The characters and situations of the television program"The X-files"are
thecreation and property of Chris Carter,Fox Broadcasting and
Ten-Thirteen productions,No copyright infringement is intended.

TITLE:恋人シリ−ズ「すれ違い」
AUTHOR:cat







「ねぇ、ダナ」
モルダ−が、そう言い、甘えた声で、私に抱きついてきた。

ギクッ!!

いやな予感が走る。
こういう時の彼はアレを求めてくるのである。

「・・・モルダ−・・・今日は・・・何もしないって・・・約束・・・あぁっ!」
彼の唇が首筋をさまよう。
「・・・約束?何の事だい」
知らん顔でモルダ−は私の耳を噛む。
「あっ!・・・ちょっと・・・モルダ−・・・だめだって・・・今日はしないって・・・あぁっ」
彼の指は巧みに私の体をまさぐる。
いったん彼と事が始まってしまうと、彼は一日中私をベットから解放してはくれない。
今日こそは何もしないで、二人でどこかに遊びに行くって・・・約束させたのに・・・。
「・・・君の体も僕を求めているじゃないか・・・」
悪戯っぽい笑みを浮かべ、彼は微かに濡れ出している足の間に手を入れた。
そりゃ、ほぼ毎日求められれば、ちょっとした刺激でも、敏感に感じてしまうようになる。
「あぁぁっ・・・モルダ−・・・お願い・・・やめて・・・」
必死に理性を繋ぎ止め、抵抗する。
彼は私の抵抗に耳を貸す事なく、指と唇で体中を愛撫する。
「・・・もぅ!!・・・だめっだって!!!!」
思い切って、彼を突き飛ばした。
「・・・ダナ?」
モルダ−は信じられないといった表情で私を見つめた。
「私は、もっと普通に過ごしたいの!!セックスだけなんていやよ!!最近のあなたは二人きりに
なるとそればかり!!」
たまっていた不満を一気に言い放った。
「・・・スカリ−・・・」
彼は呆然と私を見つめた。
「・・・そうか。わかった」
一言、そう言うと彼は私の部屋を出ていった。


<一週間後>

信じられないことにあれから彼は私に一度も触れることもなければ、求めてくる事もなく、
彼は私とは以前のように仕事の同僚だけの関係みたく振舞っていた。

「それじゃあ、お先に、スカリ−」
週末なのに、彼はただ素っ気無くそう言ってオフィスから出ていった。

「えっ・・・ちょっと・・・」
今日は絶対彼から誘われると身構えていたから、その一言に私は呆然とした。
「あっ、そう。あなたがそのつもりならいいわ。私も久々にあなた以外の人と週末を過ごせる
から・・・」
彼が閉めた扉に向かって悪態をついた。


<一ヵ月後>

彼が私に触れなくなってから一月が経過した。
私たちの仲はまた以前のパ−トナ−という関係に戻っているみたいだった。
彼のいない週末は私の心を締め付けた。
そして、彼を求めている自分自身に気づく。
彼に抱かれたいと切望するけれども・・・意地っぱりの私は何て言い出したらいいのか
わからなかった。

