過去からの贈り物〜追憶、ジュリア
AUTHOR 涼夜



暖かい木漏れ日の木々の間から、真っ直ぐに自分を見つめている、誰かがいる・・・・。
その瞳を自分は知っている。純粋で、無垢で、疑う事を知らない優しい瞳。
側にいると優しくなれて、自然と笑顔が漏れた。
言葉に出来ないほど大切な存在だと気づいたのは、一体いつからだったろうか・・・。
"恋"や"愛"・・・・そんな言葉では言い表せないほどに・・・・。
小さな少年を愛し始めている自分がいる事を認めた時、心が恐怖に支配されそうに
なった。
壊さぬよう、その想いをずっと閉じこめて忘れようとした。でも、出来なかった。
見つめるだけの日々が流れて、小さな少年はいつの間にか、自分に一番近い青年に成
長していた。
そして、あの日・・・・彼は私に"愛"を囁いてくれた・・・・・。
彼がまだ18の青年で、私が21歳の時だった・・・・。
決して忘れる事の出来ない日・・・・・。


「・・・どうしてこんな所にいるの?」
大学の研究室の扉を開けた彼女は、呆れた声で問いかけた。
小さなデスクの上に、こんな場所とはとうてい不釣り合いな青年が、足を組んでふん
ぞりかえったように座っている。
「みんなが探してたわよ?あなたと連絡が取れないって」
「みんなじゃなくて、ジョシュアだけだろ?」
デスクの上のグシャグシャにしてる書類を、ゴミ箱めがけて彼は投げた。
見事に書類は彼女の横にある小さなゴミ箱にヒットして、彼はどんなもんだい!と言
う、ポーズと取ってみせる。
「モルダー・・・こんな所にいていいの?」
彼女のちょっと困ったを見て、モルダーはデスクから立ち上がった。
「迷惑なら帰るよ」
「そうじゃないわ、ただ今日は・・・」
「高校のプロム?」
「そう!分かってるならどうしてこんな所にいるの?」
プロムとは高校の卒業ダンスパーティのようなもので、モルダーは今日、高校を卒業
した。
普通ならその後、自分の彼女や気に入った女の子を誘って、プロムに足を運ぶ。
友達ともその後滅多に逢えなくなるから、大抵の子はパーティーに行き、今ごろは高
校最後の思い出を作っている事だろう。
なのに、彼はここにいる・・・・。
「君が言ったんじゃないかジュリア。個人の研究室を貰ったから、今度見においでっ
て・・・・もしかして忘れたの?」
笑顔で話すモルダーに、ジュリアの目が点になった。
「なっ・・!そんなためにわざわざ来たの?あんな約束、別に今日でなくてもいつ
だって・・・」
「あんな約束!?ひどいよ、僕は楽しみにしてたのに・・・・」
ジュリアの言いぐさに、モルダーが驚いたように声を上げた。
「で、でも何も今日でなくたって・・・・」
「僕にはプロムに参加するより、ジュリアの研究室を見に来る事の方が大切だってこ
とさ」
そう言って、モルダーは無邪気な向ける。
笑顔を見た瞬間、ジュリアは、おかしくて吹き出してしまった。
「あなたって・・・・全く・・・」
自分が一体どれだけ下らない理由で、高校最後の思い出を潰しているのか・・・分
かっているのだろうか?それでも、ここに来たかったから来たと言うモルダーの言葉
にあきれ果てたジュリアは、クスクスと本人の前でその行動を笑い出した。
「笑われると複雑だよ」
「ああっ、ごめんなさい。やっぱりあなたの行動は謎が多いなって、感心したのよ」

「それって、誉めてるわけ?」
複雑な表情を向けたモルダーが、ジュリアの顔をのぞき込んだ。
「もちろん!!決まってるじゃない!・・・・・・モルダー、来てくれてありがと
う。それと、高校卒業おめでとう」
ジュリアの優しい笑顔を見て、モルダーもすぐに笑顔になった。
「せっかくの高校卒業記念日なんだから、外に行かない?何かおいしいものでもごち
そうするわよ。研究室にはまた、いつでもこれるんだから」
「本当に?一緒に祝ってくれるの?」
「ええ。さっ、行きましょう」
驚いた顔をしているモルダーの前に、ジュリアが手を差し出した。
ふいに、強い力に腕が引き寄せられる。
「モルー......!!」
抵抗する間もなく、ジュリアはモルダーの胸の中に包みこまれた。
「ありがとう......嬉しいよ、本当に.」
力強い腕に、囁くように優しい声.......。
「モルダー……」
それ以上、言葉にならずに胸の中で瞳を閉じる。
喜びを抱き締めることでストレートに表現するこの少年に、一体いつまで自分の気持
ちをごまかし切れるのだろうかと、ジュリアは思った。
締め付けられるように心が痛んで、さまざな思いが駆け巡っていく。
この腕に、この胸の中に、変らない懐かしさ以上の物を求めている自分がいる....。

