WORLD_4 【消えちまえ男心】 |
「クリスマスさ。どうすんの?」 「どうすんのって。別に考えてないけど」 「俺さ、告ろうかと思うんだよ」 「いいね。メリー」 「それでさ。遺書ってどうやって書くんだっけ?」 「大分話が変わったな」 「俺失敗したら死ぬから。遺書って、なんか書き方あるんでしょ?」 「弁護士とかに聞いて書くんじゃない?」 「金かかるかなあ」 「それよりラブレターの書き方覚えろよ」 「タバコ吸っていい?」 「ベランダでな」
「やめてないよ。これないと学校なんて行けねえし」 「まあ、頑張れよ。骨くらい拾ってやるから」 「寒いんだけど、なんで窓開けてんの?」 「お前の残り香が気になるからだよ」 「寒いからさ。閉めていい?」 「もういいよ」 「あとごめん。トイレ借りるわ」 「洗って返せよ」
「だから頑張ってこいって」 「あー。どうしよ、めっちゃ怖い」 「吐き捨てちまえばいいんだよ。そんな恐怖」 「愛なんてなけりゃいいんだよ。クリスマス」 「恐怖とか不安とか、偽善とか愛とか、全部まとめて燃えるゴミに出せたらいいのにね」 「そんなに燃やしたら地球が汚染されるんじゃない?」 「上手いこと言うね」 「まあ、身体に溜め込むのも悪いだろうけどね」 「ただでさえ真っ黒だしな、お前の肺」 「あれだよ。人間なんて、廃棄物と毒しか産めないんだよ」 「救われないな」 「タバコもう一本吸っていい?」 「ベランダでな」
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