DISCLAIMER:The characters and situations ofthe television program "The x-files" are
thecreation and property of Chris Carter,FOX Broadcasting and Ten-Thirteen productions,
No copyright infringement is intended.

TITLE:彼女の気持ち
SPOILOR:none
AUTHOR:cat
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***スカリーの部屋***

「・・・ダナ」
囁くような甘い声で彼は私の名を呼んだ。
私が目を開けると、彼の優しい瞳が私を見つめていた。
「・・・おはよう、フォックス」
私は少しはにかんだ笑みを浮かべた。
彼は細く長い指で私の唇に触れ、じらすように唇の輪郭を
なぞり、そして私の唇に彼の唇を重ねた。
それはとても甘く、激しいキスだった。
唇を離すと彼は私を見つめ、耳元で囁いた。
「・・・愛してる、ダナ」
そして再び彼は私の唇に甘いキスをした。

******

ピピピピピピ・・・。
遠くの方で何かが鳴っている音がした。
「・・・う〜ん」
私は重い瞼を開け、その音の元である目覚まし時計を
止めた。
暫く呆然と天井を見つめ、私は意識を現実の世界に戻した。
バスルームに行って顔を洗うと、鏡の中の自分に呟いた。
「しっかりするのよ、ダナ」
そして私は懸命に今朝見た夢を頭の中から追い出した。
しかし、なぜか夢の中で感じた、胸の奥の切なさは消すことはできなかった。

***XF課***

「やあ、おはよう!」
私がオフィスに行くと、珍しくモルダーが先に来ていた。
「おはよう」
私は不機嫌そうに言った。
「どうした、スカリー?今日はいつもより随分と不機嫌そうだね」
彼は私をからかうようにオーバーに言った。
「・・・ちょっといやな夢を見て」
「夢?どんな夢だい?」
「どんなって・・・」
私は夢の中のモルダーを思い出して、急に恥ずかしくなり
彼から視線をそらした。
「スカリー、どうした?顔が赤いぞ、熱でもあるんじゃ
ないか」
そう言って彼は私に近づき、額にそっと触れた。
彼に触れられた途端、体中に電気が通ったような衝撃を
感じて、私はとっさに彼の手を振り払った。
「だ、大丈夫よ、あっ、そうだ私、ラボに行かなくちゃ」
私は彼から逃げるようにしてオフィスを出て行った。

***FBI内カフェテリア***

「あら、ダナじゃない?」
自分の気持ちを落ち着かせるためにコーヒーを飲んで
いると、突然誰かの声がした。
「えっ・・・」
私は目の前のコーヒーカップから目を離し、声のした方
を向いた。
「・・・クレア、クレアじゃない」
そこにはアカデミーで同期だったクレア・フォード捜査官
が立っていた。
「久しぶりね、ダナ」
彼女はそう言って、私の前に座った。
「本当ね、同じ局内にいるのにめったに会わないわよね」
クレアと会うのは本当に久しぶりだった。
「そうね、でも、私あなたの事何度か見かけていたわよ」
「あら、声かけてくれればいいのに」
「えっ、だって邪魔しちゃ悪いかなと思って」
「・・・邪魔って?」
「私があなたを見かける時、いつもモルダー捜査官と
楽しそうに話してるから」
私はモルダーという言葉を聞いた時、手にしていたコーヒーカップ落としそうに
なった。
「あなたたちって、やっぱり付き合っているの?」
クレアが興味深そうに言った。
「やっぱりって・・・どういうことよ」
「知らないの、あなたとモルダー捜査官ができているって噂」
私はクレアの言葉に呆然とした。
「・・・なんだ、やっぱりただの噂か」
クレアは何も言えなくなった私を見て、少しがっかりしたように言った。
「あ、あたりまえよ、私とモルダーがそんな関係になる
ことなんて絶対ないわ!!」
私は思わず大声で叫んでいた。
「ちょっとダナ、声が大きいわよ」
私はクレアの言葉を聞いて、カフェテリア中の人間が
私に好奇の視線を向けている事に気づいた。
「・・・あら、失礼」
私はそう言って席を立ちカフェテリアを出た。

