〜謝ったりしないで〜

 うつむく保田さんの顔を、信じられない気持ちで
見ていた。
「…ごめん……」
 保田さん、何で謝ったりするの?
 私の思い、通じたと思ったのに……。
 私は…私はすっごく嬉しかったのに……。
「謝らないでください!」
 叫んでた。
「何で謝ったりするんですか?!」




「だって……」
 いつもみたいに自信にあふれた保田さんじゃなかっ
た。
 こんな保田さん、いやだよ。
「だって…わたしはあんたの教育係だし…メンバー同
士だし……」
「それでも私は…保田さんのことが……保田さんは…
私のこと、キライですか?」
 さっきと同じことを聞いてる。




「キライじゃないよ…キライじゃない」
「だったら!」
 まだつないだままだった手をグッと引いた。
 さっきはあんなに心強かったのに、今は力なく私に
引かれるまま。
 フラフラッと近寄ってきた保田さんの胸の辺りに、
ギュッと抱きついて……。
「だったら…謝ったりしないでください……」
                     (続)



続く

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