〜心配させんじゃないわよ〜
「まったく……」
ベッドで寝ている石川の顔を見ながら、ため息だか
何だかわからない言葉をつぶやく。
石川の右のおでこには白くて四角くって大き目のバ
ンソウコウが貼られてる。
(…かわいい顔が台なしじゃん……)
何となく手を伸ばしてバンソウコウに触れようとす
ると石川が目を覚ました。
「あ…保田さん……ここは?」
「…もう! 心配させんじゃないわよ!!」
わたしの声におびえるように、ふとんで顔を隠す。
おどすつもりはなかったんだけど……。
「ご、ごめんなさい!」
「…ま、大したことなかったからいいわよ」
階段から落ちたあんたを見たときは、本気で死んじゃっ
たのかと思ったんだから……。血の気が引くってあん
な感じなんだね。初めて感じたよ。
伸ばしたままだった手で、サラッと石川の前髪をい
じる。
「保田さん?」
「……本当に…心配したんだからね……」
「保田さん……」
(続)
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