「 クスクスの花 咲いていますか 」




昔 この丘の上には きれいな花がありました
 真っ白に透き通った その花弁は 百合の一等生でも敵いません
 風に乗って鼻腔をくすぐる その甘酸っぱい香りは 淡い恋心を想わせます



姿を見れば やすらぎを
ふわりと香れば 祝福を



天使がクスリと微笑みを返してくれるような そんな不思議な花でした




でもある日 この地方で大きな争いが起こりました
 たくさんの人が傷つき倒れ この世を離れていきました


 ついに 近くの村も焼き払われてしまいました
  木こりをサボって 寝転んでいたおじさんも
  パンケーキにかけるハチミツを 集めに来ていたおばさんも
   みんな もう花に会いには来てくれませんでした



花は ひとりぼっちの時間を過ごさなければならないことを 寂しく思いました
 そんな時 村で一番 この花を愛してくれていた少女が 
 痛めた足を引きずりながら 花のところへと歩いて来ました



  その少女は いつも花の傍に座っては 共に時間を過ごしていました
  風と踊り 小鳥と唄い お互いにクスリと微笑みあったものでした




花はとても喜びました 
 この娘(こ)が また自分と一緒にいてくれるんだ
 また 静かでゆっくりとした 幸せの中にいられるんだ と



しかし少女は

 花の香りを胸いっぱいに吸いこんだかと思うとlay 

  そのままふわりと倒れ もう 動こうとしませんでしたdeath




花は 驚きました
 風もないのに ゆらゆら揺れてみました
 小鳥たちを呼んで 合唱してみました
  いつもより もっとたくさんのいい香りを出してみました



けれど 少女は動きませんdive




いつしか花は 少女の胸の痕(きずあと)から 流れ出るものに気づきました
 花は 地面に染み込んだ その真っ赤な血を
 しっかり根付いた根っこから ずくずくと 吸い上げ始めました




そうすれば この娘と ずっと一緒にいられると思ったから





自慢だった真っ白に輝く花弁は 少々黒ずんだ赤に染まり
自慢だった恋心を想わせる香りは 土と鉄の混ざった 濁った匂いになりました





そして花は 少女の血を全て残らず吸い上げると

静かに ゆっくりと 眠りにつきました







やがて争いが終わり 人が戻ってきても
 もう誰も 花には見向きもしませんでした
  むしろ 不吉な 不気味な花だと嫌いました
   争いを起こした 悪魔の花だと言って 踏みつける人もいました


けれど花は そんなことは気にせず
ただ幸せな夢を見て 過ごしていました





       風が舞うと

                       花は揺れ

        小鳥が唄うと

                          花は香り




少女がクスリと微笑むと 花もまた クスリと微笑みを返しました











クスクスの花は 今もこの丘で 静かに夢を見ています













クスクスの花は 今日もどこかで 少女と夢を見ています












姿を見れば やすらぎを
ふわりと香れば 祝福を









−クスクスの花 咲いていますか−










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