DISCLAIMER:The characters and situations of the television program "The x-files" are
thecreation and property of Chris Carter,FOX Broadcasting and Ten-Thirteen productions
,No copyright infringement is intended.

TITLE:Heart 中編
SPOILOR:FTF
AUTHOR:cat
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なぜ、あんな事をしてしまったのだろう?

自分の部屋に戻るまで、私は心の中で
ずっと、この質問を繰り返していた。
自分が酷く情けなかった。
一時の感情と欲望に身を任せ、
私は、あろうことか相棒と、モルダーと寝てしまった。
しかも、彼は私だと知って抱いたんじゃない。
私以外の他の女性だと思って、私を抱いた。

私は鏡を見つめた。
そして、厚化粧を全てとり、ダナ・スカリーに戻った。
・・・ダナの顔は酷く悲しそうだった。

***モルダーの部屋***

僕は部屋に戻ると、カウチに横になり、彼女が残して
いった十字架を見つめた。

長い金髪。
形の整った顔立ち。
そして、華奢な体型・・・どこかスカリーに似ていた。
しかし、それは絶対にありえない。
彼女の事ばかり考えているから、無意識に昨夜の
女性と、重ねてしまうのかもしれない。
そう、この十字架だって、キリスト教徒なら
誰でも持っているものだし・・・珍しいものじゃないはずだ。
・・・しかし。

昨夜の女性がスカリーである事を否定すれば、する程、
僕の中の疑惑は大きくなった。

***XF課***

私はいつもより一時間程、早くオフィスに来た。
モルダーとの夜を過ごしたのは幸いにも金曜日だったので、
土日は彼に会う事はなかった。
しかし、今日からは彼に会わなければならない。
何もなかったように・・・。
彼は私だということを知らないのだから。
いつも通りにしていなければならない。
私にできるだろうか・・・何もなかったフリなんて。

「スカリー、もう来てたのか」
そう言って、スキナーがオフィスに入ってきた。
「副長官、どうしたんです。こんなに朝早く・・・」
私はモルダーが入って来たんじゃない事に、心のどこかで
安堵を感じた。
「実は事件が起きてね、モルダーにはもう現場に行って
もらったところだ」
「それじゃあ、私も」
「いや、スカリー、君はアカデミーに行って検死を
してきて欲しい」
「・・・わかりました」
そう言うと私はオフィスを出て、アカデミーへと向かった。

***モーテル***

月曜に起きた事件の捜査のため、僕はDCを離れて
いた。
スカリーとは、もう一週間会っていない。
間接的にEメールやFAXなどで彼女に事件捜査のための
検死結果や書類など送ってもらってはいたが、スカリーと
会う事も、電話で彼女の声を聞く事もなかった。
いや、僕が意識的に避けているかも・・・。
いつもなら、強引に彼女を事件捜査に連れ出すのに・・・
連れ出すどころか、電話さえもできずにいた。
僕は一体、何を恐れているのだろうか?
二人の関係が壊れる事?
彼女かもしれない女性を抱いた事?
いや、あの女性は本当に彼女だったのだろうか?
スカリーが身につけていたのと似ている十字架が落ちてい
たからって、彼女だという根拠は何もないのに・・・。
なぜ、僕はこうも動揺しているのだろうか?

僕は十字架を見つめ、自分を笑った。


***スカリーの部屋***

モルダーとは一週間、会っていなかった。
そして、彼からの電話もなかった。
彼から送られてくるのは事件の経過報告だけ、
しかもメールで・・・。
こんな事彼とパートナーを組んでから初めてだった。
何かあったのだろうか?
電話ができないような状態にいるのだろうか?
まさか、彼の身に何か・・・。
私は突然、胸騒ぎを感じた。
そして、彼の無事を確かめるべく、彼の携帯の番号を
ダイヤルした。

Trrrr・・・。Trrrr・・・。
呼出音が受話器から聞こえた。
お願い、無事なら出て!
私は祈るような気持ちで彼が携帯に出るのを待った。


***モーテル***

PPP・・・。PPPP。

ベットに横になっていると、携帯が鳴っていた。
僕はおもむろに、机の上に置いたままの携帯を手にした。
電話のディスプレイには”スカリー”の文字が・・・。
僕は出るべきか迷い、呼出音が鳴り響く携帯を
見つめた。
そして、20回目の呼出音の後、僕は思いきったように
電話に出た。


