速水さんは辛い事、いっぱい背負ってきたんだね。今も背負うものがいっぱいあって・・・」
マヤの声が涙ぐんでいた。
「・・・マヤ?」
不安気に彼女の方を振り向く。
マヤは真澄の顔を見た途端に彼に抱きついた。
「お願い。何があっても私の元に戻ってきて・・・私を一人にしないで、あなたがいないと生きていけないから・・・」
随分、大袈裟な事を言うなと苦笑を漏らしながら、真澄はマヤの瞳が真剣なものだと知った。
「・・・それは、俺も同じだよ。君がいないと、俺は生きてはいけない」
優しく彼女を抱きしめる。
不安な子供を安心させるように、真澄は何度も離れたりはしいと、マヤの耳元で告げた。


「ねぇ、速水さん、もし、私が幽霊になっても、会いに来てくれる?」
ゆったりと湯船に浸りながら、マヤが言う。
「・・・幽霊に?」
唐突な質問に真澄が眉を上げる。
「そう」
マヤは無邪気な笑顔で言う。
「・・・今日ね。お寺に行ったの。そこで住職さんに会って、ある恋人たちの話を聞いたの」
そう言い、マヤは住職の話を真澄にした。
真澄はその話を聞きながら、彼女がその恋人たちと自分たちを重ねているのだと思った。
今日の彼女はずっと不安そうな瞳をしていた。

「そうだな。俺なら会いにはいかない」
その言葉を聞いて、マヤが悲しそうに眉を歪める。
「・・・どうして?私なら、例え、幽霊でも会いたいと思う!」
感情を露にするように声を荒げる。
「絶対、死なせないから。愛する者を俺が死なせないから・・・だから、幽霊になんてなる事はない」
強引な真澄の言葉に彼らしいとマヤは笑った。
「・・・強引ね」
「それが俺だ」
得意そうに言う真澄が可笑しくてマヤは大声で笑う。
「・・・だから、何があっても俺は君の元に帰ってくる。俺が戻る場所は君の所だ。
君を死なせるなんて事は絶対させない。俺は神にだって勝ってみせるよ」
力強い言葉がマヤの不安を緩めていく。
「・・・本当に、強引・・・ね」
そう言うマヤに真澄は背中から愛撫をした。
「あっ・・・」
露天風呂にマヤの声が響く。
「どれ程、君に貪欲になっているから・・・教えて欲しいかい?」
ゆっくりと、マヤの体に唇を這わせていく。
背中から肩、鎖骨、胸、首筋・・・そして、唇へと愛撫する。
マヤの頭の芯はもう、真っ白になっていた。
「・・・君をどんなに愛しているか・・・知っているかい?」
激しく彼女の唇を奪った後、艶やかな瞳でマヤを見つめる。
マヤはその瞳に全身が大きく脈打つのを感じた。

マヤは恍惚とした中で何度も真澄に抱かれた。
真澄にこれ以上ない程体をを求められ、体を繋げ、幾度も彼の腕の中でたえる。
それでも、真澄はやめる事なく、また次の快楽を彼女の体に与えていった。

気づけば、空も白み始め、朝を迎えようとしていた。

「・・・あっっ!」
数十回目の絶頂を向かえ、マヤはだらりと体を布団に沈めた。
二人の荒い息遣いが部屋に響く。
マヤの体中には一晩中愛された跡が残っていた。
真澄は優しくマヤを抱きしめ、重なる二つの鼓動に耳を傾けていた。
そして、いつの間にか二人は深い眠りについていた。




昼近くになり、マヤは女将の呼び声で目が覚めた。

「あの・・・宜しいですか?」
襖越しに伺いを立てる声がする。
マヤは真澄を起こさないようにそっと布団から抜け出し、急いで裸体に浴衣を通した。
襖を少し、開け、部屋の外に出ていく。
「すみません。眠っていたものですから」
「いえ、こちらこそ、起こしてしまったみたいですね。もう、お出かけになったと思って布団を上げに来たんですが・・・」
「あっ・・・まだ夫が眠っていますら・・・今日はずっと部屋で眠っていると思うので、いいです」
マヤは咄嗟に使った”夫”という言葉に一人頬を赤らめた。
「そうですか。では、失礼致します」
礼儀正しくそう言うと、女将は部屋を出て行った。

「・・・夫だって・・・」
マヤは一人呟き、その言葉のくすぐったさに一人微笑んでいた。


「・・・それにしてもよく、眠っているな」
部屋に戻り、起きる気配のない真澄を見つめる。
「・・・無理もないか・・・きっと、お仕事大変だったんだろうな」
あまりにも無防備な寝顔に微笑が漏れる。
「・・・それに、昨日の速水さん・・・今まで一番・・・凄かったな・・・」
昨夜の艶やかな真澄の表情を思い浮かべ、ボッと一気に全身が赤くなる。
「・・・ヤダ。何考えているのよ・・・」
言葉とは裏腹に真澄が触れた部分が火照り始める。
一度、思い出してしまったものはもう、どうにならない。
マヤは体中に熱い疼きを感じていた。

「・・・う・・・ん・・・マヤ?」
マヤが突然、襲われたどうしようもない疼きに戸惑っていると、真澄が声をかける。
その声にドキッとして彼を見る。
「あっ、起きたの?もっと、眠っててもいいわよ。疲れているでしょ」
マヤがそう言った瞬間、真澄は畳の上に座っている彼女を一気に押し倒した。
乱れた浴衣から覗くマヤの白い肌が真澄を挑発する。
「せっかくの新婚旅行だ・・・有効に使わないとね」
そう言い、再び、真澄の愛撫が彼女の体を痺れさせる。
「・・・うんっ」
一晩中抱かれた体はすっかり感度がよくなり、簡単にマヤに悩ましい声をあげさせる。
その日、丸一日、真澄はマヤを独占した。
マヤはありとあらゆる愛され方をされ、日のくれる頃にはもう、腰も立たなくなっていた。
すっかり疲れ果て、マヤは真澄の腕の中で眠りについた。
真澄はそんなマヤを愛しそうに見つめている。

”10年後も、20年後も・・・50年後も、私はきっと、あなたの側にいる。
一緒に年をとって、孫に囲まれながら、あなたのいつものジョ−クを聞くの”

ふと、新婚初夜の晩にマヤが口にした言葉を思い出す。

「・・・俺たちはどんな年寄りになるんだろうな・・・」
縁側でマヤと一緒にお茶を啜る自分の姿を想像し、真澄は嬉しそうに笑った。

「ゆっくり、お眠り」
幸せそうな寝顔浮かべるマヤに軽くキスをすると、真澄も彼女の隣で眠りについた。

二人は数十年後の自分たちの夢を見ていた。
その夢の中ではマヤも真澄も今と変わらず互いを強く愛し合っていた。
そして、子供と、孫たちに囲まれ、いつまでも幸せだった。






                       THE END


【後書き】
何か今回は何のヒネリもなく・・・ただ、いちゃいちゃさせただけで終わってしまったような(苦笑)
一応この話は”届かぬ想い”から続いている両思い真澄様とマヤちゃんのお話です。
順番としては”届かぬ想い”→”Miss you”→”Jealosy”→”二度目の初恋”→”蜜月”となっております♪
バラバラで読んでも繋げて読んでも大して変わらないと思いますが・・・まぁ、参考までに(笑)
さぁ、次は結婚生活でも書こうかな♪

ここまで、お付き合い頂きありがとうございました♪

以上、課題の多さに現実逃避しているCatでした。

2001.10.16.

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