DISCLAIMER:The characters and situations of the television program "The x-files" are
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,No copyright infringement is intended.

TITLE:ルナシリーズFile No.001「揺れる想い」
SPOILOR:none
AUTHOR:cat



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 自分は一体誰なのかと・・・最近考える事がある。
私には彼に真実を告げる勇気がなかった。
そして、私は自分の弱さから、もう一人の私を作り出して
しまった・・・。

「ルナ、どうした?元気がないみたいだけど・・・」
「えっ!」
彼との待ち合わせをするいつものホテルのバーで、ぼんや
りと考え事をしていると、彼の声がした。
「・・・何でもないわ、モルダー」
笑顔を無理矢理作り、私は目の前のスパークリングワイン
を飲んだ。
「さて、お姫様、今夜はどこに行きたい?」
彼はいつものおどけた調子で、私を見つめた。
「・・・そうね、今夜はのんびり散歩でもしたいわ」
「承知しました、お姫様」
彼はそう言って、私の前に手を差し出した。
私は彼の手をそっと取り、椅子から立ち上がった。

こんな調子で、私たちは事件のない週末は
よく会うようになっていた。
もちろん、彼は私の正体には気づいていなかった。
ルナという、もう一人の私は自由気ままになれた。
彼のパートナーという肩書きから抜け出せた解放感が、
私を一人の女として生きさせた。
そして、私をパートナーとしてではなく、一人の女性とし
て扱ってくれる彼の態度に、私は心地よい快楽を感じる事
ができた。
そして、それが、私をルナというもう一人の自分にさせた。

***XF課***

「おはよう!スカリー」
最近の彼は酷く機嫌がいい。前の彼は何かに疲れたという
感じだった。それに、何かに思いつめたように、私を見つ
める事もなくなった。
「おはよう、モルダー」
それに引き替え、私はルナとして彼と過ごした週末が
楽しければ、楽しい程、スカリーとして、彼に会うのが
辛くなった。
「スカリー、何か、今日は顔色が悪いけど、大丈夫かい?」
彼は私を心配そうな表情で見つめた。
「いえ・・・その、大丈夫よ」
何が大丈夫なのだろうか?口から出たうわべだけの言葉に
私は自問した。
「そうか。無理するなよ。僕は今日から凶悪犯罪課に行く
から・・・」
「あぁ、例の連続殺人事件ね」
「そうなんだ。まだ犯人のプロファイルさえうまくいかな
いらしい・・・」
「そう。それじゃあ、いってらっしゃい」
「あぁ、いってくるよ。何かあったらすぐに携帯にかけて
くれ」
彼はそう言うと、ファイルを抱えて、オフィスを出て
いった。

私は彼がいなくなると、いつも通りの雑務を始めた。


***モルダーの部屋***

くたくたに疲れて、深夜、やっと、部屋に戻ると、
僕の部屋に明かりがついていた。
僕は腰の銃に手を伸ばし、警戒するように、ドアを開けた。
そして、部屋の奥へそっと行くと、カウチにもたれて、
心地よさそうに寝息をたてている、グレースの姿が目に入
ってきた。
僕は緊張感から一気に解放されると、彼女の目の前のカウ
チに座り、ため息をついた。

「・・・う〜ん、フォックス?」
グレースは眠たそうに、ブルーの瞳を開けた。
「今日は一体何だい?」
僕は少し不機嫌そうに言った。
「・・・フォックス、お水ちょうだい」
カウチから起き上がると、グレースは頭を抱えながら、言
った。
僕は二つ目のため息をつくと、水を取りに、冷蔵庫へと向い、
コップにミネラルウォーターを注いだ。
「・・・ありがとう」
僕が無言でコップを差し出すと、グレースはそう言い、一
気に水を飲み干した。
「・・・それで?」
彼女が落ち着くと、僕は切り出した。
「えっ、何が・・・?」
「今夜、君が僕の家にいる理由だよ」
「あぁ・・・その、昨日、夢で見たの」
「何を?」
「・・・あなたが銃で撃たれる所・・・それで、妙に
気になっちゃって・・・」
「それで、僕が生きているかどうか確かめに来たというわ
けか・・・」
「まあ、そんなところね」
「だったら、電話してくれればいいのに」
「駄目よ!!あなたの無事な姿を見ないと・・・」
いつもどこまで冗談か、本気かわからないポーカーフェイ
スの彼女が珍しく、僕を不安気に見つめた。
「・・・グレース・・・ありがとう。僕はこの通り、大丈
夫だよ」
僕は彼女に優しく微笑んだ。
「ええ、そうみたいね・・・それじゃあ、私、帰るわ」
グレースは不安気な表情から、いつもの表情に戻り、カウ
チから立ち上がった。
「待って、送っていくよ。こんな時間に女性の一人歩きは
危ないから・・・」
「いいのよ。気にしないで、あなただって、帰ってきたば
かりで、疲れているでしょ?」
「そうはいかない。これ以上犯罪が起きたら、僕の仕事が
増えるしね。いいと言われても、送らせてもらうよ」
僕は冗談に聞こえるように言った。
「・・・そうね。わかったわ。それじゃあ部屋まで送って
もらうわ」