***スカリーの部屋***

「はい、モルダー」

20回目のコール音の後、ようやく、聞き慣れたパートナ
ーの声が受話器越しに聞こえた。
一週間ぶりに聞く、彼の声。
『・・・愛してる』
ふいに、一週間前彼が私を抱きながら、囁いた言葉を思い
出した。
例え一夜だけの付き合いでも、私を抱く彼は優しかった。
そして私を本当に愛してくれた。たった一晩でも・・・。
でも、それは私だと思って優しくしてくれたんじゃない。
私だと思って愛してくれたんじゃない。
私以外の女性だと思って彼は・・・。
そう思うと自分に対する醜い嫉妬心が私の心を占めた。
自分に嫉妬するなんて・・・改めて自分がどれだけ強く
彼に惚れているか気づかされる。

「もしもし・・・もしもし?」
何も言わない私に苛立ったように、彼が言った。
私は何も言わずに、とっさに電話を切った。

***モーテル***

携帯からは無機質な電子音が流れていた。
彼女が電話を切ったらしい。
すれ違いだったのか、故意に電話を切ったのか、
僕にはわからなかった。
なぜか、急に胸の中が締め付けられた。
それは彼女に会えない寂しさなのかどうか、彼女に対する
いろんな感情が混ざり、僕には自分の心がわからなかった。

***XF課***

今日も彼はオフィスには現れなかった。
昨日メールで貰った報告書には明日DCに戻ると言って
いた。
そう、明日になれば、きっと彼はオフィスに戻って
くる。
その時、私はどんな顔で出迎えればいい?

私は主のいない相棒の席に座って、天井を見つめ、
ため息を一つついた。

***モルダーの部屋***

彼の魚たちにエサをやるべく、彼のアパートを訪れた。
すると、部屋の明かりがついていた。
彼が戻って来たのかと、私の胸は高鳴った。
このまま部屋に寄らず、帰るべきかどうか、ドアの前で
考えていると、扉が開いた。

「フォックス、戻ってきたの!」
そう言って、ドアを開けたのはグレースだった。
「・・・あら、ダナ・・・」
グレースは私を気まずそうに見つめた。

******

「それで、どうしてあなたがここにいるのかしら?」
私は魚にエサをやり終えると、カウチに座っている
グレースに言った。
「彼を待っていたのよ、今日帰ってくるって、この前、
電話で言っていたから」
「今日?彼が戻ってくるのは明日だと聞いているけど」
「あら、一日間違えたみたいね、それじゃあ、私
失礼するわ」
そう言うと、グレースはカウチから立ち上がった。
そして、彼女は私の前を通って、ドアへと向かった。
その時、微かに覚えのある香水の香りがした。
「待って」
私はその香りにハッとし、グレースを呼び止めた。
「何かしら?」
グレースは立ち止まって、ゆっくりと私の方を見た。
「あなたね、モルダーが最近までつき合っていた恋人は」
そう、彼女の香水はモルダーの背広から臭っていたものだ
った。彼が恋人と過ごした残り香。
私はその香りにいつも、心の底で嫉妬心を燃やしていた。
「なぜ、そう思うのかしら?」
「あなたの香水よ、ここ2,3ヶ月、モルダーから
微かにあなたの香水の残り香がしていたから」
グレースは私の言葉を聞くと、なぜか嬉しそうに笑みを
浮かべた。
「ダナ、やっと気づいてくれたのね、私の存在を」
「どういう意味?」
「つまり、あなたの言う通り、私とフォックスは恋人
だったという事よ。私ね、わざと、フォックスに私の
香水をつけていたのよ、なぜかわかる?」
「・・・いいえ」
「彼を独占するためよ。彼に私の香りを残しておけば、
あなたも含めて他の女が近寄らないでしょ?」
グレースは得意気な笑みを浮かべた。
「でも、もうそれも無駄だったみたいだけどね。
結局、彼は私から離れていったわ。だから、私、彼に
復讐することにしたの」
そう言って、意味ありげに、グレースはスカリーを見た。
「あなたには随分と協力してもらったわ、ありがとう、
ダナ。彼だいぶ動揺していたみたいよ」
「・・・協力って・・・まさか」
私はグレースの手に寄ってドレスアップし、モルダーに
正体を言わないままに彼に抱かれた事を思い出した。
「彼ね、この間電話した時、あなたの正体を知りたがって
いたわ」
「まさか、彼に言ったの!」
「いいえ、まだ言ってないわ。そう簡単にばらしちゃつま
らないでしょ?」
「・・・一体、どういうつもりなの?私を変装させて彼に
会わせるなんて・・・」
「別に・・・そこまではあなたに話せないわ、
フォックスに口止めされているから、それじゃあねダナ」
グレースはそう言って、モルダーの部屋を出ていった。