彼はどうっ思っているのだろうか・・・。
PCを打つ手を止め、ちらっと、彼の方を見る。
彼は涼しい顔で書類を書いていた。

「・・・うん?スカリ−・・・何か?」
彼が私の視線に気づく。
「・・・えぇっ・・・あっ・・・その・・・この事件の報告書いつまでだったかしら」
咄嗟の事に慌てて、誤魔化す。
「えっ?・・・どれ?」
そう言い、彼は席から立ち、私の側に来て、PCの画面を覗き込む。
彼の微かに香るコロンと彼の匂いにドキッとする。
心臓が急に早く脈を打ち出す。
「・・・これは・・・来週だったんじゃないか・・・」
「えっ・・・そうだったかしら」
苦笑をもらす。
「・・・ねぇ、スカリ−」
耳元に彼の声がかかる。
耳が熱くなる。
「えっ・・・何?」
「ここと、ここ、スペルミスだよ」
PCの画面を指して彼は無表情に言った。
「えっ・・・あら、本当だわ」
またもや、苦笑を浮かべる。
「・・・さて、そろそろ就業時間かな」
私から離れ、時計を彼が見つめた。
「それじゃあ、スカリ−、僕はこれで、帰るよ」
彼は自分の席に戻るといつものように、そそくさと帰り支度を始めた。
週末なのに、私を誘うことなく。
「それじゃあ、お疲れ様」
コ−トと鞄を手に持ち彼はオフィスから出て行こうとした。
「ねぇ、モルダ−! 」
口が勝手に彼を引き止める。
「うん?何?」
何でもない事のように、彼は私の方を見た。
ヘ−ゼルの瞳に吸い込まれそうになる。
「あの・・・その・・・」

あなたに触れたい。
あなたのキスが欲しい。
あなたにもう一度”ダナ”て呼んでもらいたい。

心の中がそう訴えていた。
「いえ、何でもないわ」
でも、意地っ張りの私には結局何も言えない。
「そう。それじゃあ」
彼は私に背を向け、ドアの前に立った。

私たちはまた以前の関係に戻ってしまったのだろうか・・・。
彼と気持ちを通じ合わせた日、嬉しさのあまりに涙を流し、一晩中彼の腕の中にいた。
彼に抱かれ、愛されている事を全身で知った。
本当は彼に求められのはそれほどいやではなかった。
いや、むしろ心の底では望んでいたのかも。
ただ、自分の知らない女になってしまうのがいやだった。
感情のコントロ−ルが段々効かなくなっていく自分が恐かった。
彼に溺れてしまう自分が、何だかふしだらに思えて・・・優等生のスカリ−は許せなかった。

あぁ、彼に抱かれたい・・・。
全身がそう叫んでいた。
「ねぇ、スカリ−」
突然、彼が私の方を向いた。
「えっ」
「よかったら・・・夕食でも一緒にどう?」
思わぬ彼の言葉に表情が緩みそうになる。
「えっと・・・そうね。でも、この書類がまだできていないから」
わっ!書類って何よ!
口から出た自分の言葉に驚いた。
彼が誘ってくれているのに、断るわけ?
「・・・そう。じゃあ、待つよ、いいだろ?」
「えっ・・・でも、すぐには終わりそうに・・・」
また勝手に口が動いた。
「待ってるよ」
そう言い、久々に彼は私に優しい瞳を向けた。
胸の奥がキュンとする。
「あっ・・・でも、本当にすぐ終わらないわよ」
またまた意思に反して口が動いた。
「待ってる。君が迷惑じゃなければね」
じっと、私を見つめ優しく囁いた。
頭の奥がポ−ッとして、意識がどこかに行ってしまいそうだった。
「迷惑だなんて・・・待っててもらえて嬉しいわ」
やっと出た素直な言葉。
体中が大きく鼓動を打っていた。
私の言葉を聞くと、彼はコ−トと鞄を机の上に置き、自分の席に座って頬杖をつきじっと私の方を見つめる。
その表情の艶ややかさにまたドキッとさせられる。
戸惑いを隠すように、PCの方を向き、書類作成にとりかかった。

「・・・今日は何食べたい?スカリ−」
PCを打ってると、背中越しに彼の声がした。
「えっ・・・そうね。中華のテイクアウト以外なら何でもいいわ」
以前の彼が仕事帰りに私の所に来る時はいつも夕飯は中華のテイク・アウトだった。
そして、二人は時間を惜しむように、互いの体を繋げた。
無意識に口にした自分の言葉にふと、その光景を思い出し、顔が赤くなる。
「はははは、そういえば、いつも中華のテイク・アウトだったよな。君と・・・」
彼はそこまで言うと意識的に言葉を飲み込んだ。
「インド料理なんてどうだい?この間美味しい店見つけたんだ」
彼は飲み込んだ言葉を誤魔化すように言った。
やはり、彼は私と過ごした恋人としての時間は否定したいのだろうか。
ふと、そんな不安が心を占める。
「えっ、インド料理?そうね・・・いいかも」
自分の心の不安を悟られないように相槌をうった。
「じゃあ、決まりだ」
彼は嬉しそうに言った。



