If−1−

             
                 






人は時に”もしも”を思い描く事がある。
もしも、あの時出会わなかったら?もしも、違う出会いをしたら?
違う設定であの二人が出会う事があったら・・・。
今回はそんなお話である。







速水真澄は大都グル−プの要である総合商社大都物産の社長として日々忙殺されていた。
彼が社長に就任してから業績は確実に伸び、その手腕は業界中に知られている。
まだ結婚はしてはなく、仕事、仕事の毎日を送っていた。
付き合う女性はみな彼が仕事の方しか向かないものだから、その寂しさに負けて別れていくのだ。

「・・・いい加減になさいませ。真澄様」
彼の有能な秘書水城が苦い表情を浮かべる。
「何がだね?」
そ知らぬ様子で速水は会議の資料を見つめていた。
水城はため息をつき、鍵を差し出す。
「木下様がこれを社長にと」
それは真澄が彼女に与えたマンションの鍵だった。
「木下・・・あぁ、彼女か。そうか、そういえば、出て行くと言っていたな」
木下とは真澄がついこの間まで付き合っていた女性だった。
最初はまめに連絡を取り、一緒に時間を過ごすようにしていたが、段々と忙しさにかまけて彼はここ半年彼女とは会わなかった。
そして、この間電話で言われたのだ。”見合い話があるの”と・・・。
彼はあろうことに”そうか。いい縁談だといいな”などと言ってしまったから、そこで、もう彼女との交際は終わったのだった。

「私はあなたのプラベ−トまで面倒はみきれませんわよ」
いつも真澄とその恋人の間に入るのは水城の仕事だった。

「はははは。まぁ、当分は恋人を持つつもりはないから安心したまえ」
苦笑を漏らし、水城を見る。
真澄が今まで付き合ってきた女性は両手では足りない程だった。
それも全てが付き合うサ−クルが短い。
まぁ、半年も持てばいい程だと言える。
大抵の女性は真澄の仕事一筋の姿勢にねを上げ、三ヶ月で彼の下を去るのだ。
彼はそれを気にもとめない。
来るもの拒まず、去るもの追わずがモット−とも言える。
彼にとって女と付き合う事はそこに何らかの仕事の利益が絡むからだった。
彼は決して恋をする事はなかった。

「さて、そろそろ会議の時間だな」
ペンを置き、席を立つ。
真澄は上着をサッと羽織ると社長室を出た。





「・・・北島マヤ?」
会議の議題は今度の大都物産の化粧品部門のCMで起用する女優についてだった。
北島マヤと言えば、演技派として知られる女優で、最近頭角を表してきた所だ。
真澄は北島マヤに関する資料を見つめた。
二十歳を過ぎているというのにまだあどけなさがその女優には残っていた。
「社長も彼女の名前はご存知でしょ?」
真澄とそう年の変わらぬ社員が口にする。
「あぁ。名前ぐらいはな・・・」
興味のなさそうに答える。
「彼女は今売れてきています。彼女の清潔感あるイメ−ジが我が社に貢献してくれると思います。社内アンケ−トでも
今度のCMに彼女を起用して欲しいという声が一番でした」
CMの製作を任された橘はここぞとばかりに力説した。
「後は皆様に同意を頂くだけです」
そう言い、真澄を始めとした重役たちの顔を見つめる。

「・・・北島マヤ・・・か」
真澄は呟き、写真をじっと見つめた。





「マヤちゃん、時間ないわよ。急いで、急いで」
マネ−ジャ−の佐伯理香子がマヤを急かせる。
マヤはドラマの撮影が押してしまい、CM契約を結んだ大都物産主催のパ−ティ−に遅れそうだったのだ。
「えっ、あっ、今、行きます!」
テレビ局の前でタクシ−を止めている理香子に言う。
マヤは止めてあるタクシ−の中に理香子とともに乗った。
「帝国ホテルまで」
理香子が行き先を告げると、タクシ−は走り出した。
マヤは隣で呼吸を整えていた。
「あっ!マヤちゃん、着替えてなかったの?」
ジ−パンにTシャツというラフな姿のマヤに佐伯はようやく気づく。
「だって・・・着替えている時間なかったから・・・でも、ちゃんとパ−ティ−用のドレス持ってきましたから・・・向こうで着替えれば、ね」
愛嬌たっぷりの表情で佐伯を見る。
佐伯はマヤのこの余裕な姿にもはや呆れるしかなかった。




