音楽のことなど本当はろくに詳しくないのだけれど
時折たまたま知ったアーティストの名前や曲名を
さも詳しそうに語ることがある。
もちろん聞いて好きになっているのだから
語る内容や気持ちに嘘や間違いはないのだけれど、
そこには、音楽に対する浅い造詣を見抜かれたくないという
浅はかな算段が見え隠れしていたりする。
ポップだかロックだかパンクだかよく知らないけれど
現代音楽界はどうやらこのアーティストに
必要価値を認めているらしいようなことを
僕だって知っているのだと気取りたいのだ。
気取るという行為は、
バカバカしいけれど重要なものなのである。
重要であるけれどバカバカしいものでもある。
半端なたしなみで何を語れているのかと自嘲しながら、
今日も知性でつながり感性を認め合う共同体で暮らしている。
まったく。
自責で一つ夢を見れるほど、
夏の夜は暑くて長い。
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