DISCLAIMER:The characters and situations of the television program "The x-files" are
thecreation and property of Chris Carter,FOX Broadcasting and Ten-Thirteen productions
No copyright infringement is intended.

TITLE:逆行 Part10
SPOILOR:none
AUTHOR:cat
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 私は神を作り出すのだ。
全てを無にし、全てを作り直すために。
そう、新しい世界を創造するのだ・・・私の手で。


CSMは煙草に火をつけると、どこか悲しそうにアニータ
のオリジナルを見つめた。


***研究施設内***


「全人類と異星人たちを葬るだと!!」
モルダーはクライチェックの言葉に顎然とした。
「ああ、そうだ。頼む、モルダー。おまえなら奴を
止められるんだ。いや、おまえが止めるべきなんだ」
クライチェックは、すがるようにモルダーを見た。
「・・・なぜ僕なんだ?」
クライチェックは何かをためらうように黙り、モルダーを
見つめ、そして口開いた。
「・・・なぜなら奴はおまえの親父だからだよ」
モルダーはあまりにも唐突な言葉に、一瞬何を言われたか
わからなかった。
「・・・何だと!?」
「・・・真実かどうかはわからんが、俺に言える事は
奴がおまえの事を息子だと思っている事だ。・・・奴は
おまえの事を息子として愛している」
クライチェックは言葉を選ぶように慎重に話した。
「嘘だ!!奴が僕の父だと・・・僕の父はおまえに殺され
たウィリアム・モルダーだけだ!!!!!」
モルダーはそう言って、凄い勢いで、クライチェックの胸
ぐらを掴んだ。
「嘘じゃない!!本当の事だ!!奴はおまえを特別に思っ
ている。おまえとスカリーが生きているのが何よりも証拠
だ!!」
クライチェックはモルダーに対抗して声を上げた。
「何だと!!」
「モルダー、おまえがXFに関わって、なぜ生きてこれた
と思う?奴がおまえの後ろ盾になっていたからだ」
モルダーはクライチェックの言葉にナイフで心臓を刺され
たような激しい痛みを感じた。
「やめろ!!聞きたくない!!!」
モルダーはクライチェックの胸ぐらを離すと、両手で両耳
を塞いだ。
「おまえは認めたくないかもしれないが、それが事実だ!
!!!」
クライチェックはモルダーに認めさせるように、力強く
言った。
「うわーーーーーーー!!!」
モルダーは心の中の悲鳴を体中から出した。

***アニータの部屋***

「さあ、グレイン博士。アニータに例のチップを移植
してもらおうか」
CSMはそう言って、煙草を取り出した。
「断る!!」
グレインは鋭くCSMを睨んだ。
「・・・そうか、残念だ。博士」
そう言って、CSMはゾッとする程冷たい笑みを浮かべた。
「それでは博士、君には死んでもらおう」
CSMはグレインに銃口を向けた。
「何!?」
グレインがCSMを見た時、CSMは何のためらいもなく
銃の引き金をひいた。
「うっ!!」
銃声が響くとともにグレインは声をあげてその場に倒れた。
そして、彼の白いシャシは鮮やかな赤へと変わっていっ
た。CSMはその光景を黙って見つめた。
「・・・・・ハハハハハハ!!」
グレインはその場に倒れたまま、最後の力を振り絞るよう
にして笑い出した。
「何が可笑しい?」
CSMは異常な程笑い続けるグレインに、表情を険しくし
た。
「これで君の夢も終わりだということさ」
グレインは胸を抑えながら、ゆっくりと立ち上がった。
「私の持っていた・・・チップ・・は・・偽物・だから
な・・・本物が・・どこに・・ある・か・・・知っている
・・・・のは・・私・・だけだ」
グレインは気力を振り絞って言うと、勝ち誇った
ように笑った。
「ハハハハハハ!!」
今度はCSMが笑い出した。
「・・・な・・にが・・・可笑・・しい」
CSMの余裕ありげな反応にグレインは苛ついた。
「君が私たちに偽物を渡したのは知っていたさ。そして
その隠し場所もな」
CSMは尚も余裕たっぷりの表情を浮かべた。
「・・・ハッ・タ・・リ・・だ!!」
グレインは自分の中の強い焦燥感を打ち消すように叫んだ。
「ハッタリだと思うかね?」
CSMは自信ありげに口の端を上げた。
「・・・チップはモルダーに渡してあるんだろう。グレイ
ン博士」
CSMの言葉はグレインの顔色を一気に蒼白にした。
「な・・何の事・・だ」
「ハハハハハハハ!!」
CSMはさらに笑い出した。
「君は、本当に嘘をつくのが下手なんだな。これでモルダ
ーが持っているという確信を得る事ができたよ、ありがと
う、グレイン博士」
そう言ってCSMは手を叩いた。
「な・・に!?」
「なぜ私が君の頭を撃ち抜かず、肺を撃ち抜いたと思う?
君にすぐに死なれては困るからだよ。君のその反応が
見たかったからだよ、グレイン博士」
「き・・さ・・ま!!」
グレインは憎しみのこもった目でCSMを睨み、そして隠
し持っていた銃を取り出した。
「博士、君に人を撃つ事はできるのかね?」
CSMは余裕ありげにグレインの持っている銃の銃口を
見つめた。
「・・・撃てるさ!!」
グレインは微かに銃を構える腕を震わせて、CSMを睨ん
だ。
「そうか、なら撃て!!今すぐ私を殺せ!!!」
CSMは威嚇するような鋭い目でグレインを睨んだ。
グレインは狙いをCSMに定め、引き金に指をかけた。
しかし、出血の酷さと、極度の緊張のせいでグレインの指
は震え、引き金をひく事は難しかった。
「どうした、博士。さあ、早く撃て!!」
CSMはグレインを挑発するように言った。
「・・・うわーーーーーー!!!!!」
グレインは自分の中の最後の力を振り絞るように、体中か
ら声を張り上げ、引き金を引いた。