「うん?北島マヤとやらはまだ来てないのかね?」
真澄は一通りの挨拶が終わった後、秘書の水城に言った。
「えぇ。何でもドラマの撮影が押してしまって・・・遅れるという連絡をさっき橘さんが受けたようです」
「そうか。まぁ、彼女に会えないのは残念だが、後は上手くやっといてくれ」
「真澄様?パ−ティ−を抜けるつもりですか?」
「あぁ。俺がこれ以上ここにいる理由はないしな」
タキシ−ドのタイにきゅうくつそうに触れながら口にする。
真澄がパ−ティ−を途中で抜けるのは毎度の事である。
顔つなぎ程度の挨拶が終われば彼はいつも帰ってしまうのだ。
彼にとってこういう席はどうも好きになりない場所の一つでもあった。
「わかりました。どうぞ、お帰り下さい」
水城の言葉にもう背を向けて歩き始めている彼は軽く手を振った。




「マヤちゃん、化粧室で着替えてくるのよ。私は橘さんに会ってくるわ」
パ−ティ−会場につくと佐伯はそう言い、マヤを残して一足先に会場に乗り込んだ。

「・・・化粧室、化粧室・・・どこだろう」
衣装を持ったまま、キョロキョロと周りを見る。
「きゃっ!」
その時、何かに転びバランスを崩した。
「おっと・・・危ない」
丁度通りかかった真澄は彼女を受け止めた。
一瞬、逞しい胸に抱きとめられドキっとする。
「・・・あっ・・・すみません」
僅かに頬を赤くし、彼を見上げる。
「お嬢ちゃん、大丈夫かい?」
真澄の口から出た”お嬢ちゃん”という言葉に眉を寄せる。
真澄にとっては化粧もしていなてスッピンでラフな格好をしていた彼女が中学生か高校生のように見えた。
まさか、自社のCMに起用した北島マヤ本人だとは夢にも思わない。
「・・・失礼、気に障ったかい。ちびちゃん」
クスリと笑って彼女を見る。
真澄の態度に益々彼女の表情が険しいものになる。
「いいえ。どうもありがとうございました。失礼します」
彼におじぎをすると歩き出す。
「待ちたまえ。ちびちゃん。忘れ物だよ」
そう言い、真澄は彼女が手に持っていた衣装の入っている袋を差し出す。
「あっ」
マヤは再び真澄の前に行き、ひったくるようにして受け取った。
何だかその様子が可笑しくてつい笑い声をあげる。
「失礼します」
真澄にバカにされたように笑われた事にムッとし、彼女は不機嫌なままその場を後にした。
まさか、彼が大都物産の社長であるとは知らずに・・・。





「・・・マヤちゃん・・・どうしたの?」
会場に現れた不機嫌そうなマヤの様子に佐伯は心配そうに声をかける。
「いえ。さっきそこで、失礼な人にあったもので」

化粧をし、イブニングドレスを着た彼女は女優という風格を十分に表していた。
「あの、北島さん、来て頂けて嬉しいです」
佐伯とは話していた橘はいささか緊張気味にマヤに言った。
「あっ、橘さんでしたね。いえ、こちらこそお招きに預かり光栄です」
橘とはCMの契約を結ぶ時に会っていた。
さっと不機嫌そうな表情からにこやかな笑顔を作る。
もう、それだけで、橘はたまらない。
気づけば、彼女の周りを囲うように人だまりができていた。
パ−ティ−の客たちは突然、パッと現れた花のような彼女に自然と引き寄せられたのだ。

