DISCLAIMER:The characters and situations of the television program "The x-files" are
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TITLE:ルナシリーズFile No.002「捨て身の告白」
SPOILOR:none
AUTHOR:cat
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 彼の気持ちは私にない事はわかっている。
それでも、止める事のできないこの想い。
伝えずにはいられなかった・・・。
捨て身のプロポーズ。
彼に私の心はきっと届かない・・・。
それでも、私は・・・。
ダナが憎い。
彼女の事が好きだから、尚更憎い・・・。



***XF課***


「・・・スカリー、スカリー!」
「えっ」
私は自分の名を呼ばれていた事に気づき、手にしていた書類から顔を上げた。
「あっ、副長官・・・何か?」
「モルダーはどこかね」
「あぁ、彼なら、今日は体調が悪いからって・・・」
「休みか・・・珍しい。また変な事件に首を突っ込んでいるんじゃないだろうね?」
スキナーは私に釘をさすように睨んだ。
「いいえ。そんな事は決してありませんから」
「そうか。ならいいんだが」
そう言うと、スキナーはオフィスを後にした。
私はため息をつくと、相棒の席を睨んだ。
「本当に、ただ体調が悪いって理由だけで休んだのかしら?
変な事に巻き込まれていなければいいけど・・・」
そう呟くと、私は再び書類を見つめた。


***車の中***


「あっ、フォックス、海が見えたわよ」
運転席のグレースが嬉しそうに言った。
「・・・グレース、ちょっとそこまでつき合ってて言って
から、もう6時間程、車に乗っている気がするんだが」
そう、今朝、僕が局に行こうと支度していたら、グレース
がいつになく真剣な表情で来たのである。
そして話があるから、ちょっとつき合って欲しいと彼女の
車に乗せられてから、かれこれ6時間が経過していた。
当然、中々局に現れない僕を心配して、スカリーから電話
があった。グレースと一緒にいる事を知られたくなかった
僕は、体調が悪いから休むなどと言ってしまった。
しかし、今思えば、この理由は失敗だったと思う。
スカリーは時に僕に対して物凄く親切になる事がある。
まして、彼女は医者であり僕の主治医だ。
医者として患者の一人が、体調が悪いなんて言っていたら、
ほっとけないだろう。
おそらく彼女は局が終わると僕の様子を見がてら、往診に
来るだろう。
となると、僕の嘘がバレる前に僕はDCに戻らなければ
ならないのであり・・・。
来た道を考えると、そろそろ引き替えさなければ、僕の
嘘は完全にバレてしまうのである。
「グレース、そろそろ引き返さないと・・・」
「いやよ」
「なっ!今なんて・・・」
「引き返さないって言ったの」
「グレース!一体、どういうつもりなんだ!」
僕はグレースの言葉に腹が立った。
「別に、あなたと楽しくドライブがしたいだけよ」
そう言って、グレースはいつもの挑発的な笑みを浮かべた。
「冗談もいい加減にしろよ!」
僕は声を荒げた。
すると、グレースは余裕たっぷりに静かに笑った。
「フォックス、この車、今、何キロ出てるか知ってる?」
「えっ、何?」
グレースに言われてスピードメーターを見ると、160キ
ロを指していた。
「フォックス、私と心中したい?」
そう言うと、グレースは突然、車を中央線に向かって走ら
せた。
すると、前から、対向車が・・・。


***モルダーの部屋***


私はいつもより、早めに仕事を切り上げモルダーのアパー
トに行った。
しかし、何度ドアをノックしても、扉は開かなかった。
不審に思い、合鍵でドアを開けると、モルダーの姿はなか
った。


『・・・また、変な事件に首を突っ込んでるんじゃないだ
ろうね』
ふいに、昼間オフィスでのスキナーの言葉が頭に浮かんだ。


「・・・モルダー、まさか・・・」


***車の中***


僕は対向車を避けるため、ハンドルを切り、サイドブレー
キーをひいた。
間一発の所で対向車とすれ違い、車は大きくスリップして
から、回転し、止まった。
幸いな事に他に車が通っていなく、僕たちの乗った車は無
傷だった。


「・・・止まったか・・・」
僕はそう呟き、運転席のグレースを見た。
彼女は今のショックで気絶していた。
僕は車から降り、気を失ったままのグレースを助手席に移
すと、運転席に乗り込み、DCに向けて車を発進させた。


