DISCLAIMER:The characters and situations ofthe television program "The x-files" are
thecreation and property of Chris Carter,FOX Broadcasting and Ten-Thirteen productions,
No copyright infringement is intended.

TITLE:Hesitation
SPOILOR:none
AUTHOR:cat
前書き
この話はBorderの続きになっています。
Borderをお読みになってから読むことを勧めます。
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私は彼を愛しているのだろうか?
この間からずっとそのことを考えている。
私たちは仕事の相棒として、きっと誰よりも信頼しあっている。
でも、私が彼に抱いている気持ちはそれだけなの?
信頼という気持ちだけで私の彼に対する感情は表せるのだ
ろうか?
私は本当に彼をただの相棒として見ているのだろうか?

***モーテル***

隣の部屋に彼女が寝ている。
僕の部屋と彼女の部屋を隔てるのはドア一枚。
おそらく鍵はかけていないだろう。
僕はどうしたいんだろうか?
今夜はいつにもまして彼女の事が頭から離れない。
いや、今夜だけじゃない。
この間、僕が彼女の言葉を聞いてからだ。

”あなたに今の私たちの関係を壊す勇気があるかしら”

あれはどういう意味で言ったんだろうか?
ただの冗談?それとも・・・彼女の本心?
僕たちの間にあるのは一体、どんな感情だというのだ。

******

隣の続き部屋に彼が眠っている。
私の部屋と彼の部屋を遮るのはあのドア一枚しかない。
多分、鍵はかかってないと思う。
この間から彼とは何となく気まずい。
今日だって、彼が私の手に触れただけで私は、彼を異性と
して意識してしまった。しかも捜査中にそんなこと思う
なんて、私らしくない。
私はいつから彼を男性として意識し始めたのだろ?
いや、もしかしたら初めて出会った時からそういう感情
はあったのかもしれない。
私は今まで自分の気持ちを見て見ぬふりをしてきたの
だろうか?


******


今日、はずみで彼女の手に触れた。
その瞬間、僕は思わず彼女にキスしそうになった。
捜査に集中できない。
こんな事初めてだ。
明日から僕はどう彼女に接すればいい?
いつも通り何もなかったようにするのか?
そんな事、今の僕にはできない。
一層のこと、彼女を抱いてしまえば、この気持ちも
ハッキリするのかもしれない。
でも・・・彼女が僕を拒絶したら、僕はどうすればいい?
初めて彼女に出会ってから、僕は彼女に惹かれていたの
かもしれない。
しかし、今まで僕はこの気持ちを理性の力で抑えてきた。
もしかしたら、もう限界なのかもしれない・・・。


******


”友達のキス”
そう言って彼は頬にキスした。
限りなく唇の近くに。
あれはどういう意味でしたのだろうか?
明日の朝彼に会ったら、私はどうすればいい?
いつも通り何もなかったようにするの?
この気持ちは、この気持ちは、何なのだろうか?
胸の奥が熱くて、苦しい・・・。
彼のことが頭から離れない。
私はどうすればいい?


******


僕は彼女と僕を隔てるドアの前にたった。
このドアノブに軽く触れれば、彼女の部屋に行ける。

どうする?
このままドアを開けるか?
このドアを開けてしまったら、僕と彼女の関係に変化は
起きるのだろうか?
彼女は僕を受け入れてくれるだろうか?

そして僕は・・・。

******

私はドアの前に立っている。
モルダーと私を遮るドアの前に。
どうする?
このまま開けてしまうの?
彼はどう思うだろうか?
私たちの関係に何か変化はあるのだろうか?
私はこのままドアを開けてしまっていいのだろうか?
私はドアの前に立ち、暫く扉を見つめ、思いきってドアを開けた。

******

今夜の空には、はかないぐらい美しい三日月が浮かんでいた。
僕は結局、彼女の部屋のドアが開けられず、部屋を出た。
今夜は眠れそうにない、きっとあの部屋にいたら僕は自分を抑えられないだろう。

だから部屋を出た。

スカリー、僕にはやはり今の関係を壊す勇気はないみたいだ・・・。
僕は自分の腑甲斐なさを笑った。

******

ドアの向こうにモルダーはいなかった。
時計は午前2時をさしている。
こんな時間に彼はどこにいったのだろうか?
このままここで彼を待つべきだろうか?
それとも自分の部屋に戻って、何もなかったように
眠るべきだろうか?
私は彼のベットに横になりながら漠然と考えを巡らせた。

******

久しぶりに煙草を吸った。
あんなに嫌っていたのに。
今の僕はきっと正気じゃない。
こんなものが欲しくなるなんて。
僕は本当にどうすればいいのだろうか?
このままあいまいな関係でいるべきなんだろうか?
彼女は僕のことをどう思っている?
そして僕は彼女のことを・・・。
胸の奥が痛い・・・。
僕はこんな想いを抱えながら、彼女と仕事上の相棒という関係を続けることができるのかだろうか?