「北島さん、今回は当社のCMを引き受けて下さり、ありがとうございました。社長に代わりに社長秘書の私が礼を述べさせて頂きます」
水城はマヤの前に現れ、軽く頭を下げた。
「あっ、いえ、こちらこそ、この度はありがとうございました」
少し緊張したようにマヤも頭を下げる。
「・・・そういえば、社長さんは?私、まだお会いしてないから、今日こそは会えると思っていたのですが」
頭をあげ、社長らしき人物がいない事に気づく。
マヤはまだ彼とは会った事はなかった。
30代の若さにして大企業の社長、そして噂ではかなりのやり手だという男にマヤは少なからず興味を持っていた。
「申し訳ございません。社長は急用ができてしまい今夜はもう帰りになりました。社長が北島さんによろしくと言っていました」
「そうですか。では、お会いできるの楽しみにしておりますとお伝え下さい」





「おはようございます」
真澄が出社すると水城は彼の好きなブル−マウンテンを手に社長室に入ってきた。
「おはよう」
真澄はざっと報告書に目を通しながら、水城が持ってきたコ−ヒ−カップを口にした。
そして、水城が口にする一日の予定に耳を傾ける。
今日も分刻みに彼の予定は組まれていた。

「そういえば、北島マヤはどうだった?」
水城が社長室を出て行こうとした時に、思い出したように口にする。
「可愛らしい方でしたわ。彼女が現れるとまるで花が咲いたように周りが明るくなりました。さすが今一番売れている女優ですね。
そういえば、社長にお会いできるのを楽しみにしていますと言っていました」
水城の言葉に僅かに眉を上げる。
「・・・社長、女優はやめて下さいよ」
真澄の心を読むように水城が釘をさす。
「はははは。まさか。女優になんて手は出さないさ。北島マヤと言えば俺より11も下だ。俺は子供には興味はないんでな」
「・・どうですかね」
意味深なため息を浮かべ、水城は社長室を出た。
「・・・子供か・・そういえば、あの子」
真澄はホテルで会ったそそっかしそうな少女を思い出した。
何だか笑みが零れてくる。
あんなタイブの子は真澄の周りには全くいなかった。





「今度のCMのテ−マは恋です。北島さんには恋心を表現してもらいたい」
CMの打ち合わせの為、マヤは大都物産の第7会議室に来ていた。
大都物産としては今度の化粧品のCMにかけていた。
総合商社である大都物産では鉛筆一本から人工衛星まで多種多様な商品はを扱っていたが、
最近手がけ始めた化粧品については今ひとつ伸び悩んでいた。
「少女は恋を知り、大人の女性へと変化していく・・・。その小道具として当社のこの冬の新製品である口紅を使います」
コンテの一つ一つを橘が説明していく。
マヤはそのCMの世界に心から溶け込みたいと思った。
「・・・ステキです・・・」
一通りの説明を聞き、感嘆の声をあげる。
「私、是非、演じて見たい」
マヤの言葉に橘を始めプロジェクトにかかわっているスタッフたちはこのCMの成功を確信した。


「しっかし、大きいなぁ」
マネ−ジャ−に先に行っているように言われ、エントランスまで社員に送って貰っていたが、一人になり、忘れ物をした事に気づく。
ビルは50階建ての超高層ビルになっており、一つ一つのフロアがマヤにとっては信じられない程広かった。
会議室があった28階を押して、降りるが、その瞬間、もうマヤは迷ってしまったのだ。
「・・・あれ?ここじゃなかったけ?」
きょろきょろと周りを見回すが一向に会議室らしきものは見当たらない。
「フロア違ったかな」

Trrrr・・・。Trrrrrr・・・。

マヤが迷っていると携帯が鳴る。
「あっ、はい」
驚いて出ると、それは佐伯からだった。
「マヤちゃん、どこにいるの?今、一階の正面玄関にいるんだけど、見当たらないのよ」
「あっ、あの。私、忘れ物取りに来ていて・・・」
「忘れ物?ドラマの台本かしら?それなら私が持っているわよ」
佐伯の言葉にあっけにとられる。
まさにマヤが取りに行ったのはソレだった。
「それです!じゃあ、今から戻ります」
マヤはとんだ無駄足を踏んだ事を悟ると、元来たエレベ−タ−に乗った。
そして、ふと、50階のボタンが目につく。

