DISCLAIMER:The characters and situations ofthe television program "The x-files" are
thecreation and property of Chris Carter,FOX Broadcasting and Ten-Thirteen productions
,No copyright infringement is intended.

TITLE:HEART 前編
SPOILOR:FTF
AUTHOR:cat
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 いつからだろうか、彼といると息苦しさを感じる。
いつも鏡の前に立つと、私は自分に言い聞かせる。

『彼は相棒であって恋愛の対象ではない』

***ホテルの一室***

僕は窓の外を見つめた。
なぜか、虚しい・・・情事の後はいつも心の底から
虚しさを感じる。

「ねぇ、フォックス、聞いているの?」
ベットの上の彼女が言った。
「えっ、何だっけ・・・」
僕の言葉を聞くと、彼女は重たいため息をついた。
「あなたっていつもそうなのね・・・」
「何が?」
「私はあなたの恋人じゃなくて、ただのベットの相手だっ
て事よ」
彼女はそう言って、煙草に火をつけた。
僕はただ黙って、彼女を見つめた。
「・・・黙っているって事は、否定しないのね。いいわ、
変に言い訳されるより、楽だわ」
そう言って、彼女はベットの周りに散らばっている服を
着始めた。
「・・・フォックス、別れましょう」
彼女は身なりを整えると、僕にそう言った。
僕は彼女の言葉に顔色一つ変えなかった。
「あなたって、最後まで冷たい男ね」
彼女は悲しそうに僕を見つめ、部屋を出て行った。
僕は再び窓の外を見つめた。

「・・・冷たいか」
そう呟き、僕は窓に写る自分を見つめた。

***XF課***

「おはよう、スカリー」
私が書類に目を通していると、彼はいつもより、10分遅
れて、オフィスに入ってきた。
「おはよう、モルダー、あっ、そういえばあなたの恋人だ
って言う人から電話がかかってきたわよ」
私は何の関心もないように言った。
「えぇ、ああ、彼女はもう僕の恋人じゃないよ」
「・・・また、別れたの?モルダー、今年に入って
何人目?」
本当は別れたと聞いて、嬉しいのに、なぜか私は彼が恋人
と別れたと聞くと、彼を責めるような事を言ってしまう。
「さあ〜、4,5人目ぐらいかな」
モルダーは何でもない事のようにさらりと言った。
そんな彼の態度がムカついた。
「モルダー、いい加減にしなさいよ!次から次へと」
いつもなら、プライベートな事に口出ししない私なのに、
今日はどうかしていた。
「驚いた・・・君がそんな事を言うとは」
彼はいつもとは違う、私の態度にオーバーに驚いてみせた。
「・・・だって、ここ1,2年のあなたを見ていたら」
そう彼が恋愛に関して派手になったのはそれぐらいだった。
「仕方ないだろう、長く続かないんだから。ただの相棒
の君にそこまで言われる筋合はないと思うけど」
苛ついたようにそう言うと、彼はオフィスを出て行った。

***局付近コーヒーショップ***

『・・・ここ1,2年のあなたを見ていたら・・・』

彼女が言った言葉の通りだった。
僕はあの日、彼女を女性として愛しいと思った日から、変
わった。
いつも思う、もしあの時、彼女が蜂に刺されなかったら、
もし、あのままキスしていたら・・・僕たちはどうなって
いただろうか。

「ハ〜イ、フォックス」
僕が考え事をしていると、昨日別れた女が目の前に座った。
「やあ」
僕は何事もなかったように言った。
「それで、僕に話って?」
「彼女に会わせて」
「彼女って?」
「あなたの相棒よ」
「なぜ?」
僕の言葉を聞くと、女は意味ありげに笑った。
「あなが夢中になる程の人を見てみたくってね」
「・・・夢中になるだと?」
「知っているのよ、あなたが私に誰を重ねて抱いて
いたか」
女はそう言って僕を睨んだ。
「悪いけどこれで失礼する」
僕は席を立った。
「あら、そう、なら自分であなたの愛しの相棒を
探すわ、確か名前はスカリーって言うんでしょ?」
女の言葉を聞いて、僕は動揺した。
「どうして、彼女の名前を・・・」
「・・・あなたって寝言言うのよね、いつも」
女は勝ち誇ったように笑った。
「わかった。彼女に会わせよう、但し、余計な事は言わな
いというのが条件だ」
「何、余計な事って、あなたが彼女に惚れているとかかし
ら?」
女は皮肉っぽく言った。
「ああ、言ったら、例え君でもただじゃすまない」
僕はきつく女を睨んだ。
「・・・わ、わかったわよ」
女は僕の態度に少し怯んだようだった。