***車の中***

「ねえ、そういえば、例の返事はどうなっているの?」
助手席のグレースが思い出したように、呟いた。
「えっ」
僕はその問いかけにドキッとした。
「・・・その表情はあまりいい返事じゃなさそうね。いい
わ、もう少し待つから、今は答えなくていい」
彼女はそう呟き、窓の外を見つめた。
「・・・でも、僕は」
「やめて!!今は答えないで!!」
僕が彼女に返事をしようとすると、グレースは懇願するよ
うな眼差しで僕を見つめた。
僕は彼女の表情に、何も言えなかった。


「・・・着いたよ」
グレースのアパートの前に車を止めると、僕は、そう呟い
た。
「ありがとう、送ってくれて」
グレースはそう言って、車から降りた。
「それじゃあ、おやすみ」
彼女が車のドアを閉めようとした時、僕は彼女にそう言っ
た。
その瞬間、彼女と瞳が重なった。
「・・・フォックス」
グレースは切なそうに僕を見つめ、運転席の僕に、キスを
した。
いつもの彼女とは違う、触れるだけの切ないキス。
僕はそのキスにのめり込みそうになる自分を抑えた。

「・・・おやすみなさい」
唇を離すと、彼女はそう言い、再び車から降りた。


***スカリーの部屋***

Trrrr・・・。

私がベットに横になっていると、電話が鳴っていた。
「・・・はい」
私はベットの近くに置いてあるコードレスを取った。
「・・・私よ、ダナ」
電話の声はグレースだった。
「グレース・・・どうしたの、こんな時間に・・・」
「あなたの気持ちが聞きたくて・・・」
グレースの声は真剣なものだった。
「気持ち?」
「そう、気持ちよ。ダナ、フォックスの事どう思って
いるの」
「どうって・・・彼は信頼できる私のパートナーだわ」
「そんなたてまえが聞きたいんじゃない!あなたの本音が
聞きたいのよ!」
グレースは声を荒げて言った。
「それは・・・どうして、あなたにそんな事言わなければ
ならないの!」
私は開き直ったように、強く言った。
「・・・好きだからよ!本気でフォックスを愛しているか
ら・・・」
グレースの声からは、痛いぐらい真っ直ぐな彼女の想いが
伝わってきた。
私は突然の彼女の告白に頭の中が真っ白になった。
「・・・愛してるのよ、彼を・・・」
グレースの声は微かに涙で震えていた。
「・・・私、フォックスにプロポーズしたの」
「えっ!?」
彼女の言葉はさらに私の心を貫いた。
「・・・どうして、私にそんな事言うの・・・」
私は泣きそうだった。
「・・・あなたが好きだから・・・あなたに嘘をつきたく
ないから・・・だから、私の本音を言ったのよ」
「・・・グレース・・・」
「ごめんなさい。こんな時間に変な電話して・・・私、今、
混乱してて・・・今、言った事は忘れて・・・」
グレースは我に返ったように、そう言うと、電話を切った。

***XF課***

グレースから電話を受けたこの一週間、私は全く仕事が手
につかなかった。
私は彼の席に座り、彼がいつもしているように、机の上に
足を掛け、彼のいないオフィスを見つめた。

