new day
ＡＵＴＨＯＲ みつき
目覚めると、夏の朝はまだとてもはやくてとても静かだった
カーテンが風をふくんで柔らかく揺れ
その隙間からキラキラと光がこぼれてまぶしい
恋人はまだベッドで寝息をたててる
髪をすき、案外かわいい寝顔を見つめると
唇からよだれ
すばやく口付けてペロリと舐める
素晴らしい朝を迎えた
年に一度あるかないかの目覚めの良さだった
こういう日は目覚めてすぐに判る。子供の頃のように胸が高鳴る
何かいいことが起こりそうな、そんな一日の始まり
おろしたばかりの新しいシャツに着替えていると
寝ぼけまなこの恋人が、ちょっとだけくびを起こして
眩しそうに声をかける
「お、はよう… マヤ？
随分はやいな…」
「オハヨウ！ねぇ、起きて。とてもいい朝よ！」
「…もう少し…寝かせてくれ…」
枕につっぷしてしまった
無理もない
ゆうべ帰宅したのが1時をまわっていたし
そのあと二人で新しいワインを開けておしゃべりをした
休日前の楽しい夜更かし
「それじゃ、行ってくるね。
ロケは11時までなの。すぐ戻るから！」
小さくキスをして寝室を出て行く
今日の午後は久しぶりに二人とも予定が無い
こんな日はただ二人で過ごしたい
どこへも行かなくていいから、眺めのいい部屋で二人切りで過ごしたい
今日が二人にとって、幸せな一日になるような予感がして胸がときめく
リビングに投げ出した彼の携帯の電源を勝手に切って
階下に待たせた車に向った
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おしまい