***カフェテリア***

「やあ、スカリー、一緒していいかい?」
私がいつも行くカフェテリアでランチを取っていると、
モルダーが来た。
「ええ、別に構わないけど・・・」
そう言って、私は彼の隣に立っている、背の高く、スラッ
としたモデルのようなプロポーションの女性を見つめた。
「ああ、彼女は僕の友人のグレースだ」
「はじめまして」
モルダーに紹介されると、グレースは私に好意的な笑みを
浮かべ、手を差し出した。
「はじめまして、ダナ・スカリーよ」
私は彼女の手を取って言った。

******

「へえ〜、FBIも大変なのね」
食後のコーヒーを飲みながら、グレースが私の話に相づち
を打った。
「まあね、ところであなたは何をしているの?まさか
モデルとか?」
「いいえ、とんでもない。私はモデルを作る方をやって
いるの」
「えっ、作る?」
「彼女はスタイリストをやっているんだよ」
私が不思議そうな表情をすると、モルダーが答えた。
「へえ〜、凄いわね、今度、私もメイクしてもらいたいわ」
「本当に?私、あなたを一目見た時から、メイクしてみた
いなあ〜と思っていたの」
グレースは目を輝かせた。
「そうだ。暇な時電話して」
そう言って、グレースは名刺を渡した。
「えっ、本当にメイクしてもらっていいの?」
私は突然の話の流れに驚いた。
「もちろん。あなたを別人にしてみせるわ」
グレースは意味ありげに微笑んだ。

***XF課***

「・・・あなたにもああいう友達がいたとはね〜」
オフィスに戻ると、彼女はそう言った。
「ねえ、スカリー、本当にグレースにメイクしてもらう気
かい?」
「ええ、そうだけど・・・何か問題でも?」
「いや・・・別にないけど」
僕は渋々そう言って仕事にとりかかった。

***モルダーの部屋***

「あら、おかえりなさい」
僕が部屋に戻るとグレースがいた。
「一体どうやって?」
僕の言葉を聞くと、グレースは鍵を僕に見せた。
「君に合鍵をやった覚えはないぞ」
「そう。だから作ったの、あなたが眠っている時に」
僕は彼女の言葉に眉を潜めた。
「安心して、作ってあっただけで、使ったのは今日が
初めてだから」
「・・・何しに来た?」
僕はスーツの背広を脱ぐと、カウチに座った。
「彼女に会わせてもらったお礼にね」
「・・・僕抜きで彼女に会うつもりか?」
「そうよ、いけない?」
「約束が違う」
「あら、あなたとした約束は彼女に余計な事を言わないっ
て事でしょ?あなた抜きで会っちゃいけないなんて聞いて
ないわ」
僕は何も言わず、彼女を睨んだ。
すると、彼女は嬉しそうに笑い出した。
「何が可笑しい?」
「あなたのそんな態度初めて見たわ。そんなに彼女が
大事なんだ・・・」
「ああ、彼女は僕の相棒だからね」
「それだけかしら?」
「・・・何が言いたい?」
「別に・・・それじゃあ、私はそろそろ行くわ」
そう言って彼女は部屋を出て行こうとした。
「待てよ」
「何?」
「鍵は置いていってもらおうか」
そう言って、僕はヵウチから立ち上がり彼女に近づいた。
「いいわよ、あなたがいつものように私を抱いて
くれたら、返すわ」
彼女は僕の首に腕を絡ませ、耳元で囁いた。
「・・・悪いけど、そんな気にはなれない」
僕は無表情で言った。
「あら、そう、それじゃあ暫く、これは預からして
もらうわ」
彼女はそう言って、部屋を出て行った。

***スカリーの部屋***

 「グレースか」
私は昼間会った彼女の事を考えていた。
「・・・彼女の香水、どこかで嗅いだような・・・」
私はなぜか、彼女の香水が気になった。
「・・・疲れているのかしら」
私はそう呟き、鏡の中の自分を見つめた。