***XF課***

10日ぶりに、僕はDCに戻り、オフィスに行った。
ドアノブを掴んだ時、僕はオフィスに入るべきか、ためら
った。

このドアの向こうにはスカリーがいる。
そして、僕は彼女に聞かなければならない。
あの夜の事を・・・。
そう思うだけで、僕の胸はこれから知る真実に恐れと、
緊張で潰されそうだった。
僕は目を閉じ、大きく息をつくと、覚悟を決めた。

「ただいま」
そう言ってオフィスのドアを開けると、いるはずの
相棒の姿がなかった。
一気に張り詰めていた気持ちは解放され、僕は安堵の
ため息をついた。
そして、自分の席に座り、スキナーに提出する
報告書をまとめだした。

******

ラボからオフィスに戻ると、モルダーの鞄が私の視界に入
ってきた。
私は彼が戻ってきている事を知り、動揺した。
思い切って、オフィスに入り、部屋の奥まで見たが、
彼の鞄があるだけで、彼の姿はどこにも見あたらなかった。
ひとまず、私は彼の席に座り、安堵のため息をついた。
すると、机の上に十字架のネックレスが置いてあった。
それは私がどこかでなくしたものと似ていた。
「なぜ、これが彼の机の上に・・・まさか!」
私は十字架を見つめ、なくした場所にハッとした。
「・・・それは君のだろ?」
動揺している私に、突然モルダーの声が聞こえてきた。
「・・・モルダー。一体何の事?」
私は彼に背を向け、席を立った。
「その十字架の事だよ、スカリー。僕は10日前の夜、
とても魅力的な女性と夜を過ごした。そしてその女性は
その十字架を落として、僕の前から消えたんだ」
モルダーはそう言うと、私に近づいた。
「・・・それが、私とどういう関係があるのかしら?」
私は必死で動揺を隠し、平静さを装った。
「君なんだろ、あの女性の正体は。スカリー」
「・・・違う、違うわ」
私は彼に背を向けたままそう言った。
「違うというなら僕の方を向いたらどうだ!」
モルダーは私の腕を掴み、彼の方に私を向かさせた。
10日ぶりの、彼との対面・・・。
彼の顔を見た瞬間、私の胸は止まりそうだった。
「・・・違うわ!私は十字架のネックレスなどなくして
いない」
私は手を強く握り、全身の力を拳に集めた。
「・・・嘘だ」
モルダーは私の瞳を真っ直ぐに見つめて言った。
「嘘じゃないわ!」
私も彼の瞳を見つめた、強く。
「どうして嘘をつく!僕と寝たからなのか!!
僕たちの関係を壊したくないからか!!!」
モルダーは私に叫んだ。
彼の言った事は図星だった。
「私は・・・嘘なんてついてないわ!!仮にそれが事実だ
として、なぜ私が嘘をつく必要があるの!!私は
あなたに対してパートナー以上の感情なんて、持って
なんかいない。あなたは私にとって、ただのパートナーな
のよ!!なぜ、あなたにそこまで言われなければならない
のよ!!!」
私は自分の心を隠すため、嘘に嘘を重ねた。
私の言葉を聞いた時、モルダーは悲しそうに私を見つめた。
「そうか、わかったよ、さよなら、パートナー君」
モルダーはそう言って、オフィスを出て行った。 



To be continued.

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