「中々いい眺めだ」
オフィスに入ると彼はそう言って、私を見つめた。
私はすぐに足を下ろした。
「何、モルダー、凶悪犯罪課はどうしたの?」
「ああ、プロファイルだけして、他の捜査官に引き継いだ
よ。僕はXF専門だからね」
そう言って、彼は私にウィンクをした。
「さてと、僕の場所を明け渡してもらおうか」
彼はいつもの調子で言い、軽く笑った。
私はやれやれという感じで椅子から立ち上がった。
その瞬間、何かにつまづき、私は倒れそうになった。
「スカリー!!」
彼は倒れそうな私をとっさに支えた。
私は彼の胸の中に抱きつくように倒れた。
彼の微かなコロンの香りと、胸の広さに、私は呼吸が止ま
りそうになった。
「大丈夫かい?」
彼は私を見つめた。
「・・・大丈夫よ」
私は動揺を隠すように、できるだけ素っ気なく言い、彼か
ら離れようとした。
その時、彼の腕が私を抱き締めた。
「モルダー?」
私は怪訝そうに彼を見た。
「・・・この一週間、君に会えなくて、寂しかったよ、だ
から、もう少し・・・君を感じさせてくれ」
彼は熱っぽい声で私の耳元でそう囁いた。
彼の甘い囁きと、私を抱き締める力強い腕の力に、私は自
分の体温が一気に上昇するのを感じた。
「・・・モルダー、ふざけないで」
私はそう言って、彼から離れようとした。
「ふざけてなんかないよ・・・本当に、君が恋しかったん
だ」
そう言うと、彼は私を再び見つめ、私の顔を包み込むよう
に頬に両手で触れた。
「やめて!」
私は自分を抑えるため、彼の手を払った。
「・・・相変わらずだな。君のそういうところ」
彼は私の態度に苦笑を浮かべた。
「えっ」
私が彼を見つめた時、彼はとても優しい瞳で私を見ていた。
「・・・さてと、それじゃあ、溜まっている報告書に手を
つけますか」
彼は私から視線を逸らすと、自分の席に座り、ファイルを
取り出した。


***バー***

待ち合わせのバーに行くと、珍しく彼が先に来ていた。
彼に声掛けようと、近づいた時、彼が思いつめた表情を
している事に気づいた。
その表情は切なさが溢れ、昼間オフィスで会った彼とは別
人のように見えた。

「・・・やあ、ルナ」
私が声を掛けそびれていると、彼は私を見つけ、嬉しそう
に微笑んだ。
その表情にさっきの不安定さは消え、いつもの彼だった。
私は彼の隣に座り、カクテルを頼んだ。

「・・・どうしたの?さっきのあなた・・・落ち込んで
いるみたいだった・・・何か悩み事でも?」
カクテルが目の前に置かれると、私は自然にその話題を
口にした。
「・・・さっきの、僕?」
「私を待って、じっと、お酒を見つめていたあなたよ」
「・・・別に、何もないさ。それより、今夜はどこに行き
たい?」
彼は何かを誤魔化すように笑った。
「今夜はここで、あなたとお酒を飲んでいたいわ」
「・・・酒か・・・わかった。今夜はとことん飲もう」


***公園***

お酒を充分に楽しんだ後、私たちはいつもの公園を
歩いていた。
気づくと私の横に彼がいないので、私は後ろを向き、彼を
探した。

「モルダー、どこ?」
後ろを向いても彼の姿は見当たらなかった。
「モルダー!モルダー!!」
彼の名を呼んでも返事はなかった。
私は少し不安になり、来た道を戻りながら、彼の名を
呼んだ。
すると、突然、木の影から人が現れ、後ろからたくましい
腕が私を抱き締めた。
「きゃぁ!」
突然の事に私は驚き、声を出した。
「・・・ここさ」
モルダーは私をからかうように耳元で言った。
「少しは驚いてくれたかい?」
彼は楽しそうに言った。
「・・・モルダー・・・」
私はため息をついた。
彼は私の表情を覗き込み、笑った。
「・・・やっぱり、似ているな、君は・・・」
笑いがおさまると、彼は私から離れ、呟いた。
「えっ、何が?」
私は彼に何の事を言われているのかわからなかった。
「・・・僕の片思いの相手に君は似てる」
彼は私をじっと見つめた。
「だから、時々友達としての・・・歯止めがきかなくなる」
彼は切なさ一杯に私を見つめた。
「・・・歯止めって・・・?」
私が呟くと、彼は私の唇を奪った。
「うんっ!」
私は彼の情熱的なキスに声を出した。
「・・・こういう事さ、ルナ」
唇を話すと、彼は熱っぽい瞳で私を見つめ、言った。
「モルダー・・・」
「・・・すまない」
一言そう呟くと、彼は歩き出した。
私は彼の背中をじっと見つめ、彼への想いに一粒の涙を
流した。




THE END

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