〜ある意味、ファースト・キス〜
いいのかな?
いいよね?
石川も…望んでること…なんだよね?
だってこんなに切なそうな顔……。
「い、石川?……」
おっかなびっくり声をかけたら、ギュッて眉が寄って、もっと固く
目をつぶった。
瞼がピクピクッて揺れて……石川、不安なの?
そうだよね。こんな状況、勇気がいるよね。
だったら……安心させてあげる。
いいんだよね?
ためらいながら、ゆっくりと石川に唇を近づける。
このまましちゃっていいのかな?
まるでファースト・キスみたいにドキドキしてる。
だってさあ、自分からキスすることなんて今までなかったし……。
キスのときに目を開けてるなんて不思議。
ものすごく現実的で…何か……征服感? そんな感じがする。
男の子がキスするときって、こんななんだね。
直前まで、そんなこと考えてた。
チュッて軽く唇が触れて、石川がビクッて震えて……。
そうしたら、急に罪悪感みたいなものがわいてきた。
何だか「教え子に手を出した教師」みたい。
わたし…自分の欲望のために石川を汚しちゃったんだ。
そう思った。
だからスッと顔を離して……、
「…ごめん……」
って。そんな言葉しか出てこなかった。
(続)
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