***研究施設内***


「フォックスは見つかった?」
ダイアナは心配そうにクライチェクに聞いた。
「いや、奴は何処にもいなかった」
クライチェックは顔色一つ変えずに言った。
「・・・そう」
ダイアナは小さく呟いた。
「それより奴の姿が見えないが?」
「奴って?」
「C.G.Bスペンダーだよ」
「ああ、彼なら地下の例の部屋に行っているわ」
「・・・例の部屋か・・・、ファウリー、あんたはそこに
入った事はあるのか?」
「・・・ないわ。でも、何があるかは想像できる」
そう言ってダイアナは一瞬悲しそうな表情をした。
「ほぉ〜、あんたが知っていたとは、以外だ。
それじゃあ奴の本当の狙いも知っているのか?」
「・・・彼が自分の命を救うためにチップを欲しがって
いるんじゃない事はわかっているわ」
「それじゃあ、奴は何を欲しがっていると思う?」
ダイアナはクライチェックの質問に少し間を置いて
こたえた。
「・・・・・・全てを無にする事よ」
クライチェックはダイアナの答えに眉を上げて、オーバー
に驚いた。
「驚いた。そこまで知っていて、なぜあんたは奴に
協力するんだ?」
ダイアナはクライチェックの言葉を聞くと、自信たっぷり
に微笑んだ。
「・・・愛しているからよ」
そう言うと、ダイアナはクライチェックに背を向けて
歩き出した。
「奴に愛されないという事がわかってもか?」
クライチェックの言葉にダイアナは足を止め、背を向けた
まま言った。
「・・・彼の心の中に誰がいるかなんか、私には関係
のない事よ」
そう言うと、ダイアナは再び歩き出した。


***アニータの部屋***

「そんな・・・」
グレインは平然と立っているCSMに鍔然とした。
「ハハハハハハハ、グレイン博士、君には随分と楽しませ
てもらったよ」
CSMはそう言って、煙草を加え、火をつけた。
「・・・き・・さま!!・・・何時・・私の・銃から・・
弾を・・抜いた」
グレインは掠れた声で言った。
「さて、いつかな?」
CSMはグレインをからかうようにニヤリと笑った。
「くっ!」
グレインは悔しそうに唇を噛んだ。
「さて、グレイン博士。命を取りそこねた者はどうなるか
知っているかね?」
CSMは煙草の煙をゆっくりと吐き出すと、銃口をグレイ
ンに向けた。
グレインは全てに絶望したようにボンヤリと銃口を見つめ
た。
「・・・お別れだ、博士」
CSMは煙草の吸殻を投げると、銃の引きがねを引いた。
次の瞬間、銃声が響き、グレインは額に穴を開けられ、
そして、その場にゆっくりと倒れた。


***研究施設内***


「今のはどういう意味だ?」
ダイアナがいなくなると、モルダーは隠れていた通気口か
ら出てきた。
「CSMには生涯一途に愛し続ける人がいるという事さ」
モルダーはクライチェックの言葉に目を大きく見開いた。
「・・・まさか、奴にそんな感情があるとは思えんが・・
・・その愛し続ける人ってカサンドラか?」
「いや、違う。奴が愛しているのは・・・ティナ・モルダー、
つまりおまえの母親だ」
モルダーはクライチェックの言葉に自分の耳を疑った。
「・・・何だって!!!!そんな、奴が母さんを・・・
そんな・・・悪夢だ」
モルダーは頭を抱えて、その場に座りこんだ。