『・・・ただの相棒の君にそこまで言われる筋合はなと
思うけど・・・』

突然、彼の言葉を思い出した。
言われた時、胸が痛かった。
そう、彼の言う通り、私と彼を繋いでいるのは、相棒
という関係だけ・・・。
それだけで、充分だったのに・・・。
彼が次々と女性と付き合い出してから、私は変わった。
いや、以前から抱いていた感情が突然大きくなったと
言った方がいいのかも・・・。

『彼は私の相棒で恋愛の対象ではない』

私はいつもの呪文を唱え、自分の気持ちを落ち着かせた。

***グレースの店***

「スカリー、待っていたわ!!」
そう言って、グレースは私を出迎えてくれた。
「素敵なお店ね」
彼女の店には高そうな服がズラリと並んでいた。
「ありがとう。気に入ったのがあったらプレゼント
するわよ」
「えっ、いいの?」
「もちろん。ゆっくり見ていってね」
「ありがとう」
私は彼女の言葉に甘えさせてもらい、店中の商品を食い入
るように見た。
そして、あるドレスの前で、私は立ち止まった。
「お気に召しまして?」
「えっ、ええ、素敵ねぇ〜、このドレス」
「それじゃあ、試着してみる?」
「えっ、いいわ。こんなに大胆なドレス私には着る勇気
がないから」
「あら、そんな事言わないで、きっとあなたにピッタリよ
このドレス。・・・そうだ。こっちに来て、゜このドレス
に合わせて、今日はメイクしてあげるわ」
そう言って、グレースは私の腕をメイク室へと引っ張って
いった。

***バー***

グレースに鍵を返すと言われたので、僕はいつものホテル
のバーで彼女を待っていた。
しかし、待ち合わせの時間になっても彼女は現れなかった

僕が帰ろうとした時、バーにいる男たちの視線がある女性
を見て、動揺しているのに気づいた。
そして、僕も周りの男たちにつられるようにして、その
女性を見た。
腰までの長さの見事な金髪。
サングラスの似合う形のよい鼻。
印象的で誘惑的な唇。
そして胸元を大胆に出した黒いドレス。
女優か何かだと思わせる程、彼女の存在は印象的で、魅力
的だった。
「こんばんわ、モルダー」
そう言って、その女性は僕の隣に座り、声を掛けた。
「こんばんわ、ミス。えーと、どこかで会ったけ?」
「あら、私を覚えていないの?」
彼女はそう言って、悪戯ぽい笑みを浮かべた。
「ああ、君程の美人なら忘れるはずないんだけど・・・君
の今の美しさに動揺して、忘れてしまったみたいだ」
「あら、お世辞が上手なのね」
「お世辞じゃないさ・・・それで君は誰だい?」
「フフフ、秘密よ、あなたが気づくまでね」
女は嬉しそうな笑みを浮かべた。

***2時間前・グレースの店***

「これが・・・私?」
鏡に写る、別人のように着飾った自分に、私は驚いた。
「そう、あなたよ」
グレースは嬉しそうに私を見た。
「絶対、今友達に会ったら、皆、私だとは気づかないわ」
「あら、それじゃあ、試してみる?」
「えっ、試すって?」
「実は今夜、モルダーと会う約束をしているのよね」
「・・・まさか、この姿で彼に会えって言うんじゃないで
しょうね?」
「その通り!きっと彼、あなただって気づかないわよ」
「えっ・・・でも」
私は急に不安になった。
「大丈夫、もし不安だと思うなら、これ付けて」
そう言って、彼女は私にサングラスを渡した。

***バー***

「どうしたんだい?」
「えっ」
私が考え事をしていると、彼が言った。
「別に・・・何でもないわ」
そう言って、私は目の前のカクテルを飲んだ。
「・・・ところで、ここを出ないか?」
「どうして?」
「落ち着かなくって」
「なぜ?」
「君、気づいてないのかい?このバーにいる男どもが
僕を睨んでいる事に」
「えっ」
「君は魅力的すぎるよ」
そう言って、彼は笑った。
「でも、ここを出てどこに行くの?」
「う〜ん、そうだなあ・・・君の行きたい所ってのは
どうだい?」
「あら、本当?」
「ああ、今夜は君にとことんつき合うよ」
「・・・それじゃあ、ここのホテルに部屋を取って
あるって言ったら、あなたどうする?」
「・・・えっ!」
彼は私の言葉に驚いていた。
私も自分の言葉に驚いていた。
まさか、酔っているとはいえ、こんな事を口にするなんて
・・・今夜の私はどうかしていた。
「・・・なんてね、冗談よ。部屋なんて取ってないわ」
私はそう言って、目の前のカクテルを口にした。
「・・・そう、それじゃあ、これから取るってのは
ありかい?」
彼は冗談とも、本気ともとれるように言った。
「そうね、考えてみる価値はあるかもね」
私は動揺を隠すために、軽口をたたいた。