******

ベットには彼のぬくもりが残っていた。
まだ暖かい、部屋を出たのはついさっきなのだろう。
今から追いかければ、彼を見つけることができるかもしれない。
でも、彼に会ったらどうする?
よくある愛の告白などをするの?

”愛してる”

ただそう言うだけで私たちの関係は変わるの?
そんな簡単な事なの?
いや、違う、私の想いはそんな言葉で表せる程、簡単ではない。
だったら、どう気持ちを伝えればいい?
私はどうする事もできないもどかしさに唇を噛んだ。

******

気持ちを何とか落ち着かせて、部屋に戻った。
ふとベットの方を見ると、なぜか彼女がベットの上で眠っていた。
僕の心は再びかき乱された。
僕はベットの端に座って彼女を見下ろした。
その寝顔はあどけなく、艶っぽい。
僕は彼女の赤褐色の美しい髪に触れた。
「・・・モルダー」
彼女が突然、僕の名を呼んだ。
僕は驚き、髪に触れていた手を引っ込めた。
「スカリー?」
ためらいがちに彼女の名を呼んでみた。
しかし、反応はなかった。
どうやら寝言だったようだ。
僕はなぜかホッとした。
”彼女を愛している”
そんな確信が突然僕の心に浮かんだ。
僕は衝動的に、彼女の唇と自分の唇を重ねた。
「・・・う〜ん」
彼女の苦しそうな声で僕は我に返り、唇を離した。
「スカリー」
僕はもう一度彼女の名を呼んだ。
しかし、彼女はまだ眠っているようだ。
僕は大きくため息をつくと、ベットから立ち上がり、
頭を冷やすため、バスルームに行った。

******

彼がいなくなると、私はベットから起き上がった。
私は唇に触れ、さっきのキスを思い出した。
彼の唇からは、ほのかに煙草の香りがした。
いつもは吸わないのに。
彼らしくない。
彼も悩んでいるの?
私はこのまま彼の部屋にいるべきだろうか?
それとも・・・。

******

シャワーを浴びた。
冷静になるために。
あのまま彼女のそばにいたら僕は、きっと無理矢理彼女を・・・抱いてた。
でも、やはりできない。
今の僕たちの関係は崩せない。
崩してしまうと今まで彼女と築いてきたものまで壊れてしまいそうで、僕にはできなかった。
彼女と過ごした時間があまりにもかけがえのないものだから、僕は今の関係が壊れるのが恐かった。

そう、僕は恐いんだ。

彼女を愛しているから・・・。

******

彼がバスルームから出てきた。
私はまた寝たふりをした。
突然、私の体は宙に浮いた。
おそらく彼が私を抱きあげたのだろう。
石鹸の香りがする。
彼の体温を感じる。
彼の胸の音が聞こえる。
私は体中が熱かった。

******

彼女を抱きあげた。
彼女の部屋に移すために。
彼女は空気のように軽かった。
とても柔らかく、いい香りがした。
僕は必死に理性を働かせた。
そして彼女のベットに寝かせると、僕は暫く彼女の寝顔を見つめた。

「スカリー、もし僕がこのまま君を抱いたら、君は僕を受け入れてくれるかい?」

僕は彼女の顔に近づき、彼女の耳元で囁いた。
その時、微かに彼女が動いた。
彼女はもしかしたら起きているのかもしれない。
突然、そんな考えが浮かんだ。
僕は暫く彼女を見つめ、彼女の頬にキスをした。
「スカリー、おやすみ」
そう言って、僕は彼女の部屋を出た。

******

彼は結局、私を抱かずに部屋に戻った。
彼は私が起きていたことに気づいていたのかもしれない。
そんな考えが頭の中をかけ巡っていた。
何だか切なかった。
不思議と涙が溢れ出した。
私は今やっと気づいた。
愛しているという言葉で表せない程、彼を、モルダーを愛していることを。
もうずういぶん前から、私は彼を愛していた。

胸の奥が熱い。
涙が止まらない。

こんな想いに気づきたくなかった。
認めたくなかった。
仕事上の相棒に惚れるなんて・・・私らしくない。
その夜、私は彼に聞かれないように、声を殺して泣いた。
この気持ちを押し殺すために・・・。





THE END

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