過去からの贈り物〜追憶 1986年 再会〜
AUTHOR 涼夜


本作品の著作権は全てCC、1013、FOXに続します。

タイトル:「過去からの贈り物〜追憶 1986年 再会〜」
NAME:涼夜

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1986年−春−
別れてから六度目の春を向えた時、僕達は再会した。
今でもはっきりと覚えている。長い回廊の向こうから、君が歩いて来た日のこと
を....。
一瞬で君だと分かった。いや、僕には分からなければいけなかった。
「いつか...きっとまた会える....その時は....」
その言葉が、あの日から僕を変えた。
心も体ももっと大人になれるように、傷つけずに愛しあうために.....。

君が故郷を去って三年後、後ろ髪をひかれる思いで僕もあの街を後にした。
あの街で生きて行くには、君との思い出が多すぎた。
そして君が言った"いつか"を現実にするために。

離れていた長い年月、僕はずっと君を求めて続けた。
誰とも恋をしなかったわけじゃない。でも、それは恋と呼べる代物じゃなかった。
行き場のない思いは心から溢れだし、君に良く似た人を探した。
流れるような金髪に空色のアイス・ブルーの瞳、医学を志した人間や強い意志を持つ
女性...。
でも、どれも君にはならなかった。
そして分かったんだ。なぜ、君が僕から離れたのか......。

あの頃、幼すぎた僕達はお互いの愛情の深さに勝てなかった。
君と言う世界しか知らなかった僕は君の存在が全てで、他には何も...何一つ見え
てはいなかったんだ。
でも君は違った。
今しか見えて無かった僕とは違い、君はいつも前を見つめ続けていた。
そしてある瞬間に気がついたんだ。僕が君にぶつけている思いが、決して愛ではない
と。
それでも君は、何も言わずその手を離さずにいてくれた...一体どれだけ傷つけた
んだろう。
無条件に愛される事だけを望み、小さな子供のように愛情をぶつけた僕。
そこにはいたわりも思いやりもなく、ただ二度と戻らない時間だけを懐かしんでいた
自分。
でも決して、心の中の....大切な者を失った悲しみが癒される事はなかった。
君はそれを感じ、別れる事で僕に気付かせてくれた...。
離れる事で初めて分かった君の想い。

君にはもう分かっていたんだ。
僕が君以上に誰も愛せないように、君もまた僕以上に愛する人が出来ない事
を....。
だからすれ違う愛情の中で、お互いを誤摩化しながら生活して行く日常にピリオドを
打った。
本当に愛しているから、君はその想いを全て僕にくれた。
今なら君の言葉の全てを理解出来る。
離れていた長い時間の中で、逃げずに今の現実の重みを受け止め心の傷と向かい合っ
た時、僕は君への本当の想いに気付いた。
どれだけ大切で、どれだけ彼女に愛されていたか....。
今ならきっと傷つけ合わずに愛し合えるだろう。

確信にも似た思いが心の中に生まれた時、君と離れて六年後の春、別れ際に約束した
"いつか"の日はもうそこに来ていた。
忘れられない、あの日....。
それはほんの偶然、FBIアカデミーに入った1986年−春−
頼まれた資料を届けに行ったメディカル・スクールで、場違いな自分を感じながらも
なぜか足が動かなった。
講議の終わりを示すために鳴り響くベルの音、談笑しながら安心したような顔で教室
から出て来る生徒達。
すれ違う白い白衣に笑い声や話し声で溢れかえる廊下。
それでも、僕には君だと分かった。
長い回廊の向こうから歩いて来る白衣を着た一人の女性。
流れるように美しい金髪に、空色のアイス・ブルー.....。
ただ一人、いつかを信じた相手。
お互いの瞳が交差した瞬間、胸が一杯になったのを今でも覚えている。
導かれるような淡い再会、君が手にしていた荷物を落としたのを合図に僕は走り出し
た。
僕を見つめる瞳には困惑も戸惑いもなく、ただ、愛しさを込めた愛情だけが向けられ
た。
君の声、君の優しさ、君の温もり、何一つ忘れた事などなかった。
思い出すのは君の笑顔だけ.....。
潤んだアイス・ブルーの瞳にははっきりと僕だけが写り、君は優しい微笑みを浮かべ
ていた。
昔と何一つ変わらないその微笑みに胸が熱くなり、言葉に出来ない思いが心を絞めつ
けた。
溢れ出て来る気持ちに改めて君の大切さを心から実感し、そして僕はもう一度君に恋
をしたんだ。

別れた時と同じ、何も言わずそっと抱き寄せて胸の中に包み込む。
けれど抱き締める腕に、あの時感じた激しい痛みはなかった。
あの時言えなかった言葉を今、君に....。
「........愛してるよ、今も.....」
六年前届かなかったその想いは、ようやく君に辿り着いた.....ジュリア。


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さてさて、そろそろ完結まじかっすね(汗)
この後どんどん暗くなって行くような気がしますが...。
そこは長い目で見て下さい!最終的にはスカの幸せを望んでいますので(^^;)
この後、追憶をもう一つ書いて、後編書いて...過去〜は終わりです。


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<<Catの一言>>

アカデミ−でのジュリアとの再会がいいですねぇぇ。モルの気持ちが伝わってきました。でも、本当にスカちゃんを幸せにして下さいよ。涼夜さん。

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