***モルダーの部屋***

PPP・・・。PPP・・。
彼からの連絡を待っていると、携帯が鳴った。

「はい、スカリー」
「スカリー、僕だ」
いつもの彼のセリフを聞いて、私はホッとした。
「モルダー、一体どこにいるの?」
「えっ、どこにいるって・・・まさか、スカリー、もう、
僕のアパートに行ったのかい?」
「ええ、今あなたのアパートにいるわ。という訳だからズ
ル休みはバレてるわよ。モルダー、私に黙って、また変な
事件に関わってるんじゃないでしょうね」
「えっ!いや〜、そんな事はないよ・・・その・・・、ち
ょっと訳があって・・・後2,3時間したら、DCに戻る
から」
モルダーは微かに上ずった声でそう言うと、一方的に電話
を切った。
「ちょっと、モル・・・」
すでに携帯からはツーツーという電子音が流れていた。



***車の中***

「・・・う〜ん」
助手席のグレースが声を出した。
「気がついたかい?」
グレースは僕の言葉に大きな瞳を開けた。
「フォックス・・・ここは?」
「DCに向かって走ってるところさ」
「・・・そう」
力なく呟くとグレースは窓の外を見つめた。
「・・・聞かないの?」
暫くの沈黙の後、グレースが言った。
「何を?」
「私が何であんな事をしたか・・・」
「そうだな。危うく死にそうになったしな・・・でも、言
わなくていい。わかってるから・・・」
「わかってるですって!!」
グレースは眉を潜めた。
「ああ。あの時、君が本気で死のうとしていたのはわかっ
ていた。あの時の君の表情がそう言っていたから・・・だ
から、無理にどうしてそうしたのかなんて聞かない」
「・・・フォックス、あなたって、やっぱり、残酷よ」
「えっ」
「愛しているわ、フォックス」
静かにそう言うと、グレースは走っている車のドアを開け
た。
「グレース!何をする気だ!!」
「・・・バーイ、フォックス」
天使のような穏やかな笑顔を浮かべたまま、グレースは車
から飛び降りた。
僕は慌てて車を急停車させた。
「グレース!!!」


***病院***

「モルダー」
私は手術室の前にいる彼に声かけた。
「あっ、スカリー、来てくれてありがとう」
彼の表情は酷く疲れきっていた。
「グレースの容態は?」
「出血が酷く、頭を強く打っているらしい・・・」
「・・・そう。それで、一体、何があったの?」
「僕が悪いんだ。全て・・・僕が・・・」
モルダーは自分を責めるように、そう言うと頭を抱えた。
「・・・モルダー」
私はたまらなく不安定な彼を抱き締めた。


***一週間後・病室***

グレースは幸いにも一命をとりとめた。

「ハーイ、グレース、調子はどう?」
「ああ、ダナ、来てくれたのね。ありがとう。もう、何と
か元気よ」
グレースは嬉しそうに微笑んだ。
「モルダーは毎日来てるの?」
ふと、病室に飾ってあるひまわりの花が私の目に入った。
「ええ。忙しいのに、毎日来てくれるわ」
「・・・そう」
モルダーが最近急いで帰る理由がわかると、私は何だか寂
しくなった。
「ねぇ、ダナ。あなたにお願いがあるの」
グレースは真剣な表情で私を見つめた。
「何?お願いって・・・」
「・・・フォックスを私にちょうだい」
「えっ・・・」
思いがけないグレースの言葉に、私は戸惑った。
「だめなの。彼がいないと・・・私、どうしても、彼の事
が諦められないのよ!」
グレースは今にも泣き出しそうな表情で私を見つめた。
「・・・グレース、ちょうだいって。私とモルダーは仕事
上のパートナーっていう関係よ。だから、私にきがねする
事ないわ」
気づくと、心の中とは正反対の事を言っていた。
「ダナ・・・。本当にいいの?フォックスの事が好きなん
じゃ・・・」
「いいえ、モルダーに対して恋愛感情は一切ないから、安
心して」
嘘つき!もう一人の私が言った。
「それじゃあ、私はそろそろ行くわね。お大事に」
私は逃げるようにグレースの病室を出て行こうとした。
と、その時、病室のドアが開いた。
「あっ!フォックス!今日も来てくれてたのね」
グレースは嬉しそうな声を上げた。
「やあ、スカリー、君も来てたのか・・・」
そう言った、彼はなんだかよそよそしかった。
「ええ、今、帰る所よ」
まさか、『恋愛感情なんて一切ない』なんて言う言葉を
聞かれたんじゃ・・・私は妙に後ろめたい気持ちになった。
「・・・そうか」
一言そう言うと、モルダーはグレースの側に行った。
私は病室を後にした。