50階からの景色ってどんなんだろう・・・。

そんな好奇心が彼女の心をくすぐる。
「少しぐらい、いいよね」
呟き、マヤは悪戯心にくすぐられ、1階ではなく50階のボタンを押した。
階数があがるとともに、耳が痛くなり、気づくと50階に到着した。
そおっと、エレベ−タ−から降りてみる。
今までいた階とは違い、役員室が並ぶ階は重苦しい雰囲気が漂っている。
社員の姿は一人も見えず、静まりかえっていた。
エレベ−タ−に戻った方がいいかなと思いながらも、足は自然に進んでしまう。
そして、ふと、社長室とかかれた銀色のプレ−トが目についた。
「・・・ここに社長さんがいるんだ・・・」



「お疲れ様でした。少し休憩になさいますか?」
社に戻って来た真澄に水城が労いの言葉をかける。
二人はエレベ−タ−に乗り込んだ。
「うん。そうだな」
時計に目をやると、午後2時を回っていた。
次の会議まで30分程の空きがある。
「時間がとれるのではこの辺で休みたいが」
ここで休憩を取らなければ真澄は今日は10時過ぎまでは自由にはなれなかった。
「かしこまりました。では、会議の時間になりましたら、お呼びしますので」
そう言い、水城は社長室までは行かず途中の階でエレベ−タ−を降りた。
真澄はやっと一人になれ、ぼんやりとため息をついた。
朝から晩まで詰め込まれたスケジュ−ルに時々、むしょうに疲れる。
偶には会社をサボッてどこかに行きたいと思うが・・・。
そんな事したら、間違いなく職務怠慢で重役たちの吊るし上げにあうだろう。
社内に彼の敵は多かった。
20代後半という若さで社長になった彼に反発を感じるものは多少なりともいるのだ。
真澄は一人、立ち向かってきた。
彼らの重圧に負けぬように、それだけの利益を出し、彼が社長である事を認めさせた。
その為にかなり汚い手も使った。
いずれは彼は父親が築いた大都グル−プを背負う事を宿命とされていた。
それも、もう近いうちにだ。
そうなれば、また敵は増えるだろう。
嫉妬、妬み、彼が階段を一つ、一つ上がるたびにそれらは付きまとう。
彼は常に戦場の中に身を置いていた。
安らぎなんてものは何一つない。
女を抱いていても、心から安らげた事はなかった。

「・・・少し、疲れたなぁぁ」
呟き、エレベ−タ−から降りる。
そして、自分の部屋に向かって歩き出す。
長い廊下の一番奥に社長室はあった。

「うん?」
ふと、彼の視線に社長室の前に佇む少女の姿が目に入る。
「・・・あの子は確か・・・」
この間よりも大人っぽい格好をしているが、間違いなく真澄にぶつかってきた女の子だった。