                    
仕事を終わらせ、私は彼お勧めのインド料理のお店に来た。
レストランの内装はどこか異国情緒を漂わせるエキゾチックなものだった。

「へぇ−・・・ステキねぇ」
「いい店だろ?」
「ええ、とっても」
久々の彼との仕事以外の時間に私の心は浮かれていた。
「モルダ−さん、また来てくれたんですね」
そう言って、モルダ−に声をかけたのは東洋的な美しさを漂わせる女性だった。
「あぁ、エステル、来させてもらったよ」
親しげに彼が微笑みかける。
何だか、少し妬けた。
「あら、そちらは?恋人かしら?」
エステルは私を見つめ、言った。
「いいえ、仕事の同僚です」
なぜかそんなセリフが口から出ていた。
「そう、宜しくね。今、ウェイタ−に案内させますから」
彼女は喜作な笑みを浮かべた。


私とモルダ−は窓側の席に案内された。
店内は微かにお香の匂いが漂い、少し明るさを抑えた照明が落ち着いたム−ドを出して
いた。
「さて、何たべようかな」
渡されたメニュ−を見つめながら呟いた。
「何かお勧めはある?」
「う・・・ん、そうだな、ラムのカレ−なんて美味しいよ」
モルダ−はさっきの私の”同僚”発言に動じる事なく私に笑顔を向けて、言った。
どこかで、彼が動揺゜してくれる事を望んでいた。
彼に何か、さらっとかわされて・・・悲しかった。
やはり、彼にとって、私はもうただの仕事上のパ−トナ−なんだろうか。
今こうしているのも、恋人といるんじゃなくて、同僚としているのかもしれない。



「お食事は気に入ってもらえましたか?」
食後の紅茶を楽しんでいる時に、エステルが私たちの席にきた。
「えぇ、とっても、美味しかったわ」
それは素直な感想だった。
料理の美味しさは私の悲しさ癒してくれた。
そのおかげで、私はモルダ−の前で笑っていられた。
「そう言ってもらえて嬉しいです」
エステルは輝くほどの笑顔を浮かべた。


「ねぇ、エステルさんて、一人でお店を経営しているの?」
レストランからの帰り道モルダ−に聞いた。
「えっ、いや、もともとは旦那さんのお店だったらしいんだけど・・・、亡くなってな。
それで彼女がお店を受け継いだらしいんだ」
「・・・まだ若くて、あんなに幸せそうな笑顔を浮かべるのに・・・彼女、強い人だわ」
「あぁ、そうだな」
彼は月を見上げながら、呟いた。
その横顔が何だか切なそうに見えた。
私の見たことのない、彼の表情・・・。
そうさせているのは、やはり彼女なんだろうか・・・。

