DISCLAIMER:The characters and situations of the television program "The x-files" are
thecreation and property of Chris Carter,FOX Broadcasting and Ten-Thirteen productions
,No copyright infringement is intended.

TITLE: 始まりと終わりの果てに 序章
SPOILOR:requiem
AUTHOR:cat


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「もう十分だよ。スカリー」


震える私を抱き締めながら、彼は言った。
幾度も、幾度も、耳元で・・・。
私は何も言えず、ただ涙を流し、彼の腕の中で7年という
月日に思いを巡らせた。


******


震える彼女を抱き締めながら、僕が奪ってしまったものの
重さを考えた。
本当はもっと早くに、彼女に言うべきだったのかもしれない。
彼女の人生を奪う前に・・・。
もっと早く彼女に手をひかせるべきだったのかもしれない・・・。
でも、できなかった。
離れられなかった。


******


「・・・おはよう、モルダー」
優しい声がした。
瞳を開けると、目の前に彼女がいた。
「・・・やあ、おはよう」
自分が一晩中彼女を抱き締めたまま、眠っていた事に気づいた。
「もう、大丈夫かい?」
ベットから起き上がり、彼女を見つめながら言った。
「えぇ、何とか、寒さはおさまったわ」
笑顔を浮かべ、ベットに横になったままの彼女が言った。
僕は彼女の頭を膝の上に乗せ、美しい赤褐色の髪に触れた。


「・・・スカリー、君は帰るんだ」
僕の言葉に、彼女は海色の瞳を大きく見開らいた。
そして、腕をのばし、僕の頬に触れた。
「モルダー、聞いて・・・。あなたに昨日言われて、この
7年について、考えたの」
僕の瞳を真っ直ぐに見つめ、真剣な表情で言った。
「私はあなたと、最初の事件を扱った時に、科学者として
XFに興味を持ち、惹かれた・・・そして、自分の意志で
この仕事を続けてきたのよ。この7年で私は科学者として
の信念を幾度も揺さぶられてきた・・・。まだ科学では解
明できない事があるのだと・・・素直に思えた。そして、
全てを解き明かすのもやはり科学なのだと悟った。私は後
悔なんてしていない。科学者として、あなたのパートナー
として、この仕事を続けてこれた事に後悔なんて、ない。
だから、私から人生を奪ったなんて、考えないで・・・あ
なたが責任を感じる事ではないわ。私は自分の意志で、こ
うして、今ここにあなたといるのよ」
力強くそう告げた彼女が、より一層美しく見えた。


「・・・スカリー、君は強い人だ」
頬に触れている、彼女の手に自分の手を重ねた。
なぜか、涙が流れそうになった。


僕は一体、何度、彼女の強さに救われたのだろうか。
何度、彼女の強さに甘えてきたのだろうか。


***モルダーの部屋***


コンコン・・・。


再び、オレゴンに行く準備をしていると、ドアをノックす
る音がした。


「・・・スカリー、どうした?」
ドアを開けるとスカリーが立っていた。
「・・・私も行くわ!」
そう言い、彼女は僕に抱きついた。
「・・・スカリー、駄目だ。君を失いたくはないと、言っ
ただろう?・・・今度誘拐された者はきっと、もう、戻っ
てはこれない」
言葉の意味を噛みしめるように、彼女の耳元で告げた。
僕の言葉を聞くと、彼女は腕に力を込め、僕を強く抱き締
めた。
「・・・行かないで・・・嫌な予感がするの・・・。
あなたにもう二度と会えないような・・・」
震えた声で言い、僕を見つめた。
不安げな彼女の瞳が、僕に”行くな”と告げていた。
「大丈夫、無茶はしないよ。それに、一人で行くわけじゃ
ない。スキナーが一緒だから、大丈夫だよ」
彼女を安心させる為、微笑んだ。
「・・・でも」
彼女が何かを言おうとした時、言葉を塞ぐように、僕は彼
女の唇を奪った。


「・・・それ以上は言わないで。僕は必ず戻って来るから・・・」
そっと唇を離し、彼女を見つめた。
「・・・スカリー・・・いや、ダナ。この事件が片付いたら、
僕と結婚して欲しい・・・」
ずっと、言いたかった言葉が自然と、口からこぼれた。
彼女は驚いたように、瞳を大きく見開いた。


「駄目かな?僕じゃ・・・。7年ぶりにあの町を訪れ、赤
ちゃんを抱いている君を見て思ったんだ。君とずっと一緒
にいたいって・・・君と幸せな家庭を築けたらって・・・」
「・・・それは私から女性としての人生を奪った事への償いのつもり?」
彼女は表情を厳しくした。
「違う!君を心から愛しているから・・・君が必要だから・・。
君から離れたくないから・・・」
そう、彼女と離れる事など・・・もう僕にはできない。
彼女なしの人生など考えられない事に気づいた。
だから、彼女にこれ以上XFに関わって欲しくなかった。
彼女を失いたくはなかった。
「・・・モルダー」
彼女は瞳に涙をため僕を見つめた。
「ダナ、返事は僕が戻ったら聞かせてくれ。僕はこの事件
を最後にXFから離れるよ、そして君と・・・」
頬を伝う、彼女の涙に触れ、僕は再び唇を奪った。


***病院***


「・・・モルダーを、モルダーを失ってしまった・・・」
悲痛な表情で、スキナーは言い放った。


どこか予感していた事だった。
彼と最後に会った時、もう二度と彼に会えない気がしていた。
なぜ、もっと、強く彼を引き留めなかったのか・・・。
なぜ、彼を行かせてしまったのか・・・。
彼を止める事のできなかった自分に、後悔の思いでいっぱ
いになった。


でも、私は泣かなかった。
自分の体の中に命を宿したから・・・。
彼の子を宿したと知ったから・・・。


私は泣かなかった。




***一年後・オレゴン州・某森***


「ねぇ、ティナ、ここがUFOが現れるって森なの?」
「えぇ、噂だと、もう10人以上が消えているらしいわ」
「あっ、レイラ・・・あれ?」
ティナがそう言った瞬間、強い光がレイラを包み込んだ。
「えっ・・・何・・・キャーーー!!」


******


「・・・う〜ん、レイラ?」
気がつくと、ティナは森の中に倒れていた。
「・・・レイラ!レイラ!!」
起き上がり、辺りを見回すと、レイラの姿はどこにもなか
った。
「レイラーーー!!レイラーーー!!」
返事はなく、空しくティナの声が辺りに響くだけだった。



***一ヶ月後・XF課***


「それで、あなたのお友達は光に連れ去られたと・・・」
スカリーはそう言いティナを見つめた。
「ええ。光がレイラを包み込んで、それで・・・私、意識
を失って・・・気づくと、私、一人だけが森の中に・・・」
「そう・・・」
スカリーは小さくため息をつき、事件のファイルを見つめ
た。
「スカリーさん。レイラを見つけられるのはあなたしか
いないって聞きました。彼女が失踪してから一ヶ月・・・
警察も手をつくして捜したわ。でも・・・何の手がかりも・・・」
ティナは涙に声を詰まらせた。
「わかったわ。さっそく明日森に行って詳しい調査を始めるわ・・・」
スカリーはティナに優しく笑いかけた。


***某所***


「・・・ここは一体・・・」
レイラが目を覚ますと、そこは不気味なほどに静かで、
薄暗かった。


コツコツコツコツ・・・。


ドアの外の方から足音がした。
レイラはじっとドアを見つめた。


コツコツコツ・・・。
足音はレイラのいる部屋の前で止まった。
そして、ゆっくりとドアを開ける音がした。



To be continued

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