***研究施設・地下9階***


「彼女の様子はどうだね?」
CSMはダイアナに言った。
「薬の効果が効いているようで、未だ仮死状態を
保っています」
ダイアナは冷静に答えた。
「そうか、それでモルダーは見つかったのかね?」
CSMは煙草を加え、火をつけた。
「・・・いいえ、研究施設内を見回ったのですが・・・
彼の姿は何処にも・・・」
ダイアナの言葉を聞くと、CSMはゆっくりと煙を
吐いた。
「なるほど。何処にもいないか・・・とすると研究施設内
の誰かが、彼を匿っているのかもしれないな」
CSMはそう言うと暫く黙り、冷たい笑みを浮かべた。
「・・・アレックスはどうしている?ここ2時間程
姿を見ないが・・・」
「彼は部下たちを率いてモルダーを探しています」
「そうか。アレックスに約束のものを見せると伝えてくれ」
「わかりました。他には?」
「そうだな・・・アニータのクローンたちに移植の
準備をするように言っといてくれ」
「・・・移植?まさか例のものを彼女に・・・」
ダイアナは不安そうな表情をした。
「ダイアナ、君は何の心配もする必要はない。君の立て
た計画通り事はすすんでいるからね」
CSMはダイアナに優しく微笑んだ。
「それじゃあ、私はアニータの所にいるから」
そう言ってCSMは歩き出した。
ダイアナは切なそうにCSMの背中を見つめ、そして何か
に駆り立てられるように突然走り出した。
「ダイアナ!?」
CSMは突然ダイアナに背中を抱き締められた。
「・・・私はあなたに一秒でも長く生きてもらいたい。
だから、だから・・・」
ダイアナはそこまで言うと、涙で声を詰まらせた。


***アニータの部屋***


CSMは椅子に座り、感慨深そうにアニータオリジナルを
見つめた。
『何を悩んでいるのですか?』
アニータの声がCSMの頭の中に響いた。
「・・・私は時々、自分がわからなくなる。今の自分が
している事は正しいのか、それとも・・・」
CSMは我に返ったように不安気な表情を浮かべた。
『何を今更迷っているんです。あなたは人類を導く者と
して私を作った。もうこの計画は変える事はできないので
す。だから良いか悪いかを考えるのは無駄な事です』
「しかし・・・」
『考える必要はないのです!!』
CSMの言葉を遮るようにアニータの言葉は彼の頭に
響き、それは激しい頭痛を引き起こした。
「うっ!」
CSMは頭を抱え、意識を失った。


******


「おじちゃん、おじちゃん、どうしたの?」
無邪気な声が聞こえてきた。
CSMがゆっくりと目を開けると、3,4歳ぐらいの
男の子が、CSMのズボンの裾を引っ張っていた。
「・・・君は!?」
CSMはどこか見覚えのある、賢そうな男の子の顔を、
見つめた。
「僕?僕はね・・・あっ!?もう帰らないと」
男の子は突然、何かを思い出したようにCSMに背を向け
て走り出した。
CSMは男の子が向いた方を見た。
すると、そこには見覚えのある家が建っていた。
CSMはその家を見つめると、何かに惹かれるように、家
の前に立ち、そして家の門を開けた。
庭には色取り採りの薔薇が鮮やかに咲き誇っていた。
CSMはその薔薇たちに遠い昔感じた何かを思い出した。
「・・・あっ、さっきのおじちゃん!」
男の子は庭に出て来ると、CSMを見つめた。
「やあ、坊や、また会ったね」
CSMはそう言って、男の子の頭を撫でた。
「・・・ちょっと、駄目よ、お外に出ちゃ」
そう言いながら、男の子の母親らしき女性が庭に出てきた。
その女性の姿を見て、CSMは息を飲んだ。
「・・・あなたは・・・」
そう呟き、不安気にCSMを見つめる女性は、彼が愛した
頃のままだった。
「・・・やあ」
CSMは愛しさに胸を詰まらせ、切なそうに女性を見つめ
た。
「・・・どうして!!もう来ないって言ってたのに・・」
女性はとても苦しそうな瞳でCSMを見つめた。
「・・・すまない。君に、君に会いたくて・・・」
CSMはそこまで言うと、感情を抑えるように女性に背を
向けた。
「すまない。今の言葉は忘れてくれ、それじゃあ」
感情を抑えた静かな声でそう言うと、CSMは歩き出した。
「・・・待って!!」
そう言って、女性はCSMに駆け寄り、CSMの背中を
強く抱き締めた。
「・・・今だけこのままで」
そう言って、女性はCSMの背中に顔を埋めた。
「・・・あなたにもう少し早く出会えていたら・・・
私は、私は・・・・」
CSMは女性の方を向き、彼女の唇を手のひらで軽く抑え
た。
「それ以上は言わないでほしい・・・」
CSMは静かにそう言うと、女性を抱き締めた。
「愛してる、ティナ。例え君と一緒になる事ができなく
ても、僕は君を生涯愛し続ける」
ティナはCSMの言葉を聞くと、涙を流し、CSMの胸に
顔を埋めた。