「・・・彼女に惹かれているの?」
私は体中の勇気を振り絞って、告げた。
「えっ?彼女って?」
彼は驚いたように私を見つめた。
「・・・エステルさんよ・・・彼女といるあなた・・・随分と楽しそうだったわ」
私の言葉に彼はじっと私を見つめた。
そして
「・・・ははははははは!!」
突然、彼が笑い出した。
その笑いに、私は訝しげに彼を見つめた。
「・・・何よ、突然笑い出して・・・」
「いや・・・、君があまりにも、唐突な事を言うから・・・」
笑いが収まると彼はそう言った。
「・・・僕が誰に惹かれているのかは・・・君が一番知っているだろ?」
「えっ」
今度は彼の言葉に私が驚く番だった。
「・・・わからない?僕の瞳の中に誰がいるのか?」
彼は瞳を細め、私を見つめた。
その表情に甘い予感が胸をいっぱいにする。
「・・・・でも、まさか・・・。だって、私たちは、もう・・・」
声が微かに震えていた。
「もう?何?」
優しく私に聞き返した。
「・・・あなたの気持ちはもう、私には・・・ないんでしょ?」
指先が震えた。
喉の奥が焼けるように熱い。
「・・・なぜ?」
「だって・・・あなた・・・私に触れようともしないし・・・ダナって呼んでくれなくなった」
あまりにも子供じみた言葉が口からもれる。
「・・・私があなたを拒んだから・・・あなたはもう、気持ちが冷めたんでしょ?」
ずっと、恐くて口にできなかった言葉がやっと出た。
「君は僕がそんな男だと思っていたのか?」
少し厳しい口調で彼が言った。
「・・・それじゃあ、まるで、僕が君の体目当てだったみたいじゃないか!」
彼は声を荒げた。
「・・・だって・・・あなた・・・あの日から私に対する態度が以前と同じようになったから・・・」
「・・・それは・・・君が・・・僕に抱かれるのがいやだって言ったから・・・自分を抑えるために
極力君を避けていたんだ。君を失いたくはないから・・・君を悲しませるような事はしたくなかったんだよ。
僕は君に対しては自分でも、抑えが効かなくなるんだ・・・だから・・・」
思いもよらない彼の言葉だった。
「・・・私、あなたに抱かれるのがいやだなんて言ってないわ!だだ・・・もう少し自重して欲しかっただけよ!!

あなた二人きりになると・・・いつも・・・」
そこまで言うと頬を赤らめた。
「・・・じやあ、僕に抱かれるのはいやじゃないの?」
「もちろんよ!じゃなきゃ・・・あんな事・・・」
そう言い、益々顔を赤らめた。
「・・・なんだ・・・そうだったのか・・・」
彼はホッとしたように、呟いた。

「・・・ねぇ、じゃあ、まだ私を愛してる?」
意を決してその言葉を口にした。
「あたり前だろ!僕が生涯愛し続けるのは君だけだ。君はやっと僕が見つけた魂の片割れなんだから・・・。
君なしの人生なんて、考えられないよ・・・ダナ・・・」
彼はヘ−ゼルの瞳を熱くさせて、私に言った。
「・・・ダナ・・・どうした?なぜ、泣いているの?」
彼は心配そうに私の頬に伝う涙の滴に触れた。
「・・・嬉しいの・・・あなたがそんな風に私の事を思ってくれているのが・・・嬉しいの・・・」
涙に声を詰まらせながら、私は素直な気持ちを口にした。
「・・・あなたを愛しているから・・・嬉しいの・・・」
彼を見上げ、想いを告げた。
「・・・ダナ・・・」
彼は嬉しそうに笑い、私を引き寄せ、強く抱きしめた。
久しぶりの彼の抱擁。
彼の香りに包まれ、彼の胸に顔を置き、彼の逞しい腕に抱きしめられ体が溶けてしまいそうだった。
「・・・ダナ・・・僕は君を泣かせてばかりだな・・・一番泣かせたくない人なのに・・・」
頭の上で彼の優しい声がする。
「・・・君と初めて気持ちを伝え合った時も君は・・・瞳いっぱいに涙をためたっけ・・・」
彼の声も微かに涙ぐんだ。
「・・・あなたといると・・・泣き虫になるみたい・・・」
「・・・僕もだ・・・幸せすぎて・・・泣き虫になる・・・」
そう言うと、彼は私を見つめ、唇に優しくキスをした。
「・・・愛しているよ・・・永遠に・・・」
唇を離すと、じっと私を見つめ、囁いた。
「・・・私も、愛している・・・永遠に・・・」
琥珀色の大きな月の下で、私たちは幾度もキスを重ねた。








                               THE END

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