***局内廊下***

「あの、スカリー捜査官」
私が急ぎ足で廊下を歩いていると、見知らぬ捜査官が私を
呼び止めた。
「何かしら?」
「あの・・・さっきおっしゃったことは本当なんでしょうか?」
「何の事?」
「・・・モルダー捜査官との事です」
私はその言葉を聞いて、カフェテリアでの事を思い出した。
「ええ、本当よ、私と彼は何でもないわ」
私は自分の言葉に後ろめたさを感じた。
「本当に、本当ですか?」
私の言葉聞いた途端、彼女は顔を輝かせながら言った。
「・・・ええ、本当よ」
胸が痛かった。
「よかった」
「何が?」
「私、モルダー捜査官に夢中なんです。でもスカリー捜査官と
つき合っているって噂があったから、何もできなかったんです」
私は彼女の言葉に胸が痛くなった。
「そう、彼、今は誰ともつき合ってないみたいよ」
「スカリー」
私が女性捜査官と話しているとモルダーが来た。
「スカリー探したよ、中々戻ってこないから」
そう言ってモルダーは私の隣にいる彼女を見た。
「あの、初めまして、キャサリン・ライスです」
キャサリンはそう言って、モルダーの前に手を差し出した。
「ああ、モルダーだ。君、見ない顔だけど入局したばかり
かい?」
モルダーは軽く彼女と握手しながら言った。
「はい、この間アカデミーを出たばかりです。モルダー捜査官のアカデミーでの
講義聞かせてもらいました。とても素晴らしかったです。
あの、もっとモルダー捜査官のお話が聞きたいんですが、
よかったらランチでも一緒に・・・」
「えっ、ああ、ありがとう。そうだね、そろそろお腹の
すく頃だし・・・スカリー、君も来るだろ?」
「えっ、ああ・・・そうね」
私がどうしようか考えていると、ライス捜査官が私をじっと見た。
「あの、悪いんだけど、お昼は約束があって」
私は嘘をついた。
「そうですか、残念です。それじゃあモルダー捜査官
行きましょう」
「えっ、ああ。それじゃあ後で、スカリー」
モルダーは私にそう言うと、ライス捜査官に促されるようにして歩きだした。

