ミラクルカレ−〜後日談〜
AUTHOR 井上トロ



忌々しい(?)事件から数日後。
「休暇内に元に戻って、本当にようございましたね。一時はどうなるかと…」
いつものように仕事に追われる真澄に、水城はコーヒーを持って社長室に入ってきた。
「もうその話はやめにしないか」

真澄も仕事の手を止め、水城の持ってきたコーヒーに口をつける。
 
それにしても、原因がマヤの作ったカレーというのが気にくわない。
まさかカレーを食べて気絶をする人間など、聞いたことがない。
本当にあの時のことは今となっては笑い話だが、今考えてみてもぞっとする。
ドラマや映画ならともかく、真澄とマヤの人格が入れ替わってしまうことなど…。
あの時、マヤが舞台中でなかったことが唯一の救いであったと真澄は今も思っている。
すっぽかすことのできない舞台の最中であれば、「マヤ」であった真澄が舞台に立たなければいけなかっただろう。
「真澄様??」
コーヒーを飲む手が止まってしまった真澄を、不振気に水城が問うた。
「いや、別に…」
 
急におかしさがこみ上げてくる。
あれ以来マヤはカレーどころか、厨房にも立とうとしなくなってしまった。
英介が
「わしもマヤさんのカレーが食べたかったなぁ」
などというものだから、ますますマヤは赤くなったり青くなったり、百面相そのものだった。
マヤをからかって、
「おいしかったですよ、お義父さん」
などと真澄が答えたものだから、マヤは英介にわからないように般若のような顔をしていたっけ…。
 
「一週間分の仕事と会議がぎっしりつまってますからね。よろしくお願いいたします」
「今日も午前様か・・・」
あの一件以来、真澄とマヤはすれ違いの生活が続いている。
「来週からマヤ様は、舞台稽古が始まりますわね」
「ああ」
間に合って本当によかった・・・。水城に気づかれぬよう、そっとため息をつく。
「ほほほ、真澄様の舞台姿も見てみたかったですわ」
こちらの考えを見透かすように水城は笑いながら言う。
飲みかけていたコーヒーを吹き出してしまう。
「おいおい、勘弁してくれ。こっちのほうがよっぽどいい」
 
社長室に来客を告げるノックの音がした。
「入りたまえ」
ノックの主を知っている真澄は、あたたかく来訪者を迎え入れた。
「水城さん、こんにちは。この間は本当にお世話になりました。」
マヤがニコニコと笑いながら入ってきた。
「いいえ、どういたしまして。来週からの稽古、がんばってね」
「はい」
マヤと水城の会話に真澄も耳を傾けていた。
こんなマヤを見ていると、この笑顔をまた見ることができて世本当によかったと思う。
しかしその反面、あの時マヤの体でもっとイタズラしておけばよかったと思うと、また入れ替わってしまってもいいな、とも思ってしまう。
「ひとつ聞きたいんだけど、いい??」
急に声をひそめる水城に嫌な予感がした真澄は、
「ちょっと失礼する」
と席をはずす。
部屋から出たとたんに、水城の
「どうやって元に戻ったのか教えていだだけない??」
と、興味津々にマヤに詰め寄っていた。
水城のすべて見透かしているような物言いに、複雑な気持ちを抱きつつ、
(当分社長室に戻れないな・・・)
と、笑いながらほかの部屋に避難する真澄であった。
 
 
end
 
この間の投稿作「ミラクルカレー」(なんてひねりのない題・・・)の後日談です。
投稿でこんなに長くしてしまっていいのかしらと思いつつも、懲りずに書いてしまいました。
すみません。m(__)m
なんか、真澄様だけいい思いしてるって感じですね。
これでほんとに終わりです〜。
 
井上トロ



【Catの一言】
トロ様、二作目ご投稿ありがとうございます♪
ふふふ。真澄様がいいでいわ。はぁ。是非舞台に立って紅天女なんぞ演じる真澄様が見てみたかったです(笑)


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