「モルダー、そろそろ行きま.....」
腕の中からすり抜けようとした彼女を、さらに強くモルダーが抱き寄せた。
そのヘイゼルの瞳は、しっかりとジュリアのアイス.ブルーを捕らえている。
「ずっと....言いたかったことがあった......」
ジュリアの白い頬に、優しくモルダーの右手が触れる。
「モルダー......?」
「言葉に出来ないほど君に感謝してる。君はいつだって側にいてくれた、妹を失って
から今日までずっと・・・。離れていった友人、どこか冷たくなった両親・・・。で
も君は、君だけは変わらずにずっと近くにいてくれた。君から見たら僕はまだ子供な
のかもしれないでも、僕は君を・・・・愛してる」
「............!!」
「15のときから、ずっと.......君が好きだった」
真剣な愛の告白に、見つめ合ったまま動けずにいたジュリアは、モルダーの顔を見て
思わず吹き出してしまった。                         
           
「ジ、ジュリア!?」
モルダーにとっては一世一代の瞬間だったので、急に吹き出したジュリアに冗談にと
られたのかと思って、拍子抜けになった。
「ご、ごめんなさい・・・・でも、顔が真っ赤よ?モルダー・・・・」
「!!ジュリア!」
モルダーはすぐに彼女の笑みを見て、自分がからかわれたのだと確信した。
「僕は真剣なん・・・・」
言い終わる前に、その言葉が塞がれた。
モルダーの頬を、ジュリアが優しく包み込んで引き寄せたのだ。
「えっ・・・・?」
一瞬何が起こったか理解できなかったモルダーは、目を丸くする。
「私も愛してるわ」
耳元で囁かれ、モルダーは初めてジュリアを見つめた。
そこには優しく微笑む女性が、ただ真っ直ぐに自分を見つめ返している。
「愛してる」
ジュリアはもう一度ゆっくりと囁いた。

暖かくて、穏やかな温もり・・・ずっと触れたいと思っていた彼女の心・・・・・。


モルダーは嬉しくてジュリアを思いっきり抱きしめると、そのまま彼女を抱き上げて
小さな子供をあやすように持ち上げた。
「モルダー!?モルダーったら!ちょっと・・・・あはははは」
「本当に!?本当に??すごく嬉しいよ!!嘘みたいだ!!」
ジュリアを軽々と持ち上げながら、モルダーは弾けんばかりの笑顔を向けた。
辛い日常を過ごしてきて一度は心を閉ざした少年......。
けれど今、自分を抱き上げて笑っている彼の顔は、昔の.....サマンサを失う前に見
せていた昔の笑顔と同じだとジュリアは思った。
足が床についたことに気付いた時には、ジュリアはもう一度強くモルダーに抱き締め
られていた。
その背中に腕をそっと回しジュリアは、優しく抱きかえす。
弟のように接してきて、ある日自分の気持ちに気がついた。けれど、かけがいのない
存在で、失いたくないと言う想いが強すぎたため、何も言えずにただ黙って心の中に
押し殺してきた。
腕の中で、彼女は瞳に涙をたたえた。
「愛してるわ.......FOX」
消え入りそうな声で、ジュリアはもう一度呟いた。
自分を抱き締めるその温もりの中で、今が永遠に続けばと願いながら
..............。


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だぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
やっと出来たぁ!!(涙)×(涙)今回は過去からの贈り物〜追憶、ジュリア〜をか
かさせていただきました。(*^_^*)遅くなって・・・。実は中編の中に盛り込む予定
だったのですが、ちょっと・・・。彼女の心理を直で分かって欲しくてかいちゃいま
した。
前半の次にアップしてくだれ〜<(_ _)>それと、二人の過去をより分かりやすくする
ためにとも思いペンを取りましたのです。不出来なできですが、なにとぞ、お願いし
ますぅぅ_(_^_)_
今は中編にとりかかっております。でも、もしかしたら次はモルダー編になるか
も!?
とにかく頑張ります!Cat様、長い目で見て下さいね(^^;)えっ?しゃべりす
ぎ??


















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【Catの一言】
何だか初々しいですねぇぇぇ♪モルの高校時代を想像してしまいました(笑)プロムに出ないなんて、何だかモルらしい(笑)
もちろん、長ーーーーーーーい目で見ていますわ(笑)続き、楽しみに待っています♪♪


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