For You♪
AUTHOR mikan







「涼ちゃん、ごめん!
 駅まで車で送ってくれないかな?」

今日はこれから友達に会いにいく。
朝からその準備をしていたんだけど、思ってた以上に時間がかかり、
既に遅れそうだった。
忙しそうな涼ちゃんに送ってと頼むのは、ちょっと気が引けたけど、
彼は、いいよ、と優しく言ってくれた。




駅までの短い道のり。
涼ちゃんに送らせて悪いな、と思う反面、
少しでも彼と一緒にいられることが嬉しい。
車を運転する彼の横顔も、実は大好きだったりする。
幸せを感じつつ、チラチラと彼の方を見ていると、
「どこにいくんだ?」
と、涼ちゃんが聞いてきた。

「ちょっと、友達の家まで行くの。渡したいものがあって。」
「渡したいもの?」
「あっ、ちょっとしたプレゼントなんだけどね。」
と言って、膝の上にのせている紙袋を見る。
「朝から作ってたやつか?」
「うん、そう。初めて作ったから、時間かかっちゃって・・・」
と、袋の中を見つめる。

朝から作っていたのは、クッキー。
友達に、何をあげたら喜んでもらえるか考えた末、お菓子にしてしまった。
食べたらなくなるし、変なものあげるよりいいよね・・・
さすがに手作りにしよう、とは考えていなかったんだけど・・・
どうせなら友達の好きな形のクッキーをあげようと思い、あちこち探してみたけど、

思い描いたものがなかったので、結局自分で作ることにした。

クッキーを作るのは初めて。
不慣れなため、作るのにも、ラッピングにも、予想以上に時間がかかってしまった。

そのせいで、実はまだ味見をしていない。
これでおいしくなかったら・・・と思うと、ちょっと不安になる。

何枚か、自分用にと持ってきたクッキーを取り出し、
隣にいる彼をチラリと見る。

ほんとは、涼ちゃんに一番に食べてもらいたいんだよね・・・

初めて焼いたクッキーだから、彼に最初に食べてもらいたかった。
クッキーを見つめ、どうしようかと悩むが、思い切って彼に食べさせることにした。


「あっ、そうだ! 涼ちゃんも食べてみない?
 クッキーなんだけど、おいしいかどうか感想を聞かせて欲しいの。」
さりげなくそう言って、クッキーを1枚、彼の口の前に差し出す。
チラッとそれをみる涼ちゃん。
「・・・紫?」
ちょっと驚いたような顔してる。
「うん。その子ね、紫のバラが好きだから、紫色のバラ型クッキーにしたの・・・
 変かな?」
「・・・いいんじゃないか、一生懸命作ったって感じがするよ。」
彼の優しい言葉に、なんだかとても嬉しくなる。

「ほ、ほんとはね! 紫のバラの花束をあげようかと思ったんだけど、
 やっぱり、そういうのは好きな人からもらったほうがいいかなと思って、やめた
の。
 でも、このクッキーも、一口サイズにしていっぱい作ったから、
 ほらっ、花束みたく見えるでしょ?」
と、ラッピングしたクッキーを彼に見せる。
透明な袋に入れてあるから、中に入っているクッキーがよく見える。
さすがに、花束・・・とまではいかないけど、言いたいことはわかってくれるはず。

「そうだな。」
クスッと笑い、そう言ってくれる彼。
言いたいことが伝わった嬉しさからか、なんだか照れてしまう。

「じゃ、どうぞ。」
と言って、再び彼の口元にクッキーを近づける。

ぱくっ、と食べた彼の唇が私の指に触れ、思わずビクッとしてしまう。
慌てて手を引っ込め、ドキドキしながらも、彼の様子を伺う。

「ど、どうかな?」
味わうように食べている彼に、恐る恐る聞いてみる。
「初めてにしては、上出来だな。」
「ほんと!?」
その一言で安心すると共に、ほめられた嬉しさから顔がほころんでしまう。
「よかった!涼ちゃんがそう言ってくれるなら安心だ!」
ますます笑っていく顔を抑えつつ、自分もクッキーを食べてみる。

なんだかとても甘い・・・

それは砂糖が多かったのか、幸せすぎて甘く感じるのか、よくわからない。
きっと両方だね、と自分で納得しながら、クッキーを見つめる。


「着いたぞ。」
あっという間に、駅に到着。
「ありがとね、涼ちゃん。じゃ、行ってきまーす!」
遅刻しそうだったことを思い出し、慌てて車を降りる。
「ほら、忘れ物!」
振り向くと、涼ちゃんの手に小さなカードが。
「あ、ごめん!ありがと!」
慌ててそれを受け取り、改札へと走り出す。



「まったく・・一体、誰のファンなんだか・・・」
従妹の後姿を見送りつつ、カードに書かれた内容を思い出し、
これから誰に会いに行くのか気になる涼介。





よかった・・
カードがなかったら、このプレゼントが台無しになるところだった♪

袋の中のクッキーとカードを見つめつつ、
これから会いに行く友達の反応が楽しみな従妹であった。





  ”一周年記念、おめでとうございます
                あなたのファンより”





おわり♪

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2002.05.24 mikan

読んでくださって、ありがとうございます♪

ずいぶんと遅くなってしまって、ごめんなさい。
やっと書き上げることができました。(^-^;

紫のバラ型クッキー、ちゃんと届きましたか? Catさん(笑)
Catさんを従妹ちゃんのお友達にしてしまったんですが...(白目)
お、怒ってます?(笑)
この、紫のバラ型クッキーの案は、前から頭にあり、
いつか使おうと思ってたんです。
今回Catさんに贈ることができて、よかったです♪

開設一周年、おめでとうございます♪
これからも素敵なお話しを書きつづけていってくださいね♪

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【Catの一言】
mikanさん、一周年記念のficありがとうございました♪♪しっかりと従妹ちゃんから、紫の薔薇のクッキ−受け取りましたわ(^−^)
ふふふふ。甘党のCatには丁度良いお砂糖加減でした(はあと)これからもお砂糖いっぱいのお話期待してます(笑)

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