***XF課***

私はオフィスに戻ると大きなため息をつき、モルダーの
席に座って呆然としていた。
「・・・何やっているんだろう、私」
自分の情けなさを感じながら、私は再びため息をついた。
本当に今日の私はどうかしていた。
モルダーの事が気になって仕方がない。
こんな事は彼と今まで仕事をしてきて初めてだった。
「彼に素直な気持ちを言ったら?」
一人、考えに耽っていると、声がした。
「えっ、・・・クレア、何か用?」
声のした方を向くと、クレアがドアの側に立っていた。
「冷たい言い方ね、用がなくちゃ来ちゃいけないわけ?」
「・・・あなたがここに来たのは初めてじゃない?
用がなければ何だっていうのよ」
「・・・あなたが心配だったから、今日のあなた何だか
落ち込んでいたみたいだったから、何かあったのかなと
思ってね」
クレアは心配そうに私を見つめた。
「大丈夫よ、ちょっと今朝変な夢を見て・・・そのせいで
少し元気がないけど、大丈夫よ、心配してくれてありが
とう」
「・・・夢って?」
クレアは興味深そうな表情を浮かべた。
「えっ、そんな、人に話すような夢じゃないわ」
「その夢って、モルダー捜査官に関係があるんじゃない?」
クレアの言葉を聞いて、私は手にしていたファイルを
落としそうになった。
「関係ないわ!!」
私の言葉を聞いて、急にクレアが笑い出した。
「・・・あなたって、本当わかりやすいわね」
「どういう意味よ」
「あなたが見た夢当ててみましょうか?おそらくモルダー
捜査官とベットにでもいた夢だったんじゃない?」
私はクレアの言葉に今朝の夢を思いだし、体中が
一気に熱くなった。
「ち、違うわ、私が見た夢は・・・」
必死に取り繕うと思っても、言葉が出てこなかった。
「ダナ、私とあなたはアカデミーからの付き合いよね」
クレアが突然真剣な表情で私を見つめた。
「・・・ええ、そうね」
「私はあなたの事何でも話せる大切な友達だと思って
いるわ、あなたはどう?ダナ」
「もちろん私もあなたと同じよ、クレア」
「だったら私には本当の事を話して、ダナ」
「・・・本当の事って?」
「あなたの気持ちよ、どう思っているの、モルダー捜査官
の事」
「どうって・・・彼は大切な、パートナーよ、誰よりも
信頼しているし、尊敬しているわ」
「・・・それだけ?彼に対してそれ以上の気持ちはないの?」
「・・・それって彼に対して恋心があるかって事?」
「まあ、そういう事ね」
「・・・全くないとも言いきれないと思うけど、でも、
正直わからないの、彼に対して自分がどう思っているかなんて・・・彼は私にと
ってとても大切な人よ。一緒に
いて楽しいと思えるし、本音で話せる友達だわ。でも、
それ以上はどうかって言われると、わからないの、彼に
対するこの気持ちが友情なのか、それとも愛情なのか・・・私には区別をつける
ことができないのよ」
「・・・ごめんなさい、ダナ、私余計な事を聞いたみたいね」
そう言ってクレアはハンカチを差し出した。
「あなたの涙を見ると彼が心配するわよ」
私はクレアに言われて、自分が泣いている事に気づいた。
「それじゃあ、私そろそろ行くわね」
「クレア、ありがとう、何だかスッキリしたわ」
「ダナ、あなたが羨ましいわ、自分の気持ちがわからなく
なるまで人を愛せるあなたが・・・」
「えっ、それってどういう意味?」
「別に、深い意味はないわ」
そう言って悪戯っぽく笑うと、クレアはオフィスから出て
行った。

******

「はぁ〜疲れたよ、スカリー」
モルダーがげっそりとした表情でオフィスに戻ってきた。
「あら、どうしたの?何だか顔色が悪いわよ」
「カフェテリアでライス捜査官とランチを取って
いたら、次々と捜査官たちがやって来て、僕と君の関係を
聞くんだよ、おかげでランチどころじゃなかったよ」
モルダーはそう言って大きなため息をついた。
「スカリー、君、何かしたんじゃないだろうな?」
私はモルダーの言葉に、今朝カフェテリアで叫んだことを
思い出した。
「・・・べ、別に、何もしてないわよ、それより、あなた
何て答えたのよ」
「えっ、その・・・適当に・・・」
そう言ってモルダーは何かを隠すように笑った。
「モルダー」
私は眉を吊り上げ、モルダーを睨んだ。
「あっ、そうだ、スキナーに呼ばれていたんだ、じゃあ
スカリー、後よろしく」
モルダーは逃げるようにしてオフィスから出て行った。

***駐車場***

仕事を終わらせて駐車場に行くと、ライス捜査官がいた。
「あの、お疲れ様です。スカリー捜査官」
彼女は少しためらいがちに私に話かけてきた。
「・・・お疲れ様、モルダーならもう帰ったわよ」
「もういいんです。モルダー捜査官の事は諦めました」
「・・・えっ!?」
私は彼女の言葉に驚き、思わずじっと彼女を見つめていた。
「わかったんです。モルダー捜査官が誰を好きか、愛して
いるか・・・私の事なんて全く眼中にないことがわかったんです」
「・・・ライス捜査官」
「でも、全然悲しくないです。モルダー捜査官が惚れるのもわかるぐらい素敵な
人だから・・・」
私を見つめながらそう言って、彼女は軽く微笑んだ。
「私、あなたのような捜査官になりたいです。あの、よかったら握手してもらえ
ませんか?」
そう言ってライス捜査官は手を差し出した。
「・・・光栄だわ、あなたにそう言ってもらえて」
私は彼女の手を力強く握った。