***バー***

何だか、今夜は無性に酒が飲みたかった。
私はルナの姿でいつものバーに来ていた。
「今日もお綺麗ですね〜」
もうすっかり、顔なじみになったマスターが話しかけてき
た。
「・・・ありがとう」
私は色っぽく微笑んでみた。
「やあ〜、相手の方が羨ましい・・・そういえば、相手の
男性、ええ〜とモルダーさんでしたっけ、今夜は遅いです
ね〜」
「えっ、あぁ、彼なら今夜は来ないわ。誘ってないから・
・・」
「それじゃあ、今夜はお一人で?」
「ええ、今夜は一人で飲みたい気分だから」
私はそう言い、目の前のグラスを空けた。
「マスター、おかわり」
「大丈夫ですか、もう随分お飲みになっているみたいで・
・・」
「大丈夫よ、お願いマスター、お酒ちょうだい」
私はとびきりの笑顔を見せた。
「・・・わかりました。これで最後ですよ」
そう言って、マスターは新しいグラスを私の前に置いた。


******


「・・・ルナ、ルナ」
マスターに連絡をもらっていつものバーに行くと、ルナが
酔い潰れていた。
「ああ、モルダーさん、すみませんね〜。止めたんですけ
ど・・・つい、笑顔に負けて、飲ませちゃったんですよ」
マスターは申し訳なさそうに言った。
「いいえ、連絡を頂けただけでも・・・どうも、お手数か
けまして」
僕はそう言い、彼女の飲み代をマスターの前に置くと、彼
女をおぶってバーを出た。


***モルダーの部屋***


ルナを寝室のベットに寝かせると、僕はベットの上に座り、
気持ちよさそうに眠っている彼女を見つめた。
そして、ふと、彼女の素顔が見てみたいと思い、僕は眠っ
ている彼女のサングラスに手を延ばした。


「・・・私の素顔が見たい?」
僕の手がサングラスに触れようとした時、彼女が言った。
「起きてたのか・・・」
「今、目が覚めたのよ。ねえ、モルダー、私の素顔が気に
なる?」
僕は彼女の問いかけに、ドキッとした。
「・・・気にならないというと嘘になるけど・・・」
「くすっ。まだ私とあなたの相棒が同一人物だと思ってる
わけ?」
彼女は悪戯っぽい笑みを浮かべた。
「・・・君とスカリーが別人だという事は理屈ではわかっ
ているんだ・・・でも」
「でも、何?」
「・・・感じるんだ。君に。スカリーと同じ何かを君に感
じるんだ」
「・・・だったら、私の素顔を見てみる?」
「いいのかい?」
「今夜だけはね」
ルナはそう言って、僕の首に腕を絡ませた。
そして、僕たちは自然に唇を重ね合った。
それは、相手の全てを求めるような、情熱的で、深いキス
だった。
「・・・フォックス、抱いて」
唇を離すと、僕の耳元でルナが囁いた。
僕は彼女の言葉に我を忘れそうになったが、何とか理性の
鎖を繋ぎ止めた。
「ルナ。君を抱けば僕たちの関係が辛くなるだけだ」
「なぜ?」
「・・・僕は今、ある女性からプロポーズを受けている」
「それって、グレースの事ね?」
「・・・ああ」
そう呟くと、僕はベットから立ち上がり、窓の外を見つめ
た。
「・・・まさか、グレースのプロポーズを受けるの?」
彼女は微かに声を震わせた。
「・・・受けようと思う。彼女がどれだけ僕の事を想って
くれていたか、わかったんだ。だから・・・」
僕は窓の外を見つめながら言った。
「あなたの心は?好きな人がいたんじゃないの?」
彼女の言葉は僕の心を刺した。
「・・・もういいんだ。彼女の事はもう・・・いいんだ」
自分に納得させるように、僕はそう、心の中で何度も呟い
た。
「モルダー・・・後悔はないのね?」
「あぁ」
「そう。わかったわ」
静かにそう言うと、彼女は部屋から出て言った。
僕は窓の外に浮かぶ、こはく色の月をただじっと、見つめていた。



THE END

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