「こんな感じでどうかな、兄さん」 夕食をとり終え、ソファーで休憩していた兄に、弟は書き上げたばかりの文章を見せた。 「お、どれどれ…?」 兄は姿勢を起こし原稿用紙を受け取ると、簡単に目を通した。 「へぇ…すごいじゃないか、お前!やっぱりちょっと一般向けとは言えないけど、ここまでのモンが書けるなんて思わなかったぞ!こりゃ、今までお前を世に出さなかったのは失敗だったなぁ」 「そんな事ないよ。これまでずっと、兄さんのすごくわくわくする話が聞けたから、僕もこう言うのが思いつくようになったんだから!」 「ははは。そうか。そうだと俺も嬉しいよ。よし、これからはライバルだな!」 「兄さんは演劇の脚本でしょ?絵本とじゃ勝負にならないよ」 「そんな事はないぞ。突き詰めればどっちも同じさ。…まぁこの話はまた明日にして、今日はもう休むか」 「そうだね。お休み、兄さん」 ――――― |