「何か用かな?」
マヤが扉を見つめていると後ろから声がした。
「えっ」
振り向くと、この間の失礼男が立っている。
一気にマヤの表情はゴキブリでも見たような形相に変わる。
真澄はそのあまりにも急激な変化が可笑しくて笑い出した。
「やっぱり、この間のちびちゃんか。こんな所で何してる?」
笑いを何とか抑え口にする。
「・・・あなたこそ、ここで何しているんですか?」
「えっ・・・俺か・・・俺は・・・」
”社長だからな”と言おうとした瞬間、なぜか別の言葉が出た。
「俺はここの社員だからな。ここにいるのは当然さ。君こそ、社長に何か用かね?」
「社員?あなたが?」
驚いたように口にする。
「あぁ。そうだ。で、君はどうしてここにいる?学校でもサボッたのか?」
クスリと笑い、彼女を見る。
「失礼な!私はもう、学生ではありません!こう見えても二十歳はとっくに過ぎてます!」
子供扱いされた事に頬を膨らます。
「ははははは。冗談だよ。ちびちゃん」
真澄は可笑しそうにまた笑い出した。
それが余計にマヤの神経をすり減らす。
「失礼します!」
そう言い、笑ったままの彼に背を向けて歩き出す。
「待ちたまえ。社長に会っていかないのかね?」
笑いを堪え彼女を見る。
「・・・いえ、その、特に用があった訳じゃなくて・・・。ただ、何となく、この階から外を見たらどんなふうに見えるかなぁと思って・・・」
もじもじと恥ずかしそうに告げる。
その姿に胸の中が温かくなる。
「あっ、また。子供っぽいって笑う気でしょ」
言葉なく見つめている真澄にまた馬鹿にされたと思い、膨れっ面を浮かべた。
「知ってるかい?社長室から見る景色は特に眺めがいいんだ」
優しい瞳で彼女を見つめる。
「えっ」
「丁度、今、社長は留守でね。入ってみるかい?」
そう言い、真澄は社長室のドアを開けようとした。
マヤは真澄の唐突な行動に驚いた。
「わぁ!そんな事をしたら、あなた怒られるんじゃ」
マヤが心配する中、真澄は社長室のドアを開けた。
「さぁ、おいで、ちびちゃん」
マヤを手招きする。
「えぇ・・と、じゃあ、お邪魔します」
遠慮気味に社長室に入る。
扉の向こうは高価そうなインテリアが飾られている。
応接セットに大きなデスク、そして、広い窓があった。
その空間にマヤは圧倒された。
胸の中がドキドキと脈をうつ。
主のいない部屋に入るという罪悪で気が気ではなかった。
真澄はそんなマヤにはお構いなしに落ち着いた様子でこともあろうに社長の机に座っていた。
「・・・あの、いいんですか?」
落ち着かない様子でマヤが言う。
「えっ、何がだ?」
「・・・勝手に社長室なんて入ったりして・・・」
「見つかれば、俺はクビかな。一緒に入った君も共犯になるがな」
真澄の言葉にマヤは眉を上げた。
「酷い!!私をはめたわね!」
マヤの反応にクスクスと笑う。
「まぁ、そういう事かな」
「ちょっと、あなたね!!」
マヤは食いつくよにう真澄に叫んだ。
「シ−!そんな大声出すと、社長の秘書が飛んでくるぞ」
真澄の言葉にハッとし、口を抑える。
「・・・私、帰ります・・・」
マヤは扉に向かって歩こうとした。
「待ちなさい。まだ、景色を見ていないだろう?ほら、そこからは東京中を一望できるよ。天気のいい日は富士山も見えるんだ」
マヤの腕を掴み一番見晴らしのいい場所に連れていく。
マヤは突然腕を掴まれ、ドキリとする。
真澄はそんな彼女に気づかず、外の景色を説明する。
その横顔はどこか少年のように楽しそうだった。
マヤもいつの間にか食い入るように窓の外を見つめた。
景色はスカッとする程気持ちのいいものだった。
何だか心が癒されていく。

「・・・ここから外を見ていると人の嫌な部分を忘れられる・・・」

呟くように真澄が口にする。
「えっ」
その表情が今までとは別人のように冷たく、苦しそうなものだった。
「・・・どうだ?ちびちゃん。気に入ったか?」
沈黙を置き、優しい視線を向ける。
「・・・えっ、あっ、はい」
マヤの返事に真澄は優しい笑みを浮かべた。


「じゃあな。ちびちゃん。この事は内緒だぞ」
マヤをエレベ−タ−の前まで送り届けおどけたように口にする。
「ちびちゃんじゃありません。私には北島マヤっていう名前があります!」

北島マヤ・・・。

エレベ−タ−の扉が閉まる瞬間に彼女が口にした一言が真澄の胸に響く。
「俺は速水だ。速水真澄・・・」
閉まりかけた扉を掴み、告げる。
マヤは驚いたように彼を見た。
「また会おう。ちびちゃん」
そう言い、真澄はエレベ−タ−の扉を離した。







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