******

「ティナ!」
CSMはそう言って、目を開けた。
そこは美しい薔薇の咲く庭ではなく、アニータの部屋だっ
た。
「・・・夢か」
CSMは切なさそうに呟いた。
「・・・もう忘れたと思っていたのに」
CSMは額を手のひらで抑え、自嘲的な笑みを浮かべた。


***研究室・地下3階***


「起きるのよ!!」
スカリーは聞き覚えのある女性の声と、針で刺されたよう
な痛みを腕に感じた。
「さあ、起きて!!」
そう言って、女はスカリーの頬を強く叩いた。
「・・・う〜ん」
スカリーは痛みにうっすらと目を開けた。
「よかった気がついて」
そう言って、微かに口の端を上げた女の顔は、スカリーの
知っている人物だった。
「・・・あ」
女の名前を言おうと、口を動かそうとしたが、スカリーは
口を動かす事ができなかった。
「まだ薬が効いているから、あなたは動けないし、声も
出せないわ。でも今動けるようになる薬を注射をした
から、後10分もすれば動けるはず」
女はそう言うと、スカリーに近づき、真剣な表情をした。
「動けるようになったら逃げるのよ!!今逃げないとあな
たは彼女の器にされてしまう。そうなったら彼の計画通り
全てが進み・・・人類は終わってしまうわ!」
女がそう言うと、研究室の外から人の声が聞こえてきた。
女は驚いたように、微かに体をビクッとさせた。
「逃げて」
女はスカリーの手にカードキーを握らすと、慌てて研究室
を出ていった。


***アニータの部屋***


「クライチェックを連れて来たわ」
アニータのクローンがそう言って、部屋に入って来た。
「アレックス、よく来た。これが君の望みのものだ」
そう言ってCSMはアニータオリジナルを指した。
クライチェックはアニータオリジナルを見ると、言葉を失
った。
「どうだ素晴らしいだろ!!これこそまさに神だ!!!」
CSMは何かに酔ったように言った。
「・・・これがオリジナル」
想像以上のアニータの姿に、クライチェックは息を飲んだ。
「そうだ。彼女こそ我々を導く新しい神だ」
CSMは魅了されたようにアニータオリジナルを見つめた。
「なるほど。彼女に例のチップを移植し、永遠の命を与え
れば人類がいなくなった後の世界でも生き続ける事は
可能という訳か・・・だが、この状態の彼女に移植しても
彼女に新しい人類を作り出す事はできないと思うが・・」
『それなら心配はありません。すでに彼は私のために私が
自由に動くための器を用意しています』
突然、クライチェックの頭の中に女性の声が響いた。
「うっ・・・これは!?」
「テレパシーだよ、アニータはそうやって話すのだ」
CSMは煙草を取り出して言った。
「さて、アレックス、君の望みも約束通り叶えた事だし、
私の頼みをきいてもらおうか」
「何!?俺の望みを叶えただと!!悪いがまだあんたは
俺の望みの一つをきいただけだぜ」
「ほ〜う、それじゃあ二つ目は何だね?」
「この部屋に俺が自由に入れるようになることだ」
CSMは黙って煙草を吸うと、口を開いた。 
「そして、隙を見てアニータの生命維持装置を壊す気
なんだろ?」
苛立たしげに煙草を投げ、足で火を踏み消すと、CSMは
銃を抜いた。
「・・・何!?」
クライチェックは予想外のCSMの言葉と行動に、微かに
顔色を変えた。
「アレックス、私が知らないと思うか?」
「何の事だ?」
「君が私の計画を壊すために、政府に雇われているという
事だよ」
CSMは銃口をクライチェックに向けた。
「さらにもう一つ言うと、君がモルダーを匿っている事も
私は知っている」
「ハハハハハ!!俺が政府の犬でモルダーを匿っているだ
と!!きさまの想像力の豊かさにはヘドが出るぜ!!」
「・・・ただの想像だと思うか?アレックス」
CSMは銃の引き金に指を掛け、笑みを浮かべた。





To be continued

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