***スカリーの部屋***

Trrrr・・・。
部屋に帰ってくると電話が鳴っていた。
「はい、スカリー」
私は急いで受話器を取った。
「やあ、僕だ」
「モルダー、どうしたの?事件?」
「いや、ただ君の声が聞きたくて・・・スカリー、今何してた?」
「今帰ってきたところよ」
「・・・そうか、じゃあもしかして邪魔した?」
「別に・・・邪魔ってわけじゃないけど・・・」
そう言って私は笑った。
「どうしたの?何か可笑しい事言った?」
「いいえ、その、あなたが私に気を使うのって・・・めったにないから」
「それって、僕がかなり君の邪魔をしているのに気づかない無神経男って事?」
「その通りよ、あなた夜中だろうがおかまいなしに
突然訪ねて来るんですもの」
私は悪戯っぽく言った。
「ひどいな、スカリー、これでも気を使って、午前4時過ぎには訪問しないよう
にしているんだけどな・・・」
モルダーは冗談ぽく言った。
「あら、それは知らなかったわ」
私がそう言うと、モルダーの笑い声が受話器越しに聞こえてきた。
私も彼の笑い声につられて笑っていた。
「よかった、元気そうで」
笑い終わるとモルダーはとても優しい声で言った。
「えっ・・・」
「今日の君、元気がなかったから・・・気になってね」
「・・・モルダー、ありがとう」
「そうだ、スカリー、今朝いやな夢を見たって言って
いたけど、どんな夢だったんだい?」
「・・・えっ、いやな夢じゃないわ。素敵な夢だったわ」
「じゃあ何で不機嫌だったんだい?」
「・・・不機嫌って言うより戸惑っていたのよ、自分の
気持ちに・・・」
「ふ〜ん、そうか、それでどんな夢だったんだい?」
「それは秘密よ」
私はそう言いながら笑った。
「そう言われると益々聞きたくなったなあ」
「いつか話してあげるわ、でも、今は秘密よ。あなたこそ
捜査官たちに私とあなたの関係を聞かれて何て言ったの?」
「えっ、・・・それは、その・・・今は言えない」
モルダーはためらいがちに言った。
「今はって事は、いつか話してくれるって事?」
「ああ、そうだ。君が夢の話をしてくれたら話すよ、それじゃあ、スカリー、ま
た明日」
「ええ、明日。おやすみなさい、モルダー」
「おやすみ、スカリー」
そう言ってモルダーは電話を切った。
私は受話器から聞こえる無機質な電子音を聞きながら、
モルダーに対する素直な気持ちを呟いた。
「・・・愛してる」
そう呟くと、私は静かに受話器を置いた。

***翌日***

「ダナ、聞いたわよ」
次の日局に行くと、クレアが私を待っていたかのように、
同じエレベータに乗ってきた。
「えっ、聞いたって何を?」
エレベータの中には私とクレア以外は乗っていなかった。
「モルダー捜査官の告白よ、昨日カフェテリアで凄かった
らしいわよ、もう局中で噂になっているわ」
嬉しそうな笑みを浮かべてクレアが言った。
「えっ、告白って、何の?」
「決まってるじゃない・・・」
クレアが何かを言おうとした時、エレベータの扉が開き、
モルダーが乗ってきた。
「あっ、私、この階に用があったんだ。それじゃあね、ダナ」
そう言ってクレアはエレベータから降りた。
「ちょっと、クレア、まだ聞いてないわよ」
「話の続きは彼に聞いたら?それじゃあ幸運を、二人とも」
クレアがそう言った時、エレベーターの扉は閉まり、私と
モルダーの二人きりになった。
「何の話だい?スカリー」
「あなたの話よ、どうやら局中で噂になっているんですってよ、あなたのカフェ
テリアでの告白が」
モルダーは私の言葉を聞くと苦笑いを浮かべた。
「それであなた何て告白したの?」
「えっ、それは・・・その、ままあいいじゃないか、
何だって、あっ、僕この階に用事があるから」
エレベーターの扉が開くとモルダーは逃げる
ようにしてエレベーターから降りた。
「まあ、いいか」
扉が閉まるとそう呟き、私は笑みを浮かべた。
 
                 

            

                               THE END

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