***ホテルの一室***

部屋は最上階にあり、月がよく見えた。
僕は彼女と二人きりでいる戸惑いを隠すため、窓の外を
見つめた。
「ワインが届いたわよ」
そう言って、彼女は僕にグラスを渡し、ワインを注いだ。
「私たちの出会いに」
「君との夜に」
僕たちはグラスをつけた。

「・・・さてと、そろそろ、君の正体を教えてもらおうか?」
ワインを一気に飲み干すと、僕はそう言いい、彼女の
サングラスに触れた。
「・・・まだ、駄目よ」
彼女はじらすように、言って・・・僕から離れた。
「そう言われると、ますます気になる」
僕は彼女の腕を掴み、抱き寄せた。
「・・・だ、駄目よ」
僕は彼女の言葉を無視して、サングラスに触れようとした

と、その時、彼女は僕の首に腕を絡ませ、僕の唇を奪った
。僕は彼女のキスに応えるように、舌を絡ませた。
そして、お互いを奪い合うように、激しく、僕はそのキス
にのめり込んだ。

『・・・ここ1,2年のあなたを見ていたら・・・』

突然、僕の頭の中にスカリーの言葉が横ぎった。

僕はキスをやめて、彼女から離れた。
「どうしたの?」
彼女は驚いたように、僕を見た。
「・・・何でもない、ただちょっと・・・」
「ただちょっと、何?」
「・・・バスルームに行ってくる」
そう言って、僕はバスルームに行った。

******

彼がいなくなって、部屋に私は一人なった。
私は窓の外を見つめ、サングラスを外した。
窓に写る厚化粧の自分が何だか、酷く、惨めに見えた。

「私は、何をしているのだろう」

いくら酒が入っているとはいえ、
いつもと違う格好をしているとはいえ、
相棒と一緒にホテルの同じ部屋にいるなんて・・・どうか
してる。
彼は私だとわかって誘ったんじゃないのに・・・。
彼は私だと思って抱くんじゃないのに・・・。

でも、それでもいいから彼に抱かれてみたいと望む
自分がいる。
彼に相棒として扱われるのではなく、女として扱われて
みたいと思う自分がいる。

「・・・ダナ、あなたはどうしたい?」
私は理性と欲望の間で揺れていた。


***バスルーム***

僕は体中の熱を冷ますように、顔を洗った。
何度も、何度も、顔に水を掛けた。
そして、濡れた自分を見つめた。
酷く、悲しそうな顔をしていた。

「・・・僕は一体どうしたいんだ」

******

私は部屋の照明を落とし、一糸纏わぬ姿になると、
ベットの中で、彼が来るのを待った。

******

バスルームから出てくると、部屋中の照明が落とされて
いた。
「・・・私はここにいるわ」
ベットルームの方から、彼女の声が聞こえてきた。
僕はベットの側に行き、電気スタンドをつけようとした。
「明かりはつけないで」
彼女はそう言って、スタンドをつけようとした僕の手に
触った。
「なぜ?」
「・・・あなたを好きになってしまうから」
彼女は耳元でそう囁くと、僕をベットに引き寄せた。
「抱いて」
僕は彼女の言葉に理性が崩れた。

******

翌朝、目を覚ますと、私は彼の腕の中にいた。
夢にまでみた彼の腕の中での目覚めだったのに、
私は自分の犯してしまった過ちに、胸が苦しくなった。
そして、どうしようもない程の後悔が私を襲った。

******

目覚めると、彼女はいなかった。
そして、彼女の代わりにベットの上に書き置きがあった。

「さよなら」

彼女の残した書き置きにはそれしか書いていなかった。
僕はため息をつき、ベットから立ち上がろうとした。
と、その時、ベットの側に何か光る物が落ちている事に
気がついた。
おもむろに拾ってみると、それは十字架のネックレス
だった。
僕はそのネックレスを暫く、見つめ、それが見覚えの
あるものだという事に気づいた。

「・・・まさか、昨夜の女性は・・・」
僕はそう呟き、ネックレスを強く握った。


To be continued

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